Coming Mars 2001 (01)

FORTHCOMING 2001 MARS
(1)


2001年の火星

南 政 次・西田 昭徳



 ★愈々注目の火星到来である。ここ暫く北半球中心の接近であったのに対し、これから数回は中央緯度φが南半球に移る。久々に南半球の模様が観察できる。視直径δが20秒角を越えるのは1988年の大接近以来である。ただ、今回は夏の佳境の頃火星の水平高度が最悪となる。この両点では、次回の2003年の方が遙かにどちらとも好い機会となるのであるが、最接近前の情報は2001年特有のものがあるから、見逃せない。
 ★2000年十一月1日でδ=4.1"となり、まだ、視赤緯+2゚であるが、年末には−12゚まで落ちる。

 ★2001年は1Janで、δ=5.2"、最接近の21June 23hGMTでδ=20.8"、年末31Decには未だδ=6.3"であるから、視直径から見ると2001年はフルに火星観測年となる。火星の季節はその間、097゚Lsから300゚Lsまで推移する。南半球の冬至から春分を過ぎて、夏至までがスッポリと入る。最接近日は182゚Lsで、まさに南半球の春分直後である。
 ★δ=10秒を越えるのは、29 Mar (137゚Ls)から11 Oct (250゚Ls)あたりまで、また、1999年最大視直径の16.2"を越えるのは13 May (160゚Ls)から7 Aug (210゚Ls)迄の八十七日間もある。


 ★気になる視赤緯であるが、西矩になる14 Febには−19゚、1Aprには既に−23゚近く、留になる12 Mayには−24.6゚に落ちる。逆行に入っても更に下がり、13 Juneの対衝時では−26.5゚にある。21 Juneの最接近では−26.7゚あたり、20 Julyの留では−26.8゚あたりである。19 Augには−27゚に至る。底は八月下旬であるが、未だδは14"を持続する。九月末に−25゚を回復するが、東矩の30Octでも−22゚あたりである。年末には−6゚まで回復する。Mk氏に依れば、五月の最初の留あたりでは「射手座」のM8(干潟星雲)、M20(三裂星雲)に接近し、七月中旬には逆行して東からアンタレスに接近し、再び離れて九月下旬にはM22、M28の両球状星団の近くを通過するということで、如何に火星の高度の低いかが分かる。


 ★中央緯度φは赤道に近いところを彷徨き、今回は南北両半球が公平に見える。前半は矢張り北半球/北極に注目する。四月上旬から五月下旬(168゚Ls)まで、φは南を指すがさほどではない。最接近時でφ=4゚Nである。南極雲/南極冠を観察する折角の機会だが、深くない。ただ、180゚Ls前後は重要で、ヘッラスなど盆地の絡みで注意深く観測する必要がある。ヘッラスは10 Apr 2000 (143゚Ls) 18:00 GMTあたりで、日本に向く。このときφ=0.3゚Sである。四十日を加えると、20 May前後、June末などが機会となる。尤も、ヘッラスは150゚Lsあたりで活動を停止してくるから、三月上旬(125゚Ls)などもチェックして資料を集めなければならない。南極冠の初期の問題については別項で述べる。
 ★なお、今回はまだ南が十分ではないが、逆に言えば、北半球の遅い季節の観察という点では依然絶好の機会であることは注意すべきである。225゚Lsあたり(八月下旬)のクリュセなどは注目する。
 ★九月中旬(230゚Ls)からはφは本格的に南を向く。従って、南半球の黄塵の時期と重なるので、これは後半の課題である。 



     Mars Diary for 2001

  西    矩 ・・・・ 13 Feb  2001 22h (GMT)
    留    ・・・・ 11 May  2001 15h 
  赤 径 衝 ・・・・ 13 June 2001 14h 
                     177.6°Ls       
  黄 経 衝  ・・・・ 13 June 2001 18h 
                    177.7°Ls      
  春    分  ・・・・ 17 June 2001 19h 
 (南半球)         180.0°Ls   

  最 接 近 ・・・・ 21 June 2001 23h 
      Ls値           182.4°Ls      
   火星面中央緯度  4.6°N        
     視直径           20.79"         
     光 度           -2.4              
     接近距離         0.45017 au  (6734万km)            
     位 置           赤径: 17h14m,  赤緯: -26゚ 46' 

     留     ・・・・ 19 July 2001 23h 
  東    矩  ・・・・ 30 Oct  2001 02h 
  夏    至  ・・・・ 11 Nov  2001 11h
 (南半球)          270.0°Ls