花山天文台創立80周年記念講演会・式典・祝賀会

花山天文台は1929年(昭和4年)に設立され、今年で80周年を迎えました。これを記念して、当天文台では、2009年9月18日(金)、京都大学百周年時計台記念館において、記念講演会、記念式典ならびに記念祝賀会を開催しました。


<記念講演会>

記念講演会は、午後1時より、時計台記念館1階の百周年記念ホールで行われました。会場には、来賓や招待客、一般来場者を含めて約200人の聴衆が集まり、3人の講演者の話に熱心に耳を傾けました。司会は当天文台の一本潔教授が務めました。


附属天文台長柴田一成教授「花山天文台八十年のあゆみ」

司会による開会の挨拶に引き続き、まず附属天文台長の柴田一成教授が「花山天文台八十年のあゆみ」と題して講演を行いました。柴田台長は、数多くの新聞記事や写真をスクリーンに映し出しながら、80年にわたって世界最先端の研究成果をあげつつ、アマチュア天文学の育成にも熱心に取り組んできた花山天文台の歴史を紹介しました。そして、今後もよき伝統を継承しつつ、さらに新しい学問の世界にも挑戦したいと抱負を述べました。なお、講演後の質疑応答の時間には、第5代台長の川口市郎氏が、ご自身の教え子でもある柴田台長の「間違い」を指摘するという和やかな一幕もありました。 柴田台長

石塚睦氏「ペルーでの五十年とこれから」(代読:イシツカ・ホセ氏)

イシツカ氏 次に、ペルー地球物理研究所名誉顧問・アンコン観測所元所長の石塚睦氏に「ペルーでの五十年とこれから」と題して講演していただく予定でしたが、体調不良により石塚氏のご出席がかなわなかったため、ご子息のイシツカ・ホセ氏(ペルー地球物理学研究所)に講演原稿の代読をお願いしました。この講演では、ペルーの不安定な政治情勢や厳しい財政状況の中、少しでも充実した研究環境を整えようと、不屈の精神で努力を続けてこられた石塚氏らペルーの天文学者の足跡とその成果が紹介されました。また、5000年前のペルーに、天文学者を権力者に戴く、武器を持たない「理想の社会」が存在していたという興味深いお話もありました。

藤原洋氏「天文学と産業革命 〜科学技術と企業家の精神〜 」

最後に、株式会社インターネット総合研究所代表取締役・株式会社ナノオプトニクス・エナジー代表取締役の藤原洋氏に「天文学と産業革命 〜科学技術と企業家の精神〜 」と題して講演をしていただきました。藤原氏は、アメリカの大富豪による巨大天文台建設の歴史や、現在進行中の巨大天文台プロジェクトを紹介しながら、近代天文学を支えてきた企業家たちの姿や、天文学に関係する科学技術の発展について語ってくださいました。また、藤原氏が手がけておられる太陽光発電や超伝導送電、電気自動車といった最先端技術の現状と今後の展望、そしてそれらの技術を駆使した「エネルギー・スーパーハイウェイ」構想に関する壮大なお話もありました。 藤原氏

<記念式典>

記念講演会の後、午後3時半より、同じ百周年記念ホールで記念式典が行われ、来賓と招待客、合わせて約150人のご出席をいただきました。司会は柴田一成台長が務めました。


式典では、まず吉川研一理学研究科長による式辞の後、松本紘京都大学総長から附属天文台の長い歴史・その活動に対するご祝辞をいただきました。
吉川理学研究科長
吉川研一理学研究科長
松本総長
松本紘京大総長

次に、来賓挨拶として、観山正見国立天文台長、高島学京都府政策企画部長、小山勝二京都大学名誉教授から、それぞれ心のこもったご祝辞をいただきました。
観山国立天文台長
観山正見国立天文台長
高島京都府政策企画部長
高島学京都府政策企画部長
小山京大名誉教授
小山勝二京都大学名誉教授

来賓挨拶の後、京都大学の天文学教育・研究に多大な寄与をされてきたインターネット総合研究所代表取締役藤原洋氏に対し、吉川研一理学研究科長から感謝状と記念品が贈られました。最後に、「宇宙とアート」のテーマで当天文台と様々な共同プロジェクトを進めていただいている京都精華大学の島本浣学長からもお言葉を頂戴することができました。
藤原氏に感謝状
吉川理学研究科長から感謝状を受け取る藤原氏
精華大学の島本学長
京都精華大学の島本浣学長

<記念祝賀会>

記念式典終了後、午後5時半より、時計台記念館2階の国際交流ホールに場所を移して記念祝賀会が行われました。皆さまご多忙のなかにもかかわらず、約130人ものご出席をいただき、宴は大盛況となりました。司会は当天文台の北井礼三郎准教授が務めました。


まず始めに、祝賀会にご出席いただいた皆さんに正面の屏風前にお集まりいただき、記念撮影を行いました。
集合写真

記念撮影終了後、一本潔教授による開会の挨拶と、松本紘京都大学総長の乾杯の音頭により、賑やかなひとときが幕を開けました。
一本教授
一本潔教授による開会の挨拶
松本総長
松本紘総長による乾杯の音頭

会場では、京都大学関係の方々、天文学会関係の方々、理学研究科の方々、諸先輩方、卒業生の方々など、日本の天文学界を作り上げてこられた方々があちらこちらで語らいの輪を作り、旧交を温め合ったり近況を伝え合ったりしていました。
ゲスト

宴もたけなわとなった午後6時過ぎには、石塚睦様のご祝辞(イシツカ・ホセ様による代読)をはじめ、尾池和夫様(前京都大学総長)、長田哲也様(京都大学理学研究科教授)、平山淳様(国立天文台名誉教授)、川口市郎様(京都大学名誉教授、元附属天文台長)、黒河宏企様(京都大学名誉教授、前附属天文台長)、日江井栄二郎様(国立天文台名誉教授)から懐かしいお話や励ましのお言葉を祝賀会スピーチとしていただきました。
尾池前総長
尾池和夫様
(前京都大学総長)
長田様
長田哲也様
(京都大学理学研究科教授)
川口様
川口市郎様
(京都大学名誉教授、元附属天文台長)
平山様
平山淳様
(国立天文台名誉教授)
黒河様
黒河宏企様
(京都大学名誉教授、前附属天文台長)
日江井様
日江井栄二郎様
(国立天文台名誉教授)

最後に柴田台長が謝辞を述べ、盛況のなか、祝賀会は幕となりました。