98/99 report #05

1998/99 CMO Mars Report #05

1999年一月後半・二月前半の火星面觀測


『火星通信』同人・南 政 次 (Mn)
♂・・・・・・・6Feb(096゚Ls)にLs還暦の岩崎徹(Iw)氏が觀測を開始した(Note「遅れ馳せながらシーズン開始!」)。これで、皆さん揃って、遅いお正月を迎えたようなものである(丁度舊暦の春節だが)。今回は16Jan(084゚Ls)から15Feb(098゚Ls)の一ヶ月間を扱うが、フロリダにパーカー(DPk)さんを除いて悪天候に苛まれた。晴れているからと言って、西高東低では表日本でも悪天候の内である。 ♂・・・・・・16Janには086゚Ls、δ=7.0"であったが、15Febには098゚Ls、δ=9.0"に進捗した。視直徑は現在一日に0.1"ずつ増して行くから、十日もすると1秒角増える勘定で、悪天候が續いて久しぶりに見ると急に大きくなった感じとなる。中央緯度は21゚Nから、17゚Nに降りた。位相角も36゚から35゚に降りて來た。視赤緯は二月中旬で南緯12゚程であったが、三月までは未だ下がる。

♂・・・・・・・今期の『火星通信』同人から報告は次のようである:

      AKUTSU, Tomio 阿久津 富夫 (Ak)  栃木・烏山 Karasuyama, Tochigi, Japan
             9 CCD Images  (18, 22 January; 4, 6, 8, 9, 15 February 1999) 
                                 f/60×32cm speculum, Teleris 2

      BIVER, Nicolas  ニコラ・ビヴェール (NBv)  ハワイ Hawaii, USA
             8 Colour Drawings (17, 18, 19 Dec 1998; 14, 30 Jan; 15 February 1999) 
                                    510×26cm speculum

      GRAY, David デイヴィッド・グレイ (DGr)  ダラム Kirk Merrington, Durham, UK
             5 Drawings  (16, 21, 22 January; 7, 8 February 1999) 
                             350, 415, 660×42cm Dall-Kirkham

      HIGA, Yasunobu 比嘉 保信 (Hg)  那覇 Naha, Okinawa, Japan  
            12 Video Image (6, 9, 10 February 1999) 25cm speculum, Sony DCR-TRV900 

      HIKI, Toshiaki 日岐 敏明 (Hk) 箕輪・長野 Minowa, Nagano, Japan
            13 Drawings  (16, 26, 29, 30, 31 January; 1, 4, 11, 12, 14, 15 February 1999) 
                             340, 360, 400×16cm speculum

      ISHADOH, Hiroshi 伊舎堂 弘 (Id)  那覇 Naha, Okinawa, Japan
            15 Drawings  (21, 24, 25, 26, 29 January; 6, 10, 14, 15 February 1999) 
                            400, 530×31cm speculum

      IWASAKI, Tohru 岩 崎  徹 (Iw)  北九州 Kitakyushu, Fukuoka, Japan
             9 Drawings  (6, 8, 15 February 1999)  400×21cm speculum

      MELILLO, Frank J  フランク・メリッロ (FMl)  ニューヨーク NY, USA
             2 CCD Images (11 February 1999) 20cm SC Starlight Xpress MX-5

      MINAMI, Masatsugu 南  政 次 (Mn)  福井 Fukui, Japan
           57 Drawings  (17, 18, 31 January; 4, 6, 8, 14, 15 February 1999) 
                           400, (600)×20cm refractor* 

      MURAKAMI, Masami 村上 昌己 (Mk)  横浜 Yokohama, Kanagawa, Japan
           15 Drawings  (22, 31 January; 1, 4, 5, 14, 15 February 1999)  
                           320×20cm Saheki speculum

      NAKAJIMA, Takashi 中 島  孝 (Nj)  福井 Fukui, Japan
           28 Drawings  (17, 18 January; 4, 6, 8, 14, 15 February 1999)  
                           400×20cm refractor*

