ISMO 2011/2012 Mars Note #06

λ=050°Ls065°Lsでウトピア附近を這う黄塵

 

南 政


北極冠域には北半球の春分以前から、黄塵が立っているのがMGS/MOCの觀測などで知られている。

例えば、ここに掲げるのは、MOCに據るイメージで、26May2002のものであるが、λ=020°Ls近くの様子で、春分を過ぎたばかりである。極の方からから吹き出ているように見える。冬が終わり掛けて、北極冠を覆う極雲も霽れ、極地に高氣壓があって極では大氣が降下するためである。極が大氣循環に大きな役目を果たすことが明白である。

 

 2012年にもλ=050°Lsからλ=065°Lsにかけて、ISMO諸氏のCCD像の極地に明確に黄塵が這っている様子が捉えられて居るので、紹介しておく。

  先ず、ビル・フラナガン(WFl)氏の30Dec2011(λ=050°Ls)の像に微妙な感じで出ている。ウトピア方面へは、北極冠の縁に関係しているところが起源のようである。ウィッレム(FWl)氏の像では朝方から昼に掛けて、北極冠の縁が作用して毛羽だったように見える。


 少し後のピーチ(DPc)氏の像では、ウトピアの方では活發だし、矢張り極冠の縁が働いているのが判る。


一方、モラレス(EMr)氏の像では、縁の方から立ち上がるように見えるし、砂塵の帶は太い。 なお、この像では北極冠の内部がやや赤みを帯びているのが判る。極下では強い風が吹いて砂塵を拂っていると思われる。雪などの降下物は中央部では厚みを減らしているからであろう。


  しかし、うまく季節が當たって、こうした状況を長時間見ることが出來れば、昼間にはそれほど動きがないことが見て取れるであろう。ただ極地のため日射が夜間でも内部にもかなり強く働くので、朝方の形態を示すかもしれない。

 

 同様な活動は、20123月・4月にも見られており、既に前号CMO#403 p393で紹介してある。たとえば、

ドン・パーカー氏の 3 Feb (λ=066°Ls)

http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2011/120203/DPk03Feb12.jpg

熊森照明氏の 12 Feb (λ=070°Ls)

http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2011/120212/Km12Feb12.jpg

阿久津富夫氏の 18 Feb (λ=072°Ls)

http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2011/120218/Ak18Feb12.jpg

デミアン・ピーチ氏の 29 Feb (λ=077°Ls)

http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2011/120229/DPc29Feb12.jpg

クリストフ・ペリエ氏の29 Feb (λ=077°Ls)

http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2011/120229/CPl29Feb12.jpg

マルク・デルクロア氏の1 Mar (λ=078°Ls) 

http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2011/120301/MDc01Mar12.jpg

ドン・パーカー氏の 10 Mar (λ=081°Ls)

http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2011/120310/DPk10Mar12.jpg

デミアン・ピーチ氏の 5 Apr (λ=093°Ls)

http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2011/120405/DPc05Apr12.jpg

などがある。


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