10 Years Ago (81)


10 Years Ago (81) (Japanese)
- CMO #117   ( 25 May 1992 ) -
 1992年5月には火星は、「うお座」にあって、中旬には日の出時の高度が25度ほどに高くなってきて、視直径も5秒角に達していた。既に4月末には、長野の日岐敏明(Hk)氏がリニューアルした主鏡のテスト観測でスケッチを残して報告があり OAA MARS SECTION REPORT の一回目である。いよいよ心躍る1992/93年度火星観測の始まりである。とはいえ、火星観測の先達である宮本正太郎博士の訃報という残念なニュースも掲載されている。

 今号はまず、1990 OAA Mars Section Note (5)、「阿久津氏の1990年の火星写真から " Photos from AKUTSU's "Mars in 1990" "」で、阿久津富夫(Ak)氏の青色光像・赤色光像の組写真の紹介である。1990年度撮影の火星画像から選んだ画像を一枚にまとめてプリントしての報告である。その中から、いくつかの写真を紙上で再現し、相当するバックナンバーも示して状況を解説している。ただ、キャプションのデーター不足と中央経度(ω)の不揃いを指摘されており、現象の比較のためには計画的な観測が必要であることを強調されている。

 次いで、「1992/93年の火星 COMING 1992/93 MARS (2)」は、「初期状態の北極冠の観測可能な接近 "Opposition Relevant to the Observation of the Initial State of the NPC"」である。対衝日がLs=0゚に近い接近では、北極冠が北極雲から出現する現象の観測に適している事を挙げ、横軸にLs値をとったグラフを示し、近年の同様な接近の様子を比較している。中央緯度(φ)の状況も考えて、1914,1946,1960年が北極が見える傾きの条件の良い年であったとして、来る1993年は1914年と同様の好条件で有ること(1993-1914=79)を述べられている。また、対衝日がLs=0゚±5゚に含まれる接近は2007年に起きることも示された。

 連載の「日本語講座」は、第五回目となり、漢字の読みの多様性の説明である。漢字には訓読みと音読みがあること、音読みには、さらに中国から導入された時期により、呉音・漢音・唐音の違いがあることが述べられている。例を「火星」や「日本」などにとり読み方を紹介している。

 LtEには、日岐敏明、神崎一郎、中嶋厚彦の各氏からお便りが寄せられている。筆者の便りもあり、前号の記事掲載の謝辞と新調した15cm苗村鏡のことが述べられている。日岐氏の鏡も苗村氏の手による研磨がされていることがお便りにある。

正誤表(#107〜#116)がまとめられた。巻末には、シ−・エム・オ−・フクイの中島孝氏からカンパ受領の報告が掲載されている。

村上昌己 (Mk)  


Back to CMO#260 Home Page / Back to the CMO HP