      NARITA, Hiroshi 成 田  廣 (Nr)  川崎 Kawasaki, Kanagawa, Japan
           22 Drawings  (17,〜21, 27, 28, 29 January; 2, 3, 5, 〜8, 13, 14, 15 February)        
                           400×20cm refractor

      PARKER, Donald C  ドナルド・パーカー (DPk)  フロリダ Miami, FL, USA
           17 CCD Images  (18, 20, 29, 31 January; 2, 4, 5, 8, 9 February 1999) 
                                f/55×41cm speculum equipped with Lynxx PC

      QUARRA SACCO, Giovanni A ジャンニ・クアッラ (GQr)フィレンツェ Firenze, Italia
            1 CCD Image  (23 January 1999)  f/24×30cm Cass, ISIS CCD800 
 
                                             *福井市自然史博物館天文臺 Fukui City Observatory
♂・・・・・・次のように、JWr氏の最初の觀測報告があった。
      WARELL, Johan ヨハン・ヴァレッル (JWr) ウップサラ Uppsala, Sweden
            1 Drawing  (11 January 1999)  330×16cm refractor
JWr氏の觀測は082゚Ls、ω=072゚Wのもので、マレ・アキダリウムが寝ている。朝端は明るい。北極冠のダークフリンジが見えないとしている。氣温は−15゚Cである。

♂・・・・・・今回も以下項目別に纏めることにする。缺測日が多く、觀測の密度に斑があるのは仕方がない。尚、今回は、大氣的な様相にのみ集中し、暗色模様はその關係でのみ觸れる。

ヘッラス :

 ヘッラスはこの一ヶ月で明るさを急速に増した。16Jan(084゚Ls)に日岐敏明(Hk)氏がω=258゚W、267゚Wで白く輝くヘッラスを觀測、但し輝度を3とした。翌17Jan(085゚Ls)に福井で中島孝(Nj)とMnが明るいヘッラスを觀測、ω=260゚W〜ω=280゚Wなどで、ヘッラスは2.0〜1.5だが、北極冠は0.5で矢張り北極冠に劣っていた。
 然し、一ヶ月後の14Feb(097゚Ls)、15Feb(098゚Ls)にはヘッラスは北極冠を凌いで輝いていた。15Feb(098゚Ls)のω=280゚Wで、ヘッラスの輝度は0.0〜0.5だが、北極冠は1.0〜0.5(Mn)、一方Nj氏はω=295゚Wでヘッラス0.5、北極冠は1.0とした。橙(O56)でも好く見え、赤(R60)でも見える。14Feb等では未だヘッラスの好く視野にあるとき(ω=280゚W)は火星の高度は低かったのであるが、既に強く明白であった。

AKUTSU's CCD on 18 Jan (085 degs Ls) at LCM=236 degs W
 伊舎堂弘(Id)氏は14Feb(097゚Ls)ω=300゚Wで、ヘッラスは白く輝き北極冠よりを明るいと紀録。同じくω=314゚Wでは、ヘッラスの輝きが落ち、北極冠の方が明るいかとしている。村上昌己(Mk)氏は同日やや遅くω=316゚Wからだが、ヘッラスは「白く明るく、膨れ上がった様」な状態、15Feb(098゚Ls)にはId氏はω=312゚Wでヘッラスは白く明るいが、北極冠に劣るとする。同時刻岩崎徹(Iw)氏が初めてヘッラスを觀測、「目立つ」とする。次いでMk氏もω=314゚Wでは一見して北極冠・朝霧とともに目立つとする。14、15Febは北極冠は好く晴れていたので、明らかにヘッラスは085゚Lsから097゚Lsの間に變化した譯である。

 この間日本からは、阿久津富夫(Ak)氏の18Jan(085゚Ls)にω=236゚Wの像がある(引用)。ヘッラスについては角度が淺いが、B光でも明るくはない。ヨーロッパに移って、23Jan(087゚Ls)にクアッラ(GQr)氏のω=294゚Wの觀測がある。矢張り赤では弱く、青(420nm)でも然程明るくない(Ak氏の像に似ている)。
QUARRA's CCD on 23 Jan (087 degs Ls) at LCM=294 degs W

