CMO/ISMO 2024/25 観測レポート#20

2025年十月・十一月の火星観測報告

 (λ=148°Ls ~ λ=167°Ls)

村上 昌己・西田 昭徳

CMO #552 (10 November 2025)


・・・・・・ 『火星通信』に送られてきた十月中の火星画像より、今期20回目のレポートをまとめる。十一月上旬までフォスター氏からの画像が入信しているので、それらも含める。

火星は十月には「おとめ座」から「てんびん座」を移動して、下図のように十一月始めには「さそり座」まで順行を続けて、赤緯は20S以下に下がってしまった。南半球のフォスター氏は太陽との離角が17゚になった、6 Nov. (λ=167°Ls)まで撮影を続けた。

 


 

十月には季節(λ)λ=148°Lsから164°Lsまで進み。北半球の秋分近くまでの季節の観測となった。視直径(δ)は、 3.97”から3.89”と4秒角を少し下回るよう値で推移した。傾き(φ)19°N台から月末には12°N台にまで南に戻った、位相角(ι)は、ι=18°から12°へと減少して、朝方の欠けは小さくなった。

 

 今回も、視直径の大きな接近時の同じような季節の記事を紹介する。2014年には傾きは今回同様に北に大きく、北極冠周りの詳細や、ヘッラスの明るい状況などがつぶさに感じられる。

 

2014年の接近時には、視直径の少し大きな時の記事があり、以下のリンクから辿れる。

CMO#426 (1 June -30 June 2014,  λ=139°~154°Ls, δ=11.8~9.5”)

https://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmo/426/426_repo_12.htm

CMO#426 (1 July -31 July 2014,  λ=154°~171°Ls, δ=9.5~7.9”)

https://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmo/427/427_repo_13.htm

 

2016年の接近時には、接近期の視直径のさらに大きな時の記事がある。傾きは北向きに大きくない。

CMO#448 (1 May -15 May 2016,  λ=146°~153°Ls, δ=16.1~17.9”)

https://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmo/448/2016repo_08.htm

CMO#449 (16 May -31 May 2016,  λ=153°~162°Ls, δ=17.9~18.6”)

https://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmo/449/2016repo_09.htm

 

 

♂・・・・・・ 2025年十月の火星面の様子

○ 火星面概況

火星は、十月には視直径(δ)δ=4.0”以下に小さくなり、傾き(φ)は北向きにまだ大きいが、北極冠がはっきり確認できる画像は捉えられなくなった。南半球では降霜で明るかったヘッラスも、λ=150°Lsを過ぎて春に近づくと、だんだん明るさが落ちてくる期間になっている。赤道帯霧も弱まってしまう。

 

○ この期間の火星面の様子

今回の期間に寄せられた画像は、フォスター氏からの画像だけになっている。十一月に入っての画像は合成枚数も少なく詳細は描写されていなくなった。以下の画像に取り上げるように大きな擾乱の発生は感じられない。

 


十月上旬には、RGBR610 LongPass filter画像の組み合わせの、セット画像がまだ作成されている。シュルティス・マイヨルが朝方に見え、エリシウムあたりの明るさが捉えられている画像が並ぶ。B光画像には詳細はなく、おぼろに赤道帯霧が感じられるものもある。R610 LP filter 画像には、明暗模様はまだ写っている。

 


中旬になると、セット画像は減って、R610 LP filter 画像が中心となる。暗色模様の少ない経度になり、モンスの明るさも目立たず、北極域も薄明るいだけで、夕縁の明るさが捉えられているだけとなっている。南半球の暗帯は、マレ・シレーナム付近。

 


下旬になると、R610 LP filter 画像だけになって、四日間の連続観測の期間があった。ソリス・ラクスからマレ・アキダリウムの暗色模様の賑やかな経度が10度刻みで並んでいる。オピルやテムペ付近の明るさがわかる。南極地方のうす明るさも感じられる。最後の画像には、シヌス・メリディアニも出てきている。

 

 

♂・・・・・・ 2025年十月・十一月の観測報告

十月の報告者は、アフリカのフォスター氏だけとなった。十月には19観測であった。十一月には2観測が寄せられている。フォスター氏は日没前からの撮影で、火星の地平高度は下旬には30度以下になっている。

 

クライド・フォスター (CFs)  ホマス、ナミビア

   FOSTER, Clyde (CFs) Khomas, NAMIBIA

   10 Sets of RGB + 1 R + 16 R610LP Images  (1~4, 6~8, 10, 14~18, 23, 27, 29 Octber 2025)  16 Days

                                     36cm SCT with an ASI 290MM

 

  クライド・フォスター (CFs)  ホマス、ナミビア

   FOSTER, Clyde (CFs) Khomas, NAMIBIA

    2 R610LP Images (1,, 6 November 2025)  36cm SCT with an ASI 290MM

  https://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2024/index_CFs.html

 

 

♂・・・・・・ 来期観測の参考に (再掲) 

今期の観測とも重なるが、次回接近期にも北半球の春分(λ=000°Ls)過ぎの観測となる。一サイクル前の観測期にまとめた下記の論考を参考にされたい。

2011/2012年の火星(そのII)」  CMO/ISMO #395 (25 March 2012)

https://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmo/395_MNN.htm

 

2013/2014年の火星」  CMO/ISMO #413 (25 August 2013)

https://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmo/413/2013_14_FC_01.htm

 

「ω=170W〜ω=180Wの窓から見た

λ=054Ls(2012) 〜λ=141Ls(2014)に観測された北極冠形状の推移」

 ISMO 2013/14 Mars Note (#04) CMO #431 (25 February 2015)

https://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmo/431/ISMO_Note_2014_04.htm

 


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