CMO/ISMO 2018 観測レポート#22

2019年五月の火星観測 (λ=019°Ls ~λ=033°Ls)

村上 昌己

CMO #485 (10 June 2019)


・・・・・・  今期22回目のレポートは、『火星通信』に報告のあった五月中の観測を取り上げる。この期間の火星は「おうし座」から「ふたご座」へと進んで、視赤緯 D は中旬に最大(24°33.6’N)となった。19日には散開星団M35のすぐ北を通過していった。日没後の西空に低くなったが、果敢に撮影に挑んでいる熱心な観測者からの報告があった。視直径は下旬には4秒角を切って、いよいよ今回の接近期も終わりとなった。最後の観測報告は、マーチン・ルゥィス氏からの21 May 2019 (δ=4.0”, λ=028°Ls)であった。

今回で、2018年接近期のレポートは終了となる。2 Sept 2019の「黄経合」のあと、視直径が4秒台に回復するのは、12月上旬のことで、朝方の南東の空に「てんびん座α星」と並んでいる。

 

・・・・・・ 次いで、今接近の『火星通信』への観測報告を集計して取り上げる。

 観測報告は42名から、報告総数は1800点に達している。

地域別に見てみると、

日本 7名 606観測

北米 10名、中南米 3名 682観測

ヨーロッパ 11名  162観測

アジア・オセアニア 8名 151観測

アフリカ 2名 220観測

の内訳である。

 デミアン・ピーチ氏(チリ)と、浅田正氏(ハレアカラ、ハワイ)の遠隔操作望遠鏡による撮影は、アメリカ大陸側の集計に含まれている。

なお、報告数は火星面中央経度(ω)5度以上違うものを一つの報告として、RGB合成画像、カラーカム画像、IR画像ごとに数えている。

 

 観測数の多かった報告者は、日本では熊森氏(324)と阿久津氏(138)があげられる。熊森氏は、7月中には沖縄に遠征して良質の画像を多く報告された。北米では、ピート・ゴルチンスキー氏(222)が、多くのIR画像を報告された。デミアン・ピーチ氏(106)も、5月のバルバドス遠征画像を挟んで、チリ・テレスコープ(100cmRC)の遠隔操作で良像を得ている。他には南アフリカのクライド・フォスター氏(190)が、南半球の地の利を生かして、July 2017の「合」開け後の Oct 2017からルーチン観測を続けられ、火星の赤緯が北に移ったJan 2019まで報告が届いた。途中の御尊父のご不幸での中断がなければ、もう少し観測数は延びていたと思われる。オーストラリアの諸氏からも詳細を捕らえた画像が多く寄せられた。南中高度の低かったヨーロッパからの入信は、赤緯が回復した後半になって増えていった。

 

・・・・・・ MRO MARCI の画像から、五月中の火星面の様子を経度別に拾ってみた。ウエッブページのコメントでは、北半球は春の季節が進んで、北極冠の周囲のダストの活動や高山に懸かる氷晶雲の活動が取り上げられている。

 


シヌス・メリディアニから、マレ・アキダリウム付近。昨年の黄雲で変化の見られた、マルガリティフェル・シヌスからオクソス・パルス付近は、まだ影響が続いているのが見られる。マレ・アキダリウムの北部には連日明るい模様に変化が見られる。

 


タルシス三山やオリュムプス・モンス地域。アルバ・パテラを含め、山岳雲の掛かり方は日替わりになっている。

 


エリュシウム付近。モンスには山岳雲が懸かる。月末の画像には北極冠の縁から南に延びるダスト活動がある。アエテリアの暗斑はダストの影響か濃度が薄くなっている。

 


シュルティス・マイヨル付近。ヘッラスは丸く明るく地肌の色。シュルティス・マイヨルは細身で標高の低いところは、まだダストの影響があるように思える。アラビアの沙漠にはカッシーニ・クレーターが見えるようになっている。

 


最後に五月末のダスト活動を取り上げる。

はじめの画像にはマレ・アキダリウム北方のダスト活動を示す。次の三葉では、27 Mayからのアルギュレ北方のダスト活動が、マリネリス渓谷に及び、渓谷の地形が明るく見えるようになった様子が示されている。。

 

 

・・・・・・『火星通信』に五月中に寄せられた観測は、以下のように二名から3観測だけであった。季節的にも大きくなっている北極雲/冠が白く明るく捉えられている。暗色模様も捉えられていて、大きな擾乱は起こっていないようである。

    マーチン・ルウィス (MLw) ハートフォードシャーイギリス

     2 Colour Images (14, 21 May 2019)   45cm Spec with an ASI 224MC

    フランク・メリッロ (FMl)  ニューヨーク、アメリカ合衆国

     1 Or (610nm) Image (9 May 2019)   25cm SCT with a DMK21AU618.AS

 

・・・・・・ 五月の観測リスト

以下に、五月の観測のリストとリンク先を記します。

  9 May 2019 (λ=022~023°Ls, δ=4.1")

    MELILLO, Frank J (FMl)氏がω=205°Wで撮影。

 http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2018/190509/FMl09May19.png

 

14 May 2019 (λ=025°Ls, δ=4.0")

    LEWIS, Martin R (MLw) 氏がω=080°Wで撮影。

http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2018/190514/MLw14May19.png

 

21 May 2019 (λ=028°Ls, δ=4.0")

    MLw氏がω=011°Wで撮影。

http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2018/190521/MLw21May19.png

 


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