 ところが、アメリカに移って、パーカー(DPr)氏がヘッラスを極めて強く撮った: 2Feb(092゚Ls)ω=297゚Wの像から青色(BG12)でヘッラスは極めて明るい。ただ赤(RG610)では然程でなく、ヘッラスは未だ靄っているという印象である。 4Feb(093゚Ls): ω=272゚W〜ω=289゚Wでヘッラスは圓く明るいが、赤ではやや小さい。 8Feb(095゚Ls)ω=243゚Wでは赤の輪郭よりも大きいヘッラス。 9Feb(095゚Ls)のω=224゚Wでは朝方に出ていないが、ω=232゚Wでは大きくなっている。最後の結果はヘッラス輝部の東端を押さえている。DPr氏の結果はヘッラスが090゚Ls邊りで輝きを最大限に増したことを示している。ただ、靄の存在があり、ヘッラス盆地との關係が問題である。尚、輝部の西端は14、15Febの福井の結果ではω=330゚Wで既に夕歿している(Mk氏は14Febω=326゚Wで、Iw氏は15Febω=331゚Wで殘像を見ているが、Id氏はω=324゚Wで最早や見ていない)が、位相角との關係で計算が必要である。尚、ビヴェール(NBv)氏から〆切後、スケッチが届いたが、15Feb(098゚Ls)にω=224゚W、ω=263゚W、ω=285゚Wと觀測している。ヘッラスの出現から南中までであるが、真っ白である。


PARKER's CCD on 02 Feb 1999

シュルティス・マイヨル:
 18Janのシュルティス・マイヨルのω=236゚Wの様子はAk氏の像を參照。メリッロ(FMl)は11Febにω=228゚Wで赤色で朝方のシュルティス・マイヨルを冩し出した。この小さな像で見事に出るのは赤色の効果で、肉眼では(視直徑が大きくなればω=215゚Wで可能だが)現在は朝霧のためω=240゚Wまで無理である。DPk氏の像では9Feb(095゚Ls)ω=224゚Wでも出ているが、朝方では霧の爲、淺葱色である。NBv氏の15Febω=224゚Wには仄かに出ている。
 DPr氏の他の結果で著しいのは、シュルティス・マイヨルの南部が赤黒いということである。2Feb(092゚Ls)ω=290゚W、4Feb(093゚Ls)ω=280゚Wなど、この邊りが青(BG12)で濃く出るからである。14、15Febの福井の觀測でもこの邊りは濃く見えている。シュルティス・マイヨルは夕端でリビュア霧に覆われるが(ω=335゚W邊りで見えなくなる--ι=36゚)が、シュルティス・マイヨルの附け根は際まで殘る。Mk氏の15Febω=314゚Wのコメントにもある。

ウトピア:
 17Jan((085゚Ls)ω=251゚W等でウトピアは茶色系でシュルティス・マイヨルよりも淡く見える(Mn)。これは前號報告の15Janω=280゚WのMk氏の觀測と符合する(p2403)。一ヶ月前の12Dec(069゚Ls)ω=258゚W等ではシュルティス・マイヨルよりウトピアが遙かに濃く見えたから、この間に變化した譯である。14Feb(097゚Ls)ω=300゚WのId氏の觀察でもウトピアは淡く不明瞭。

エリュシウム:
 17Jan(085゚Ls)ω=240゚W〜270゚Wにはエリュシウムは夕端で白く見えていたが、Id氏に依れば21Jan(086゚Ls)ω=228゚Wではエリュシウムに明るさがない。26Jan(089゚Ls)ω=168゚Wの朝方で「ホンノリと明るいか」。二月初めのDPk氏のCCDでは何時も夕方明白である。特に、8Feb(095゚Ls)ω=200゚Wではエリュシウム・モンスが白くコンパクトに見えている。7Feb(094゚Ls)ω=202゚Wでグレイ(DGr)氏はエリュシウム内にマレ・キムメリウムから垂れ下がった“涙型”の明部を見ている。15Feb(098゚Ls)のNVr氏のω=263゚Wではエリュシウムが白くなっているが、一時間半後には消えている。

