2011/2012 CMO/ISMO 観測レポート#12

2012年六月の火星観測 (λ=118°Ls~133°Ls)

CMO #400 (25 July 2012)


・・・・・今期12回目のレポートは、六月の観測報告を纏める。火星はこの期間にしし座からおとめ座へ入り、日没時の南西の空に移っていった。季節はλ=118°Lsから133°Lsへと進み、視直径はδ=7.9"から6.6"と小さくなり、傾きφ26°N台で北極域が大きく此方を向いていた。位相角ι39°で中旬に39.4°に達して欠けが最大となった。日本では六月上旬には本州各地が入梅となり、中旬には台風の上陸もあり、曇天傾向が続いて観測が難しくなっていった。

 

・・・・・六月中には、以下の各氏から、報告を拝受している。報告者は国内から2名、国外から4名に激減している。

 

近内 令一 (Kn)  石川町、福島

        4 Drawings (26, 27 June 2012)  750×30cm SCT

フランク・メリッロ (FMl) ニューヨーク、アメリカ合衆国

      4 Colour Images (11, 18, 21, 28 June 2012)   25cm SCT with a ToUcam pro II

 

エフライン・モラレス=リベラ (EMr) プエルト・リコ

      1 Set of LRGB Images (10 June 2012)  31cm SCT with a DMK21AF04

 

森田 行雄 (Mo)  廿日市、広島

     5 Sets of RGB + 5 LRGB Colour + 5 L Images  (3, 7, 10 June 2012) 

                                                            25cm speculum with a Flea3

ドン・パーカー (DPk) フロリダ、アメリカ合衆国 

     1 Set of RGB Images (12 June 2012)  36cm SCT @f/42 with a DMK21AU618.AS

 

フレッディ・ウイッレムズ (FWl) ハワイ、アメリカ合衆国

       2 Sets of RGB + 6 Colour + 1 R + 1 IR Images (12, 29 June 2012)

                                              36cm SCT with a DMK21AU04.AS

 

・・・・・報告数が少なく概況がわかるだけであった。ヘッラスの様子は、森田(Mo)氏の 03 June (λ=120°Ls) ω=294°W, 305°W 07June (λ=121°Ls) ω=264°Wに見られるだけであるが、午前中から明るく捉えられている。また、07JuneMo氏の画像にはエリュシウムあたりが午後側で明るく捉えられている。

http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2011/120603/Mo03June12.jpg

http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2011/120607/Mo07June12.jpg

続くMo氏の10June (λ=123°Ls) ω=224°Wではエリュシウムが午前中から明るさがあり、朝方からの霧の広がりが見られる。

http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2011/120610/Mo10June12.jpg

マレ・アキダリウムあたりは、モラレス(EMr)氏の10June(λ=123°Ls) ω=067°Wやパーカー(DPk)氏の12June(λ=124°Ls) ω=068°Wで捉えられていて、タナイスが濃く、イアクサルテスもヒュペルボレウス・ラクスと濃く繋がっているのがわかる。パーカー氏の画像には、朝縁の朝霧の中に暗点があり、タルシス高山の山頂が飛び出して見えていると思われる。

http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2011/120610/EMr10June12.jpg

http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2011/120612/DPk12June12.jpg

12Juneの続くウイッレムス(FWl)氏のω=137°W,139°Wも昼頃のタルシスあたりを捉えているが、像が荒れていて判断は難しい。メリッロ(FMl)氏も11, 18, 21, 28 June と報告されているが小さな像で詳細はつかめない。

近内(Kn)氏は26June(λ=130°Ls) ω=060°W, 070°W27June(λ=131°Ls) ω=051°W, 060°Wに観測をして南縁にアルギュレの明るさを感じている。北極冠も明るく見ている。また、朝方のタルシスあたりも白く明るく観測している。

http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2011/120626/Kn26June12.jpg

http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2011/120627/Kn27June12.jpg

 いずれの画像にも融け残った北極域の明るさが捉えられていて、リマ・ボレアリスを挟んで、オリュムピアの明るさも持続している。月末には季節λ133°Lsとなり、視直径δ6秒台に小さくなった。

 

(村上 昌己/  )  


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