CMO/ISMO 2018 観測レポート#04

2018年二月の火星観測 (λ=123°Ls ~λ=137°Ls)

南 政 次・村上 昌己

CMO #467 (25 March 2018)


・・・・・・  今期四回目のレポートは、二月中の観測報告を元に取り纏める。二月には火星は「さそり座」から「へびつかい座」へとすすんで、視赤緯D20°Sから22°S台に下がっている。出は午前二時台になっているが、まだ日の出時には南中とならない。「西矩」は三月に入ってからのこととなる。

 二月には視直径δは、5.6"から6.6"に大きくなった。傾きはφ=08°Nから01°Nと正面を向いてきている。

位相角ι35°から38°台になって夕方の南半球側が欠けている。季節はλ=123°Lsからλ=137°Lsに進んだ。

 

 MRO MARCI の画像は、Weekly Weather Reportが二月中旬までで停止して、三月に入って復活したが、右に取り上げた画像以降、Feb15Mar02の間の画像が欠落している。

 二月前半の半月間の様子では、ヘッラスの明るさが不均一になってきたこと、アルギュレあたりなど南半球高緯度に明るさが出てきたこと、赤道帯霧がシュルティス・マイヨル上から西に流れてクリュセあたりまでたどれること、山岳雲の活動は落ち着いてきているが、タルシスあたりでは引き続き活発で、エリュシウム・モンス周辺の雲も日替わりの活動をしていること、テムペ−アルバの北とマレ・アキダリウムの北からデウテロニルスにかけて氷晶雲が見られること、北極冠周辺のオリュムピアなどがまだ融け残っていることなどであった。この期間には大きな現象は捉えられていない。

 

・・・・・・  二月中には、南半球のフォスター氏、ピーチ氏の継続した観測が寄せられて観測数は増えてきている。日本では二月はたびたびの寒気の南下で、太平洋側は晴天傾向だったが、日本海側では天気は荒れ模様で、福井では数十年ぶりの大雪となって生活に影響が出たとのことである。熊森氏も晴れ間には撮影を続けておられるが、シーイングの悪さを嘆いている。また、メルボルンのヴァリムベルティ氏とプエルト・リコのモラレス氏からの報告が入り始めた。

 寄せられた観測数は、日本からは214観測。南アフリカのフォスター氏から7観測。オーストラリアのヴァリムベルティ氏から2観測、ピーチ氏からは、チリ・テレスコープの遠隔撮影で20観測の報告があり、合計6名から49観測であった。モラレス氏の一月中の2観測も含まれる。

 

    阿久津 富夫 (Ak)  常陸太田市、茨城県      

     2 Sets of RGB + 2 IR Images (23, 26 February 2018)  32cm Spec with an ASI 290MM

    クライド・フォスター (CFs) センチュリオン、南アフリカ

     6 Sets of RGB +1R + 1G + 6 IR Images (1, 2, 5, 6, 9, 16, 18 February 2018) 

                                                 36cm SCT @ f/27 with an ASI 290MM

    熊森 照明 (Km)  堺市、大阪府

     7 Colour* + 5 R + 6 B Images (2, 5, 13, 17, 22, 26, 27 February 2018)

                                  36cm SCT @ f/40 with an ASI 290MM & ASI 224MC*

    エフライン・モラレス=リベラ (EMr) プエルト・リコ

     2 Sets of RGB + 3 IR Images  (8, 10, 12, 21 February 2018)

                                                 31cm SCT with an ASI 290MM

    デミアン・ピーチ (DPc)  ウエストサセックス、英国 ( チリ・スコープの遠隔操作観測 )   

      14 Sets of RGB + 6 colour + 1 B Images (2,~7, 9, 10, 12, 13, 15, 16, 18,~25 February 2018)

Chilescope (100cm Ritchey Chretien)

    モーリス・ヴァリムベルティ(MVl) メルボルン、オーストラリア

     2 Sets of RGB + 1 IR Images (16, 26 February 2018)

36cm Richey Chretien  @ f/35, with an ASI 290MM

 

