2013/2014 CMO/ISMO 観測レポート#03

2013年十一月の火星観測 (λ=043°Ls~057°Ls)

CMO #417 (25 December 2013)


・・・・・これは今期火星接近の三番目のレポートである。今回は2013年十一月中の観測を取り上げる。十一月に入ると火星の出現は夜半過ぎとなり、日の出時には南中近くまで昇るようになっていた。「しし座」を順行して「おとめ座」へ移って、期間末には視赤緯は03°Nに下がった。季節はλ=043°Lsから057°Lsとすすみ、融解の進む北極冠からの水蒸気の移動の影響が見られる時期となっていた。視直径はδ=4.9"から5.6"と大きくなり、位相角はι=31°から35°と変化して、さらに夕方側の欠け大きくなった。傾きはφ=24°Nから25°N台と大きく北に傾いて、北極域の様子が捉えられていた。

 

・・・・・この期間に拝受した報告と報告者は次の通りである。

 

 

     阿久津 富夫 (Ak)  セブ・フィリッピン

       2 Sets of RGB + 2 IR Images (17, 30 November 2013)  36cm SCT @f/24 with a DMK21AU618AS

 

     サデグ・ゴミザデ (SGh) .ルーデヘン、イラン

       1 Colour Image (27 November 2013)   (28cm SCT with a DMK21AU04.AS)

 

     ピーター・ゴルチンスキー (PGc) コネチカット、アメリカ合衆国

       3 Sets of RGB + 3 IR Images (15, 21, 30 November 2013)    36cm SCT with an ASI 120MM

 

     フランク・メリッロ (FMl) ニューヨーク、アメリカ合衆国

       1 Colour Image (30 November 2013)   25cm SCT with a ToUcam Pro II

 

     エフライン・モラレス=リベラ (EMr) プエルト・リコ

       1 Set of LRGB Images (21 November 2013)  31cm SCT with a Flea3

 

     森田 行雄 (Mo)  廿日市、広島県

       3 Sets of RGB + 3 LRGB Colour + 3 L Images  (4, 5, 7 November 2013)   36cm SCT with a Flea3

 

     ドナルド・パーカー (DPk) フロリダ、アメリカ合衆国

       2 Set of RGB + 1 IR Images (8, 18 November 2013)   41cm Spec @f/26 with an ASI 120MM

 

 

・・・・・視直径δ5.0"から始まる。森田(Mo)氏は4Nov(λ=045°Ls)ω=023°W5Novω=013°W7Nov(λ=046°Ls)ω=355°Wと順調な滑り足であったが、十一月19日以降連絡が無く、心配している。この三観測も順調でどれも大きなマレ・アキダリウムを納めている。画像としては7Nov ω=355°Wが最も好く、ニリアクス・ラクスの東端から流れるオクススがはっきりと見え、マレ・アキダリウムの東端の描冩も好い。他にシヌス・サバエウスが濃く、形をなしていて、マルガリティフェル・シヌスからもうまく分離している。南極はRで少し明るいかというところで、Bには北極冠以外何も出ていない。

http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2013/131104/Mo04Nov13.jpg

http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2013/131105/Mo05Nov13.jpg

http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2013/131107/Mo07Nov13.jpg

 

  パーカー(DPk)氏は8Nov(λ=047°Ls)ω=204°W 18Nov(λ=051°Ls)ω=092°Wで撮っている。前者ではエリュシウムがテカっている。ただし、Bでは殆ど見えない。アエテリアの暗斑はRで顕著。 後者では、クリュセの夕雲がかなり中まで入ってきている。ソリス・ラクスは夕方で濃い。ティトニウス・ラクスも好く出ていて、夕雲はその北にまで及んでいる。Bでも明らか。テンペの北部に東西幅が長く地面の明るいところがあり、東のお尻は靄っているかもしれない。やはり像の南端ははっきりしない。

http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2013/131108/DPk08Nov13.jpg

http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2013/131118/DPk18Nov13.jpg

 

  ゴルティンスキー(PGc)氏は以下三作品と活躍である。まず15Nov(λ=050°Ls)ω=135°Wでは北極冠から靄のようなものがはみ出して、ダークフリンジを中央あたりで隠しているように見える。Bでもそれが見えている。また微妙だが、赤道帶あたりに小さい白斑が出ているようだ。連続像がほしいところである。次の21Nov(λ=052°Ls)ω=069°Wの像はかなり好い像で、ソリス・ラクスが単独斑として明確、ティトニウス・ラクスもδ=5.4"ながら、Rできれいに描冩されている。やはりクリュセからの夕方の雲霧がその北にまで届いている。R系では北極冠から南に暗色線が出ているように見えるが、ゴーストかもしれない。これは視直徑が少し大きくなってから比較するべきだろう。最後の30Nov(λ=056°Ls)ω=351°WではMo氏の7Nov(λ=046°Ls)ω=355°Wと比較できる。RGBでのシヌス・メリディアニの様子は二股に見えんばかり。マルガリティフェル・シヌスの邊りも好く撮れている。オキシア・パルスが見える勢い。その西には明部がある。オクスス自身の強弱の描写が好く、マレ・アキダリウムの濃淡もしっかりしてきている。マレ・アキダリウムの東北には砂塵があるか?といった様相。ただ、北半球西端のゴーストらしい様子は困る。

http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2013/131115/PGc15Nov13.jpg

http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2013/131121/PGc21Nov13.jpg

http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2013/131130/PGc30Nov13.jpg

 

  阿久津(Ak)氏は 17Nov(λ=051°Ls)ω=258°W30Nov(λ=057°Ls)ω=138°Wで撮っている。前者ではシュルティス・マイヨルが朝方に見え、夕方ではヘスペリアが切れ上がっている。R系ではウトピアの西部端がきれいに描冩されている。アエテリアの暗斑もノドゥス・アルキュオニウスも分離して見える。異常は無いようだ。後者では南端近くでマレ・シレヌムが濃く見えているようだ。夕霧が少しはみ出して中央に流れている感じ。中央には白い小さい斑点が幾つかあるように見える。その東にはプロポンティスIが見えているのかもしれない。北極冠は立派で周りの暗帯が強い。この像はPGc氏の15Nov(λ=050°Ls)ω=135°Wと比較できるが、既に北極冠からの吹き出しは無くなっているようだ。

http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2013/131117/Ak17Nov13.jpg

http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2013/131130/Ak30Nov13.jpg

 

  モラレス(EMr)氏は21Nov(λ=052°Ls)ω=056°Wで撮っている。マレ・アキダリウムが夕方で大きく、ソリス・ラクスのあたりが夕方に濃いという構図だが、R像以外は北極冠も含めて、像がしっかりしていない。Rではニロケラスの構造やソリス・ラクスのあたりの様子が少し出ている。

http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2013/131121/EMr21Nov13.jpg

 

    ゴミザデ(SGh)氏の像は27Nov(λ=055°Ls)ω=263°Wに撮られているが、分解像ではない。シュルティス・マイヨルが見えることは確かで、Ak氏の17Nov(λ=051°Ls)ω=258°Wに近い構図だが、必要な情報は含まれていない。なお、機器などの記述を丁寧に行うこと。

http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2013/131127/SGh27Nov13.jpg

 

     最後にベテランのメリッロ(FMl)氏の30Nov(λ=056°Ls)ω=007°Wであるが、 像が小さい。マレ・アキダリウムや北極冠は明確だが、像西端の様子はコントラストが強く、何かあるようだが、何か言うには小さすぎるということ。この日はδ5.6"で、三人の観測者が観測した。

http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2013/131130/FMl30Nov13.jpg

(村上 昌己/  )  


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