CMO/ISMO 2024/25 観測レポート#19
2025年九月の火星観測報告
(λ=133°Ls ~ λ=148°Ls)
村上 昌己・西田 昭徳
CMO
#551 (
♂・・・・・・ 今回も『火星通信』に送られてきた九月中の火星画像より、今期十九回目のレポートをまとめる。下図のように、火星は九月には「おとめ座」を赤緯を下げながら順行していった。スピカの北を12日に通過して、赤緯が10゚Sに下がったのは16日のことであった。
日没後の西空にあって北半球では日没時の高度はかなり低くなり、視直径も4.1秒角台を下回り小さくなり、画像報告者もごく少なくなったが、南半球のフォスター氏は、日没時の高度はまだ高く、多くの観測日数をこなしている。

九月には季節(λ)はλ=133°Lsから148°Lsまで進み。北半球の夏の季節の観測となった。地球の季節とは比較できないが八月頃の季節になっていた。視直径(δ)は、4.1”から月末には3.97”と4秒角を下回るように小さくなった。傾き(φ)は24°Nから月末には19°N台にまで南に戻ったが北向きに大きく、永久北極冠がまだ小さく捉えられている。位相角(ι)は、ι=23°から18°へと減少した。欠けは朝方にかかっている。
今回は、視直径の大きな時の同じような季節の記事を紹介する。傾きも今回同様に北に大きく、北極冠周りの詳細や、ヘッラスの明るい状況などがつぶさに感じられる。
2014年の接近時には、視直径の大きな時の記事があり、以下のリンクから辿れる。
CMO#425 (16 May -31 May 2014, λ=131°~139°Ls, δ=13.3~11.8”)
https://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmo/425/425_repo_11.htm
CMO#426 (1 June -30 June 2014, λ=139°~154°Ls, δ=11.8~9.5”)
https://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmo/426/426_repo_12.htm
♂・・・・・・ 2025年九月の火星面の様子
○
火星面概況
火星は、九月には視直径(δ)はδ=4.0”に小さくなり、詳細は捉えがたくなった。傾き(φ)は北向きにまだ大きく、永久北極冠が小さく確認できている。北極冠周りの擾乱は観測されなかった。また、南半球では冬を迎えたヘッラスが、降霜で朝方から明るく見えているようになっていて、フォスター氏の月末の観測に捉えられている。
○ この期間の火星面の様子
以下には、今月もフォスター氏の画像を日付順に並べてご覧いただく。R610 LongPass
filter を使用している画像だけの日もあるので、別にまとめて下段に示す。報告画像の全部である。

6
September の画像には、小さい北極冠が明瞭に捉えられている。夕縁には夕靄の明るさがひろがり、クリュセあたりに明るさがある。中央にはオリュムプス・モンスと思われる明斑がわかる。右画像は同じ季節の視直径の大きな時の画像で、オリュムプス・モンスが中央にドーナツ状の明斑で認められる。
7 September の画像も同様で、北極冠周囲の暗帯の南にはオリュムピアの東端あたりの明るさが見えている。右画像では明瞭。
15 September の画像には、マレ・アキダリウムが午後側に出てきている。北極冠と接しているヒュペリボレウス・ラクスが濃く描写されている。
18 Septemberでは、マレ・アキダリウムが午前側で、朝靄が明るく捉えられている。
27・29 September の画像は、下記のヘッラスの記事を参照されたい。

次には、R610 LongPass フィルター画像を取り上げる。コンディションの悪い日の画像はこのIR領域まで感度が伸びたフィルター画像である。暗色模様が強調して描写されている。
16・17 September の画像は、マレ・アキダリウム中央の画像で、北部のタナイスの東側と、北極冠に接したヒュペルボレウス・ラクスの濃度が描写されている。南半球のマレ・エリュトゥラエウムも暗帯が東西に拡がり、その北側に明るさが感じられる。下旬の三枚は以下のヘッラスの記事に取り上げる。

ヘッラスの夕方・昼間・朝方の様子を捉えた画像を並べて示す。下段は視直径が大きな2014年の、季節(λ)の近い画像を中央緯度(ω)をそろえて、比較のために並べた。傾き(φ)も同様であった。八月には朝方でのヘッラスの明るさは、あまり感じられなかったが、九月の下旬には明るさが感じられる様になっている。下段の画像はサイズを小さくしていることをお断りしておく。
夕縁の明るさも、下段の画像が参考になる。リビヤの明るさや、エリシウムあたりの明るさが同定できる。上段に取りあげた2014年へのリンクからの記事には、連日の画像毎に南政次氏の解説が付けられている。
♂・・・・・・ 2025年九月の観測報告
九月には報告者は、アフリカのフォスター氏だけといっても良い状況になった。アメリカ側からはウイルソン氏より月初めの1観測だけで、フォスター氏からの19観測と合わせて、合計では2名から20観測であった。フォスター氏は日没前からの撮影になっていて、月末の日没時の火星の地平高度は30度ほどと、まだ高さはあった。
クライド・フォスター (CFs) ホマス、ナミビア
FOSTER,
10 Sets of RGB + 1 R
+ 16 R610LP Images
(1~4, 6~8, 10, 14~18, 23, 27,
36cm SCT with an ASI 290MM
https://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2024/index_CFs.html
ティム・ウイルソン (TWl) ミズーリ、アメリカ合衆国
1 Set of RGB + 1 IR Images
(
https://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2024/index_TWl.html
♂・・・・・・ 今期観測の参考に
(再掲)
今期の観測とも重なるが、次回接近期にも北半球の春分(λ=000°Ls)過ぎの観測となる。一サイクル前の観測期にまとめた下記の論考を参考にされたい。
「2011/2012年の火星(そのII)」
CMO/ISMO #395 (25 March 2012)
https://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmo/395_MNN.htm
「2013/2014年の火星」 CMO/ISMO #413 (25 August 2013)
https://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmo/413/2013_14_FC_01.htm
「ω=170゚W〜ω=180゚Wの窓から見た
λ=054゚Ls(2012年) 〜λ=141゚Ls(2014年)に観測された北極冠形状の推移」
ISMO 2013/14 Mars Note (#04) CMO #431 (25 February 2015)
https://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmo/431/ISMO_Note_2014_04.htm