 ・・・・・・ 以下に各観測を短評する。

1 February 2018 (λ=123°Ls~124°Ls,  δ=5.6", φ=08°N)

    Clyde FOSTER (CFs)氏がR(ω=330°W)G(ω=331°W)36cm SCTで撮った。カメラはASI 290MM フィルターはBaaderである。R像ではシヌス・メリディアニとシヌス・サバエウスが綺麗に見え、マルガリティフェル・シヌスも形を成している。朝縁から入って來たマレ・アキダリウムも細く見えている。Gでは模様は相当暈けているが北極冠はRより明るく見えて居る。

    http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2018/180201/CFs01Feb18.png

 

 

2 February 2018 (λ=124°Ls,  δ=5.6~5.7")

   CFs氏がω=314°W3色要素を分解して撮り、RGB合成像を得た。亦IR685像も得た。ヘッラスの白部が厚みの感じを持って夕縁に見える。大きさはコンパクトで、ヤオニス・フレトゥムとヘッレスポントゥス が重なって太くヘッラスを囲んでいる。マレ・セルペンティスは然程濃くはない。シヌス・サバエウスとシヌス・メリディアニは明確でエドムも明るい。夕方のシュルティス・マイヨルは西岸が凸凹しながら濃い。R像ではイスメニウス・ラクスから北東に掛けてボレオシュルティスまで複雜に暗色模様が出ている。マレ・アキダリウムは甚だ細い。北極冠域もコンパクトに描冩されている。

    http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2018/180202/CFs02Feb18.png

 

   Damian PEACH (DPc) 氏が Chilescope 遠隔操作し ω=059°Wで分解像と合成像を得た。B像は可成り安定していて、RGB合成像では夕方のマレ・アキダリウムを大きく覆う霧や赤道帶の霧が 確認される。タルシス山脈も朝方で白いといえる。R像はニロケラスの二枚鋏、アウロラエ・シヌスのトゲ、チトニウス・ラクスが明確に見えている。北極冠も霧混じりの下にresidualとして見えている。タルシス山系の東の地面は濃いOchre 系色でB光では薄暗く冩る。

    http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2018/180202/DPc02Feb18.png

 

      Teruaki KUMAMORI (Km) 氏は ω=229°WL-colour像を得た。シュルティス・マイヨルが全体Disk内に入ったところだが、シュルティス・マイヨルの南部やマレ・テュッレヌムなどは(シュルティス・ミノルも含めて)濃淡が綺麗である。マレ・キムメリウムは少し形がゆるんでいる。南西端のヘッラスは白い(Blue像でも白く強いので水蒸氣が多いか?)L-colourではエリュシウムは明るい黄土色。少し白色が混じるかという程度。ノドゥス・アルキュオニウスは明確、アエテリアの暗斑は淡い、ウトピアの中間部の描冩も好い。北極冠域は霧が出ているか。L画像は10分のderotation56,00駒の合成、Colour写真は14,000駒の合成。ヘッラスの明るさを出したB像は10,000像の合成。なお、R像はω=234°W5derotation24,000駒の合成である。暗色模様の出は好いが、コントラストが強すぎる。アエテリアの暗斑が強調されすぎ。

    http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2018/180202/Km02Feb18.png

 

 

3 February 2018 (λ=124~125°Ls,  δ=5.7")

   DPc氏が、Chilesopeのリモートセンシングによってω=050°W (あるいは R画像の時刻ならばω=047°W)RGB画像を得た。マレ・アキダリウムは夕方に全貌が見えていて、南半分が稍淡い(白霧が夕方に出ている) 安定していてニロケラスの爪などは鋭く出ている。シヌス・メリディアニはもう夕端に隠れるところだが、續くマルガリティフェル・シヌスの北部や、アウロラエ・シヌスに掛けての微細構造、さらにはチトニウス・ラクスの構造も好く描冩されている。δ=5.7"の割に上出来である。南極方面の白霧なども好く出ていて、ガンゲスに沿う白霧もBでは顕著である。ChilescopeB像はこれまでも良像である。永続北極冠も出ている。

    http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2018/180203/DPc03Feb18.png

