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(14) 活動領域NOAA 8948における黒点群の発達過程とフレア活動

太陽における急激な増光現象である太陽フレアは、太陽の 活動領域(黒点群)と呼ばれる場所で発生します。 活動領域は磁場の強い領域で、そこにみられる黒点は磁石の N極S極と同じように極性をもっています。 活動領域は複数の黒点から形成されることが多く、それぞれの 黒点の極性は互いに異なっています。 通常多くの黒点群は、双極(N極S極のペア)で現われますが、フレア活動は 双極の黒点群よりも、もっと複雑な磁場構造(N極S極が入り乱れた黒点群)で 活発であることがわかってきました。

太陽活動極大期を迎え[*]私たちは、 京都大学花山・飛騨天文台やSOHO・TRACE等の太陽観測衛星によって得られた データをもとに、中規模(M-class)以上のフレアが発生した黒点群と 発生しなかった黒点群の違いを調べています。

活動領域NOAA 8948は、2000年4月4日から16日まで太陽面上に存在し、8回の 中規模フレアや多くの小規模フレアを発生させました。 花山天文台ザートリウス望遠鏡や飛騨天文台ドームレス太陽望遠鏡で 得られた像や、SOHO衛星の磁場のデータを もとに、黒点群の発達過程とフレア発生場所の磁場構造を吟味しました。 その結果、次々と新しく小黒点(浮上磁場)が出現した領域にフレアの発生が 集中していることが判明しました。


(石井 貴子 記)



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