10 Years Ago (52)
10 Years Ago (52) (Japanese)
-CMO #081 (25 December 1989) -
 『火星通信』は81号でこの年の最終号となり、タイトルもクリスマスモードに☆で飾られている。
1989年十二月の火星は「てんびん座」から「さそり座」へと進んでいた。太陽との離角は月初めで20度ほどだったが、月末には30度を越すようになり、早朝の空に見られるようになったが、赤緯が低く観測はまだ難しかった。

 しかしながら、#081には、しっかりと「1990/91年の火星観測暦表(その1)」が掲載された。1990年一月から四月までの初期観測期間のデーターが示されている。それによると、1990年初めで視直径4.1秒角、Ls=146゚、φ=6.3゚N。四月末で、視直径6.0秒角、Ls=212゚、φ=24.3゚Sであった。いよいよ次観測期の始まりが近い。

 次いで、1988CMO観測ノート(8)として、「小倉/臺北 お天気日誌」が、岩崎徹氏・南政次氏共著で発表された。衝を挟んで、1988年六月から1988年十一月までの、二人が記録していた観測中の天候の比較である。併せて、それぞれの観測回数と備考も記録されている。一晩の観測回数の最高値は南氏九回、岩崎氏七回を数えている。

 また、正誤表(#070〜#079)・編集後記も掲載されている。後者には、アメリカから1988年十一月のダストストームのスケッチが送られてきた事と、1989年十二月2日の三日月に隠された見事だった金星食の事が記録されている。

(Mk) 村上昌己