 

 

4 February 2018 (λ=125°Ls,  δ=5.7")

    續くDPc氏のChilescopeによる像はω=041°Wで、矢張り秀逸像。シヌス・メリディアニは夕端で霞んでいるが、アラムのブランガエナは美事に出ている(R像參照)。オクシア・パルスから朝方のチトニウス・ラクスまでは完璧でソリス・ラクスも朝縁を離れてディスクに入って居る。南端アルギュレあたりに白雲の小さな塊がB像で検出されている。北極冠はR像ではヒュッペルボレウス・ラクスに食い付いて見えるが、B像、 G像ではその朝縁の少し南方には水蒸氣の塊が見える。もう一つガンゲスの北端に水蒸氣の塊がある。オピルは水蒸氣無しに明るい(オーカー色)

    http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2018/180204/DPc04Feb18.png

 

 

                       5 February 2018 (λ=125°Ls,  δ=5.7~5.8")

    先ず、CFs氏がω=288°Wφ=07°NRGB像を得た。像は小さいがなかなか内部構造が描出されて美事である。特にヘッラス内の描写が好く、シュルティス・マイヨル の夕方側の描冩も魅力的である(舊モエリス・ラクス方向への飛び出し)。但し、ホイヘンス・クレータの痕跡は見えない。一方反対側のアエリア地方の微細斑點も見えている。ノドゥス・アルキュオニウスも明確で、カシウスの東方の様子や、西方の(ボレオシュルティスを含む)領域の描冩も行き届いている。残留北極冠も綺麗で、ただその南の朝縁のR G での明るさは異様。IR685像ではR像のように顕著ではない。

    http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2018/180205/CFs05Feb18.png

 

    次に、DPc氏がChilescopeω=031°WRGB像を得た、但し、シーイングが冴えないようだ。シヌス・メリディアニもだいぶ殘っているようだがボンヤリしている。ただし、アウロラエ・シヌスからの北への飛び出しは把握されている。アルギュレ方向の白霧の塊は存続。

    http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2018/180205/DPc05Feb18.png

 

     最後に、Km氏がω=194°W L-colour像を得た。L 像は11分のderotationを使って、56,000像の重ね合わせであるが、マレ・キムメリウムが濃く見える程度。エリュシウム内は稍明るく周囲をプレグラを含む古典的な暗部で軽く囲われている。アエテリアの暗斑は見えるがプレグラと同じ濃度:プロポンティスIとも同程度か。但しR(24,000像をスタック)ではアエテリアの暗斑の北部は可成り濃い。ウトピアの描冩も綺麗ではなく、北極冠も確固とはしていない。B像でもヘッラスの様子がdefiniteでない。シーイング3/10

    http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2018/180205/Km05Feb18.png

 

 

6 February 2018 (λ=126°Ls,  δ=5.8")

     この日もCFs氏がω=277°W RGB像を作像した。シュルティス・マイヨルが中央に見え、好い形で少し青味も出ている。B像では赤道帶の霧が稍出ているかというところ。ヘラスの内部構造がRGBでは前回に引き続き捉えられ、GBでも幽かに凹みが見えている。別にヘッラスの擴大像がRGB RGB の順に並べられている。RIR685では シュルティス・マイヨルの北のカシウス、ボレオシュルティス、それにノドゥス・アルキュオニウスの並びが好く描冩されている。

    http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2018/180206/CFs06Feb18.png

 

