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太陽磁場活動望遠鏡の設計とその特徴

この望遠鏡は、太陽活動を総合的に観測するために、太陽彩層活動の様子と 磁場分布の変動の様子を同時に観測できるように設計されました。 また、太陽全面にわたる活動現象と、一つの活動領域の変化の様子を同時に 観測できるようになっています。飛騨天文台の良好な観測条件を活かして、 細かな変動の様子も見逃さないように工夫されています。

例えば、高い空間分解能で観測するために

・高さ15mの塔の上に望遠鏡を設置して、地上のカゲロウの影響を避ける。

・特殊な反射塗装をして、日射によって塔体および望遠鏡からのカゲロウの 発生を抑
える。

・望遠鏡はドームレス方式で設置して、ドームによるカゲロウの影響をなくす。
などの方策が取られています。

また、高い精度の観測を行うために、

・レンズの素材は、残留歪みのないようにアニールされた高精度ガラスを使用する。

・レンズは、収差が無視できるまで研磨・検査された高性能のものを使用する。

・レンズやフィルターが安定した温度条件で使用できるよう望遠鏡内は一定の 温度に維
持する。

・望遠鏡内部が加熱されないように、対物レンズの前に不要光反射フィルターをおく。

・大口径の狭帯域リオフィルターを使用する。

・リオフィルター内部の結晶は、干渉計での検査に合格した高品質のもの のみで構成
する。

・リオフィルターの温度は、 度の精度で制御する。

・リシウムニオベートを使った狭帯域ファブリペローフィルターを使用する。

・40004000 ピクセルの大規模CCDや20002000 ピクセルの 高測光精度CCDを使
用する。
などの方式を採用しました。

さらに、観測上の機動性、機能性およびデータ利用の効率を高めるために、

・クサビフィルターの回転により、部分像視点の移動を行う。

・複数台のPCをギガビットLANで接続し、簡便に望遠鏡、CCDカメラ、 フィルター
の制御を行う。

・大規模観測データは、LAN経由でRAIDディスクに格納し、また、 インターネット
でも公開する。
ような形で、基本的な観測システムを設計しました。

(北井 礼三郎 記)


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