今号では、巻頭論文、ISMO 11/12 Mars Note (2) 共に、火星ターミネータに観測された飛び出しの事を取り扱っている。太陽活動との関連性が高い現象と思われるが本質はまだ不明である。このところ太陽活動は活発でCMEも頻発しているのだが、火星は既に遠ざかり現象の観測は難しくなった。地上からの観測は来期に期待したい。

太陽の活動も磁場の反転が北半球にだけ起こりそうといわれているし、極大が早くも来年ではないかとの予想が出されている。黒点観測をしている私としては、極小が長く続いて、今期の立ち上がりの様子がどうなるのかと注目していたのであるが、まだまだ立ち上がり途中で、来年に極大が来るとすると、相対数の山は低いものになってしまうのではないかと思っている。

 

巻末にNewsとして取り上げられているのだが、南先生のご提案と佐藤健氏のご尽力により、小惑星9414Masamimurakamiという名前がいただけた。望外の喜びである。ご両人と発見者の小林隆男氏にはこの場をお借りして、厚く御礼を申し上げたい。

 

七月2日付けの、小惑星回報(M.P.C. 79909-79910)に次のように紹介されている。

(9414) Masamimurakami was discovered on 25 October 1995 by T. KOBAYASHI at Oizumi.

Masami MURAKAMI has been one of the leading observers within the Mars Section of the OAA since 1988. He has served the OAA since 1996 as its Mars Section webmaster and since 2010 as the Mars Section Director. In 2006 he received the OAA’s Issei YAMAMOTO Prize.

 

軌道図、軌道要素などは、以下のJPLのページから見ることが出来る。火星と木星の間を廻るメインベルトの小惑星である。

http://ssd.jpl.nasa.gov/sbdb.cgi?sstr=9414&orb=1

 

命名に関する打診を今年二月に戴いたときに、当時の小惑星の位置を調べてみると、ちょうど「衝」の頃で日本からの観測条件のよい事がわかり、先輩に依頼して撮影してもらった画像を紹介したい。「こじし座」の系外星雲のそばを通過している。小惑星の光度は16等級ほどであった。


次回の「衝」は、来年8月中旬に起きるが、南天のフォーマルハウトのそばと赤緯が低く撮影の条件は北半球では良くない。

七月22日 記

 

OAA火星課長 村上 昌己


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