   DPc氏は引き続きChilescopeとの連携でω=022°Wの優れたセットを齎した。シヌス・メリディアニが殆ど完璧な姿で夕端に殘っていて、ブランガエナが美事である。オクシア・パルスからアガトダエモン-チトニウス・ラクスに掛けての微細構造は隈無く出ている。南半球の暗色模様は際立って居ないが、マレ・エリュトゥラエウムは稍濃く区別できる。アルギュレの白霧の塊は特にB像で好く見えている。北方ではマレ・アキダリウムが完全な姿を見せている。マレ・アキダリウムの南部2/3はマレ・アキダリウムの底よりも稍淡い。これはヘーズのためでなく、本体が持っている姿であろう。北極冠はRで明確で、 ヒュッペルボレウス・ラクス邊りは霧が出ているようだ。なお、CMO#423 Oxus dark segment オクスス暗斑點又は暗線分と称した小班點が、Chilescopeではδ=5.8"で見えることが判る。

    http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2018/180206/DPc06Feb18.png

 

 (20 April 2014DPc氏の優れた畫像例えばω=013°W、或いは21 April 2014 (λ=119°Lsδ=15.1")DPc氏のω=347°W001°W012°Wのシリーズにもこの斑點が見事で、當時の記述に據れば「例のブリッジは明らかな孤立點で、どうやってブリッジに化けるかというのも興味がある。未だ詳しく調べていないが、2001年のHST2002年のMGS像では少し細長くなっている。場所はオクスス・カウス(Oxus Cavus)の少し(30kmぐらい)南に位置する地溝に依ると思う。以後、この斑點を"オクスス暗斑點"もしくは"線分"と呼ぶことにする」と當時のわれわれは書いている)

 

 

7 February 2018 (λ=126°Ls,  δ=5.8")

  引き続きDPc氏はChilescopeに據ってω=013°Wでの良像を齎した。シヌス・メリディアニが可成りの詳細で殘っていて、ブランガエナは非常に鮮明に太く見える(RGで)。オクシア・パルス附近も骨太のチョキ形で描かれている。南の暗色模様からクリュセに突き出す暗線分群もアウロラエ・シヌス邊りまでキッチリ描冩され、ニロケラスの爪も朝方だが好く出ている。マレ・アキダリウムは 北部を除いて少し淡く見える。先行するオクスス暗斑點も明確である。アルギュレ方面の白霧はBGでは膨らんで大きく見える。

     http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2018/180207/DPc07Feb18.png

 

 

8 February 2018 (λ=127°Ls,  δ=5.8")

    Efrain MORALES (EMr)氏の登場である(観測は1月から始まっている)。これはω=014°Wφ=06°NIR685像である。器械は31cmSCTで、フィルタはBaader。カメラはASI 290MMである。描かれている火星面はほぼ判断が可能だが、各暗色模様は夫々ボケがあってdefiniteなところはない。ただ、ニリアクス・ラクスの邊りは大きな斑點が二つ並び、異様である。マレ・エリュトゥラエウムの邊りも濃淡に富む。

     http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2018/180208/EMr08Feb18.png

 

 

9 February 2018 (λ=127°Ls, δ=5.8~5.9")

    先ず、CFs氏がω=247°Wφ=06°NRGB像を拵えた。他にRGBIR685像が添えられており。ヘッラスが高緯度朝方に白く内部に詳細構造を見せている。ヘッラスはIR685でも稍明るい。 シュルティス・マイヨルは朝方に格好良く描冩され、RGBでは北部は稍蒼い。RIR685ではこの部分が酷く濃く出ている。GBでは弱くなる。なお、シュルティス・マイヨルに接してオシリディス・プロモントリウムが稍明るい。エリュシウムは白いが、Bでは顕著、水蒸氣が強いということ。ノドゥス・アルキュオニウスはやや大きく見える。Rではノドゥス・アルキュオニウスとアエテリア暗斑は殆ど同じ印象を与える。カシウスが明斑を従えていて、ノドゥス・アルキュオニウスとカシウスとボレオシュルティスが三点セットを作っていて安定している。ウトピアの描冩も未だδは小さいが好い描冩。北極冠は薄っぺらに見えるか

     http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2018/180209/CFs09Feb18.png

