刊行当時の想い出と言えば1986年、1988年の大接近ですが、86年は火星食しか覚えておらず、現在の25センチ反射+ビデオで記録を始めたのは88年の火星からでした。当時はまだ惑星のビデオ記録が始まった頃で、白黒ながらCi-20Rで撮影された火星像が天文誌上を賑わしました。私が3CCDカラーで撮り出したのは1996年四月頃からで、Sonyデジタルビデオカメラの発売を待っての事でした。眼視との感色性の違いはあるものの極冠や雲の様子等モニタ−画面上で楽に見る事が出来、白黒との情報量の違いを強く実感しました。動画においてはこれで満足したのですが、多くの人に見てもらうためには、やはりプリントの必要があります。
96年の暮れにはパソコン(Macintosh)を購入し画像処理の勉強を始めました。パソコンへの静止画取り込みキット(デジタル)が発売されたのがデジタルビデオカメラを手に入れてから半年後の事です。このキットを使用してからというもの、動画からの良好な静止画像の取り込み数が一気に増え、40〜60コマを標準とするコンポジットが可能となりました。画像処理には有名なPhotoshopを使い出来るだけ眼視で見たような綺麗で荒れのないなめらかな絵作り(色ハデハデでどきつくない)に仕上がるよう調整しています(もちろんこの辺りは個人の好み次第ですが・・・)。
「土星」 撮影・画像処理 比嘉保信氏
惑星撮像の多くは冷却CCDカメラが主流です。デジタルカメラとは似て非なるもので、それぞれ特性がありどちらかでなければいけない(惑星の話に於いて)というものではありません。個々、活用の道を極めて行くことが大事だと思います。単に人真似ではなくハ−ド、ソフト、他の方法等、様々な方向からの取り組みが必要でしょう。次(NEXT)を望む欲求が向上心の源です。
今年98年正月の「惑星観測者懇談会」にてクアッラ氏の画像を拝見し新たな意欲が沸いてきました。私なりに動画から取り組んで行きたいと思います。このような会合は沢山の刺激が得られ、参加することの重要性を改めて感じました。来年、ゴ−ルデンウィ−クの会合には眼視観測との比較も含めた議論の中で更に知り得ないことが出てくるのでは、と今から期待しています。
最後に、多くの火星同人の協力で充実した誌面となりますことを願い、編集者の皆様の苦労が報われますよう心から称賛を送りたいと想います。
(比嘉 保信 Okinawa 沖縄)