96/97 report 003

1996/97 Mars Observation Reports

-- #003 -- 16 Oct. - 15 Nov. 1996


─ OAA MARS SECTION ─ 南 政 次 ─
♂・・・・・・・・この報告(今期三回目)は16 Octから15 Nov 1996までの一ヶ月間の觀測を 扱う。火星の季節は024゚Lsから038゚Ls間で進捗した。但し視直徑は5.1"から5.9"に留 まっている。中央緯度は22゚Nから24゚Nに上った。位相角は33゚から36゚へと缺具合は強 くなっている。

♂・・・・・・・・今回拝受の觀測は次のようである。


    HIKI, Toshi aki 日岐 敏明 (Hk)  箕輪、長野 Minowa, Nagano, Japan
           6 Drawings  (18, 20 Oct; 3, 15 Nov)  360×16cm speculum 

     ISHADOH, Hiroshi 伊舎堂 弘 (Id) 那覇 Naha,Japan
       1 Drawing  (5 Nov)  530×31cm speculum

   MINAMI, Masatsugu 南 政 次 (Mn) 福井 Fukui, Japan
           14 Drawings  ( 21, 30 Oct; 3, 15 Nov)  340,400×20cm refractor*

     NAKAJIMA, Takashi 中 島  孝 (Nj)  福井 Fukui, Japan
            1 Drawing  (15 Nov)  340×20cm refractor*

     NARITA, Hiroshi 成 田  廣 (Nr)  川崎 Kawasaki, Japan
            6 Drawings  (23, 25, 29, 30 Oct; 5. 9 Nov)  400×20cm refractor

                     *福井市自然史博物館天文臺  Fukui City Observatory

 ♂・・・・・・・・この一ヶ月、日本からはエリュシウムから以東、シュルティス・マイヨル の夕方まで觀測可能であった。18 OctにHk氏はLCM=225゚Wと235゚Wで觀測し、エリュシ ウムが明るくないと見ている(025゚Ls)。21 Oct邊りでは大きな模様は無いが、プロポ ンティスTの邊りは薄暗く、北極冠を取り巻く暗帯は濃い。同日LCM=199゚Wで、南半 球夕方は明るい。エリュシウムは確かに目立たない。福井の30 OctはLCM=087゚Wから で、マレ・アキダリウムが夕端に濃い。クリュセ-クサンテは夕方で鈍く明るい。ソ リス・ラクスも分離できるかと言うところ。その西方の朝方は靄っている。アルギュ レは南端で白く明るい。この日はLCM=128゚W(21:10GMT)まで。北極冠は明確で、朝端 の丸味が見える。プロポンティスTの邊りは薄暗い。3 Nov、Hk氏はLCM=086゚Wで觀測 :北極冠のダークフリンジ明確、テムペは明るくない。ソリス・ラクスは時々分離、 アウロラエ・シヌスは夕端で濃い。マレ・シレヌムは西端に見えている。同日福井は LCM=043゚Wから開始:マレ・アキダリウムは北部が濃く、北極冠の暗帯と連動する。 南端ではアルギュレが白い。クリュセが夕端でやや明るい。LCM=087゚Wまで。5 Novの Id氏はLCM=066゚Wで觀測、ニロケラスが夕方で濃く、ダークフリンジも明確。クサン テが夕靄風でやや明るく、アルギュレも幽かに明るい。ソリス・ラクス邊りは淡い。 北極冠の輝きは押さえられている、と感じている。15 Nov福井は透明度が悪かったが、 シュルティス・マイヨル中心でどうにか捉えられる程度だったが、Hk氏は透明度がよ い中で觀測、LCM=323゚W、332゚Wでマレ・アキダリウムの朝方を見ている。シヌス・メ リディアニも見えるようである。北極冠は純白で、丸味を帯びてきている。  Nr氏の觀測は北極冠以外描かれていない。北極冠の形も實際と違い、缺具合も曖昧 である。もっとじっくり觀察し、更に、基本的な事柄を勉強して下さい。

♂・・・・・・・・天候は前回に比べて、移動性高気壓が來なくなり、随分悪くなって、觀測 も全體に不調であった。Mk氏は何度か待機したようだが、冬型の天気のもとでは好 シーイングに恵まれずスケッチは断念した由。福井は3゚Cより低くなっていないが、 Hk氏の伊那では20 Octには1゚Cに下がった様だ。これから、氣候はますます厳しくな りますから、皆さん風邪豫防など留意して觀測にお励み下さい。
(南)