 

     DPc氏はChilescopeω=353°Wのカラー像を狙った。然し、シーイングがいつもより悪いらしく、シヌス・メリディアニなど好い位置にありブランガエナの存在も判るが全體のキレが無い。流石にOxus dark segmentも形を成さない。北極冠は軟らかく白く出ている。南極冠域から北の方へ朝霧が掛かっている風情。

     http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2018/180209/DPc09Feb18.png

 

 

10 February 2018 (λ=128°Ls,  δ=5.9")

     DPc氏のChilescopeとのコラボに據る画像で、各色全部揃っており,RGB像は標準には達している。ω=343°Wで、詳細はRで語られている:シヌス・メリディアニはブランガエナのひげが宜しく。オクシア・パルス邊りではシオマネキのハサミがぶら下がっている様子に見える。朝方のマレ・アキダリウムは全部露呈しているが、南半分は稍淡い。永久北極冠は据わりがいい。GBの所爲で濃い霧が朝縁に見え、マレ・アキダリウムはここから出てきたように見える。南極近くにも朝霧の塊がある。

     http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2018/180210/DPc10Feb18.png

 

 

     EMr氏はω=354°WRGB画像を拵えた。R像がシッカリしており、オクシア・パルスの邊りの濃いハサミは好く出ている。朝方のマレ・アキダリウムの南半分はRでは淡い。南極方面には水蒸氣の膨らみがある。北極冠はどの画像も反応している如し。

     http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2018/180210/EMr10Feb18.png

 

 

12 February 2018 (λ=129°Ls,  δ=6.0")

      δ=6"に延びた。DPc氏はChilescopeと組んでω=325°Wφ=05°Nで各色の像を撮りRGBに合成した。シヌス・サバエウスが中央に横たわりシュルティス・マイヨルは夕方に杳い。ただB像は優れていてヘッラスの白い塊と北極冠の白さを担っている。南極方面朝方にも靄がある。マレ・アキダリウムは未だ十分な濃度を出していないが、Bではマレ・アキダリウムの底辺と関係する雲層が見られる。RGBではシュルティス・マイヨルの北端が白霧に覆われて、碧さを見せている。シヌス・メリディアニを見る限り完璧な像ではないが、微細構造やブランガエナなどは指摘できる。

     http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2018/180212/DPc12Feb18.png

 

        EMr氏がω=338°WIR685像を撮った。シヌス・メリディアニもマルガリティフェル・シヌスの北端も良い姿を見せないが、暗色模様はマレ・アキダリウムも含めて捉えている。

    尚、EMr氏の観測地Aguadilla の西経は 67°09'Wであるのに對し、Chilescopeの西経は70°45'Wであるから、火星の見える時刻は然程違わない。しかし、火星の高度は両者40°以上の差があると思われる。

     http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2018/180212/EMr12Feb18.png

 

 

13 February 2018 (λ=129°Ls,  δ=6.0")

     DPc氏のChilescopeとのコラボに據る画像で、ω=312°W。ヘッラスはどの像にも白く顕れるが、Bでは顕著で、逆にシュルティス・マイヨルはBでは淡くなっている。このことがRGBではシュルティス・マイヨルの北半分が青味をを示すことになる。詳細はRが受け持つ:アリュンの爪などは複雜。f5°Nとなってきた所爲でイスメニウス・ラクスから北の種々な暗色模様が横に寐る形なってきた。北極冠も平べったく見える。案外黄土色の地面は北極冠近くまで覆っているようだ。

     http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2018/180213/DPc13Feb18.png

 

     Km氏がL-colour像をω=120°Wで撮った。他にω=130°WR画像も。L像は10分のderotation29,000 framesをスタックしたもの、224MC像は17,000像を合成した。一方R像は廿分のderotation24,000 framesから合成した。メインのL-colour像は沙漠色は綺麗だが、模様の分布をタルシス山系のものと合わせるのは優しくはない。

     http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2018/180213/Km13Feb18.png

