編 集 後 記


 

秋分を過ぎて、だいぶ暑さも遠のいています。九月6日に蓼科から戻り、数日は下界の暑さに参りましたが、すぐに台風崩れの低気圧の通過で曇天傾向となり気温も下がって楽に過ごせています。この夏の蓼科では動植物の様子は例年と少し違っていましたが、下山する頃には秋の七草やワレモコウ・トリカブトなど秋の花が咲き始めていました。八月中に別荘近くで、今年始めて見た可憐な花をご紹介します。花の名前の同定はケアンズの工藤氏にお願いしました。

 


 

八月からの不順な天候は戻った関東でも続いていて、中旬からは秋雨前線の停滞で晴れ間は全くといって無く、火星観測が出来たのは10日の一日だけで、それも雲間からの観測でした。神奈川の日照時間は平年の15%ほどと言うことで、黒点観測もままなりません。台風の襲来も多く今年の夏の天気は異常です。蓼科で九月始めに撮した火星画像をご覧いただきます。珍しくシーイングが良く、小口径ですが視直径10秒角程度でも模様が出ました。

 


 

火星は九月には、「さそり座」から「へびつかい座」南部をへて「いて座」に進みました。23日には赤緯が最南となり、沈む時間も早くなり、日没時には南中を過ぎるようになっています。月末には季節はλ=233°Lsまですすみ、黄雲発生の季節は続いています。傾きは南半球側になっていて南極地が観測しやすくなりました。視直径も9秒角を下回り、観測期も終盤になってきましたが、南極冠の偏芯など、次回接近の予習としてこれからも注意深い監視が必要です。

九月24日記

火星課長 村上昌己


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