編 集 後 記


 


四月になって、横浜では桜も散ってだいぶ暖かくなってきている。花粉症の症状も軽くなり、今月も上旬にすっかり雪も解けた蓼科を訪ねた。途中の甲斐路では、まだソメイヨシノが満開で、勝沼駅では数多く植樹されている枝で花の壁が続いているようで見事であった。八ヶ岳の別荘地でも暖かい日が続いていたが、天候は思ったよりも悪く夜は雲の多い毎日であった。

アンタレスと並んだ火星を撮影しようと連日カメラを用意していたがなかなか適わず、最後の夜になってやっと晴天が訪れた。この夜は冬型の気圧配置で寒気が南下したことと、放射冷却で気温が下がり最低気温は氷点下七度となって冬の寒さとなり、撮影が終わったカメラは降霜で真っ白になっていた。四月17日に「留」となった火星は下の画像の星野の中で逆行して接近してくる。

 


四月末には視直径が15秒角を越えて前接近の最大視直径を上廻り、2007年接近以来の久しぶりの大きさになっている。七月中旬まで15秒角以上の大きさが続く。蓼科ではちらりと覗いたが、南中時の高度は低くシーイングも悪く、ほとんど何も見えなかった。体調と天候の為もあり、まだ横浜での連続観測は始められないでいる。

四月25日記

 

火星課長 村上昌己


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