 

 

15 February 2018 (λ=130°Ls,  δ=6.1")

   DPc氏がChilescopeに據ってω=294°Wφ=05°Nの畫像を得た。ヘッラスはR以外では明るい円盤になって見えている。但し境界はボケボケに見えるがRGBでは形を成している。北極冠も明確(特にR)。シュルティス・マイヨルが大きく見えるが、北端は船底型で、Rに據ると四本ぐらいの短い飛び出しが出ている。ノドゥス・アルキュオニウスは細長く本来の形。ボレオシュルティスの邊りも詳しい。朝端にははシヌス・メリディアニが全体入ったところで既にアリュンの爪が見えている。マレ・セルペンティスの邊りは模様が軟らかく、ホイヘンス・クレータ等は明確ではない。

     http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2018/180215/DPc15Feb18.png

 

 

16 February 2018 (λ=130~131°Ls,  δ=6.1")

   先ず、CFs氏が、ω=183°Wφ=04°NRGBの各エレメントとIR685像を得た。何れも秀像である。タルシスの夕雲は白く出ているが、エリュシウムはは未だ朝方で、充分明るいが白い部分は多分エリュシウム・モンスの邊りのみ。エリュシウムを囲むプレグラや先行するプロポンティスIも明確。アエテリアの暗斑は部分的には濃く見えている。ケルベルスも太く三段構え。ケブレニアは赤っぽい。南でマレ・キムメリウムは全体がディスクに入って居る。ヘッラスの朝はBで少し見える。

     http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2018/180216/CFs16Feb18.png

 

     DPc氏は前日に引き続き遠隔操作でω=286°WRGB像單像。シーイングが悪いのかディテールはない。ノドゥス・アルキュオニウスも朧。

     http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2018/180216/DPc16Feb18.png

 

     ここでメルボルンの Maurice VALIMBERTI (MVl)氏の登場である。ω=060°WでのRGB像とそのエレメント。望遠鏡は36cm Richey Chretien @f/22を使用し、カメラはASI290MM、フィルターはAstronomikType IIc RGB.   Rではガンゲスからチトニウス・ラクス邊りが中央南に見えて北のマレ・アキダリウムは不明確、但しニロケラスは団子の塊に見える。B像は優秀でマレ・アキダリウムの近くの夕縁に夕雲を捉えて居る。南極邊りにも白雲。

     http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2018/180216/MVl16Feb18.png

 

 

17 February 2018 (λ=131°Ls,  δ=6.2")

     Km氏がω=079°WL-colour像とB像を得た。L-colour像は11分のderotation48,000像を合成し、(カラー像は17,000像をスタック)B像は24,000像を使用。L-colour像は大きくて見やすい。ソリス・ラクスが最も濃く見え、チトニウス・ラクスやポエニキス・ラクスも明らかで、タルシス三山も辿れるのではないかと思う。オピル、ガンゲスからアウロラエ・シヌス、更にニロケラスも辿れるマレ・アキダリウムのおおかたは夕没。B光では(ω=082°W)、南極の靄が出て居るほか、北半球にも濃淡が出ている。

     http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2018/180217/Km17Feb18.png

 

 

                     18 February 2018 (λ=131°Ls,  δ=6.2")

    CFs氏がω=151°WRGB像とIR685像。RGBではタルシスの夕雲とオリュムプス・モンスの側壁の白色雲が(GB)分離して綺麗に見える。エリュシウムは朝縁にあり、プレグラやプロポンティスIが揃い出している。北極冠域には二つ玉か。

  http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2018/180218/CFs18Feb18.png

 

