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浮上磁場領域における対流構造の研究
磁場は宇宙における活動現象に深く関わっていますが、 太陽においてもフレアを始めとする様々な活動のエネルギー解放機構として、 非常に重要な研究対象となっています。 太陽磁場は太陽対流層の底で作られ、太陽表面にまで浮上してきます。 本研究は、磁場が浮上してくる際の太陽対流層のガスの流れと 磁場との相互作用の解明を目的としています。 下図は、太陽表面の拡大写真です。 黒い模様は小さな黒点で、太陽表面をつき抜けるように伸びた 強い磁束管の切り口です。 その周り一面に分布したつぶつぶ模様は粒状斑と呼ばれ、その一つひとつが 対流によって作られた構造です。
粒状斑の背景には、さらに大きな対流の流れがありますが、 粒状斑や黒点のように目に見える形にはなっていません。 粒状斑はその目に見えない流れに乗って、少しづつ流されていきます。 その動きを長時間追跡することにより、背景のガスの流れを 明らかにすることができます。 図の白い矢印は、こうして得られたガスの流れを示しています。 実線の等高線はガスの湧き出している部分、破線は吸い込まれている 部分を表わしています。 これらの湧き出しや吸い込み構造のうち、一時間以上に渡って見られたものを 番号(1〜7)で示しています。 本研究の結果、浮上磁場領域には、図の番号で示したような 寿命の長い湧き出し構造が存在することが分りました。 こうした対流構造が浮上磁場領域の特徴であり、 対流層内部より浮き上がってくる磁場と何らかの関係を持っていると思われます。 なお、本研究にはスペインのラパルマ天文台で撮影された画像を使用しました。
(高津 裕通 記)
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