10 Years Ago (53)
10 Years Ago (53) (Japanese)
-CMO #082 (10 January 1990)& #083 (25 January 1990)-
 火星は1990年一月には「さそり座」から「いて座」へと順行を続け、太陽との離角をひろげていた。しかし、日出時の地平高度は低く、月末でも20度を少し越したほどに留まり、視直径も4秒角台で観測は難しかった。シミュレーションソフト画面を見ていて判ったのだが、この年の一月下旬には、木星・冥王星を除く五惑星が早朝の東天「いて座」から「やぎ座」にかけて集まっていた。ご記憶の方はいらっしゃるだろうか?

 『火星通信』#082は編集諸氏の午年新年の挨拶で始まっている。そして、来る初冬の中接近に向けての準備と心構えが説かれている。また、次期からは報告用紙サイズを変更する旨を通知して新形式での報告を要請している。

 次いで、白尾元理氏の「国際火星フオーラム」参加報告のコラム記事になる。会議の内容は、最近の火星科学の紹介と、90年代の火星探査計画の展望が中心だった。『火星通信』同人からの出席は白尾氏の他、中神輝男・長谷川久也両氏が二日目に出席されているが、火星観測の話がなかったので拍子抜けだったようである。#083に長谷川久也氏による「感想記」が掲載されている。

 1988CMO観測ノート(9)は、「10月末の北半球の雲の擾乱について」(On Cloud Disturbances at Tharsis and Amazonis in Late-October (at around 300゚Ls) )が#082に掲載された。24 Oct 1989に臺北での観測で確認したTharsisやMemnonia辺りの輝きと、26,27 Octの白尾氏のB光写真との比較である。Tharsis辺りがB光だけで明るいのに対して、Memnonia辺りはInt光でも明るく、この雲にはsoilが含まれているとの判断である。またこの期間に、白尾氏のB光写真に捉えられた朝方のAmazonisにかかる濃い朝靄にも注目している。

 #083から「1988年の火星観測に使用された望遠鏡」の掲載が始まった。初回は白尾元理氏(35cm Newtonian F/6)・熊森照明氏(20cm Doll-Kirkham F/12.5)・阿久津富夫氏(25cm Newtonian F/8)・湧川哲雄氏(25cm Newtonian)・中神輝男氏(29cm Newtonian F/7.7)・長谷川久也氏(31cm Newtonian F/6.5)・浅田正氏(30cm Newtonian)の各氏所有の望遠鏡が写真と供に紹介されている。

 #082・083の両号には、賀状も含めて、白尾元理・Jeff BEISH・Don PARKER・阿久津富夫・村山定男・福井実信・大澤俊彦・鳴海泰典・松本直弥・宮崎勲・伊舎堂弘・岩崎徹・日岐敏明・蔡章獻・長谷川久也の各氏から寄せられたお便りが紹介されている。

(Mk) 村上昌己