    DPc氏のChilescopeによる像でω=252°W。大きくて充分詳細を写し込んでいる。シュルティス・マイヨルの北部は定型通りに出ていて、ボレオシュルティスの詳細も朝から詳しい。Rではホイヘンス・クレータが見えている。マレ・テュッレヌムの端っこのシュルティス・ミノルも可成り細かく出ている。ゲール・クレータ等の詳細も万全。ノドゥス・アルキュオニウスも好い形。但しアエテリアの暗斑は濃度が高かった時に比べて半分の大きさである。夕方のエリュシウムには夕靄が出ている。Bでは顕著。ヘッラスはどの色でも明るくRGBでは青白い。北極冠はRで形を見せているか。

     http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2018/180218/DPc18Feb18.png

 

 

19 February 2018 (λ=132°Ls,  δ=6.2")

   DPc 氏が同じ遠隔操作でω=253°Wを撮っている。画像の質は殆ど前日と同じだが、Rで見ると前日よりやや詳しく見える一方粗れているように見える。例えばノドゥス・アルキュオニウスには尻尾が出ているなど。エリュシウムは未だ全体がディスク内か?

  http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2018/180219/DPc19Feb18.png

 

 

20 February 2018 (λ=132°Ls,  δ=6.3")

      DPc氏は同じコラボでω=250°Wφ=03°NRGB像を作成した。稍像が甘くなって、詳細が暈けている。但しヘッラスに少し活動があるか?

  http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2018/180220/DPc20Feb18.png

 

 

21 February 2018 (λ=133°Ls,  δ=6.3")

     DPc氏の同じコラボ作品だが、像が落ち着いて優れた像である。ω=237°Wφ=03°N

  マレ・キムメリウムの北西端からシュルティス・ミノルに掛けての詳細はδ=6.3"ではこれまでお目に掛かっていない。100cmの分解能が生きているのであろう。この画像はアエテリアの暗斑の最近2010年頃からの変化を傳えている。ヘッラスの範囲も少し広がったか?

  http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2018/180221/DPc21Feb18.png

 

 

22 February 2018 (λ=133~134°Ls,  δ=6.3~6.4")

   DPc氏は引き続きChilescopeとのコラボによりω=227°WRGB画像を撮った。エリュシウム・モンスの白雲が強いが、アエテリアの暗班に接するところは地肌の色が鮮やか。夕方のプレグラなどが淡化したように淡くなっている。プロポンティスIは見えている。マレ・キムメリウムのハーシェル・クレータより北西部分は詳細が見えている。尚、アエテリアの暗斑が二股に分かれているのが明確に写し出されて居る。記憶に新しいところでは6 May 2014 (λ=126°Ls, δ=14.2")Bill FLANAGAN (WFl)氏のω=245°W252°Wに見られる。また、Don PARKER (DPk)氏の10 March 2012でのω=245°Wにも二股に分かれた姿が得られている。これらは2001年接近の頃の姿とも違っている。

  http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2018/180222/DPc22Feb18.png

 

   Km氏がω=022°WL-colour像を作った。36分のderotationで、L像は16,000画像,224MC画像は8,000枠の合成。お昼頃のマレ・アキダリウムが普通に見えており、北極冠の位置も類推できる。南半球ではシヌス・メリディアニからチトニウス・ラスク邊りまで模様は確認出來る。アルギュレの白霧も出ている。

  http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2018/180222/Km22Feb18.png

 

 

23 February 2018 (λ=134°Ls,  δ=6.4")

    DPc氏のChilescopeとのコラボによるω=222°W、φ=02°NRGB合成像(單像)。シュルティス・マイヨルは未だ朝霧の下でっぽい。ヘッラスも朝方だが、多くは水蒸氣が被っている様子。エリュシウムは白混じりで明るいが、プレグラなどは淡く見える。マレ・キムメリウムの西部は好く出ている方。ゲール・クレータへ延びる暗線は明確。ハーシェル・クレータも見るかも知れない。

  http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2018/180223/DPc23Feb18.png

 

