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(11) 太陽活動領域における捻れた磁束管の浮上とフレア活動との 関連について (博士学位論文要旨)

太陽活動領域(太陽表面の黒点や黒点上空のコロナ)では、様々な 活動現象が観測されています。 中でも太陽面爆発現象(フレア)は、莫大な エネルギー(1022 1025 J)を 短時間(数分から数時間)で解放する活動現象で、その影響は 惑星間空間を経て地球にまで及びます。 フレアで解放されるエネルギーが、どこにどのようにして 蓄積されるかは未だ解明されていませんが、 磁気シアと呼ばれる磁場のひずみに エネルギーが蓄えられるという考えがあります。 この考えを検証するためには、活動領域における浮上磁場の形態と フレア活動との関連の研究が必要です。

本研究では、二つの大黒点群(NOAA 5395とNOAA 4201)について 磁場構造の変化とフレア活動との関連を吟味しました。 これらの黒点群はどちらも活発なフレア活動を示しており、特に NOAA 5395は前太陽活動周期で最も活発であった黒点群として 知られています。 それぞれの黒点群について、黒点の運動や磁場構造の変化を調べ、 観測された運動や変化を説明できる浮上磁場のモデルを作成しました。 更に、黒点群内での場所によるフレア活動度の違いについて評価した ところ、捻れた磁場が浮上している領域に活発なフレア活動が 集中していることが判明しました。 このことは、フレア活動のエネルギー源が捻れた磁場にあることを 示唆します。

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(石井 貴子 記)