    Tomio AKUTSU (Ak)氏がω=008°WRGB合成とω=010°WIR像。後者ではシヌス・メリディアニとマルガリティフェル・シヌスが分離しており、マレ・アキダリウムも南半分より北半分の方が稍濃いか。南極冠あたりの靄はBでは出ていない。

  http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2018/180223/Ak23Feb18.png

 

 

24 February 2018λ=134°Ls,  δ=6.4")

     同じくDPc氏のChilescopeとのコラボによるω=191°WのRGB合成像(單像)。未だシュルティス・マイヨルは朝霧の中で姿を見せていない。マレ・キムメリウムは全体が盤の中に姿を見せているが、西端はミスティである。エリュシウムも未だ朝方であるが、エリュシウム・モンスは白雲の中。プロポンティスIは好く見えるがその東端にはタルシスの雲の名残が見えている。北極雲域も白霧っぽい。

  http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2018/180224/DPc24Feb18.png

 

 

25 February 2018 (λ=135°Ls,  δ=6.5")

    同じくDPc氏のChilescopeとのコラボによるω=199°WのRGB合成像(單像)。シュルティス・マイヨルは顕れていない。マレ・キムメリウムも不鮮明。エリュシウム・モンスの雲が白く明るい。ケルベルスやアエテリアの暗斑は前日より濃く見える。ヘッラスは前日より弱く見える(角度の所爲)。シーイングは悪いようでゲール・クレータの位置も判らない。

  http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2018/180225/DPc25Feb18.png

 

 

26 February 2018 (λ=135~136°Ls,  δ=6.5~6.6")

     MVl氏がω=314°WRGB合成像とそのエレメントを示した。朝方のシヌス・メリディアニ(アリュンの爪)は特にRで非常にきれいに出ているが、夕方のシュルティス・マイヨルは輪郭がすっきりしない。ヘッラスは夕端近くだが、然程冴えない。但しG Bではヘッラス南部の明るさが目立つ。アルギュレの白霧も縁にGBでは見えている。IR像はω=316°W

  http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2018/180226/MVl26Feb18.png

 

      Ak氏がω=347°WRGB像、ω=349°WIR像。後者ではシヌス・メリディアニとマルガリティフェル・シヌスの間のアラムが明白。マレ・アキダリウムも朝方に全貌が見える。RGBでは何れもボンヤリしている。南極方面に靄が當たっているのかも知れないが、Bでもハッキリしない。

  http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2018/180226/Ak26Feb18.png

 

      Km氏がω=349°WL-colour像を作った:12derotationL像は40,000フレームをスタック,224MC像は2,4000フレームを合成している。シヌス・サバエウス-シヌス・メリディアニは綺麗で、マルガリティフェル・シヌスも独立して見え、パンドラエ・フレトゥムは寧ろ淡化もしくは斑點に分解している。マレ・アキダリウムは未だ朝方に寝ているが、東端と西端が濃く残る状態で二つに裂かれて居るような感じ。マレ・アキダリウムに沿ってオクスス運河は見えている。北極冠の痕跡も伺え、南極方面にも靄が立っている(B)R像はω=357°Wで、シヌス・メリディアニやマルガリティフェル・シヌスなどのコントラストが揚がっている。アリュンの爪は出ている。オキシア・パルスの斑點も好い。南極方面の靄は層を成しているように見える。R像は21分のderotation88,000frsのスタックである。

  http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2018/180226/Km26Feb18.png

 

 

27 February 2018 (λ=136°Ls,  δ=6.6")

   Km氏がω=334°WL-colour像を作った。前日の像より印象が薄い。シヌス・メリディアニは好く見えているが、シヌス・サバエウスや半分隠れたシュルティス・マイヨルはぼやけた印象。ノアキスの方もハッキリしない。マレ・アキダリウムも半分ほど見えているか。12derotationL40,000フレームのスタック。一方R像はω=341°Wで、11derotation40,000フレーム。シヌス・メリディアニなどもコントラスト好く、少しの違いでマレ・アキダリウムも二裂き状態で見えている。

  http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2018/180227/Km27Feb18.png

 

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