ケブレニア:
 Ak氏の18Jan(085゚Ls)のω=235゚Wの赤色像には、エリュシウムとケブレニアが双葉型に明るく出ているが、17Jan(085゚Ls)ω=241゚W、252゚W等のMnの觀測ではエリュシウムに比べてケブレニアは然程明るくはない。これは、Ak氏の青色光を見ても分かるように、ケブレニアは暗く靄っていないからである。Ak氏の三色合成では、ケブレニアは赤っぽくなる。DPk氏の8Feb(095゚Ls)ω=230゚W等の赤色と三色合成でもこれが出ている。
 #211p2403引用のDPk氏の1Jan(078゚Ls)の青色光でもケブレニアには暗く冩っている事に注意。7Feb(094゚Ls)ω=202゚W/207゚W、8Feb(094゚Ls)ω=166゚WにはDGr氏がケブレニアの帯を綺麗に検出している。Int, Wr15, Wr25 & Wr58使用。序でに、ケブレニア北の暗部はWr58で淡くなる。ヘーズらしい。

オリュムプス・モンス:
 Id氏が29Jan(090゚Ls)ω=144゚Wでオリュムプス・モンスをタルシス夕雲から分離して検出した。タルシスの比べて確認に手間取る。DGr氏は8Feb(094゚Ls)ω=166゚Wでオリュムプス・モンスを圓く検出するが、朝方のマレ・エリュトゥラエウムに比べて弱い。赤色系では見えるが、Wr58では強くならない由。

マレ・アキダリウム:
 日本からは31Jan(091゚Ls)邊りから見えるが淡く、テムペの方に暗い。4Feb(093゚Ls)ω=024゚WでO56で明確、ω=043゚Wで北極冠と分離しているのが分かる(Mn)。5Feb(093゚Ls)ω=053゚WにはMk氏はマレ・アキダリウムが褐色と觀測。6Feb(094゚Ls)ω=046゚WでNj氏はマレ・アキダリウムが淡いという印象、ω=056゚Wでは岩崎徹(Iw)氏はテムペが薄暗いと記述、Id氏もω=081゚Wでマレ・アキダリウムが淡く、テムペはやや明るく感じる。8Feb(095゚Ls)ω=030゚W、040゚Wには褐色系で明確、この時ヒュペルボレウス・ラクスも見える(Mn)。10Feb(095゚Ls):Id氏はマレ・アキダリウムは鈍いが、ω=016゚Wで北極冠と分離。15Feb(098゚Ls)には朝方のマレ・アキダリウムがトレース出來たが、朝方は淡く、ω=334゚Wでコアが見える(Mn)。Mk氏は同時刻、マレ・アキダリウムの濃度7。尚、DPk氏の31Jan(091゚Ls)のω=326゚Wでは大半が朝靄に入っているようである。

シヌス・サバエウス:
 シヌス・メリディアニは4Feb(093゚Ls)頃から午後に見え始めたが、なかなかの濃度であり、シヌス・サバエウスは14、15Feb(098゚Ls)等に全貌が見えたが、明確である。朝方から現れるときは端からシッカリしている。問題は東端の附け根だが、マレ・セルペンティスにくっついている。但し、夕方になると聨結部が惚け、シヌス・サバエウスが獨立したマドロス・パイプ型である。デウカリオニス・レギオは薄暗い。

夕方のクリュセ-クサンテ:
 16Jan(084゚Ls)ω=083゚WでDGr氏はクリュセ-クサンテが夕端でWr15(濃黄)を透して特に明るいと記している。18Jan(085゚Ls)のDPk氏のω=084゚W〜103゚Wでは夕方のクサンテからタルシスにかけてが白く明るい。
 20Jan(086゚Ls)でも然り。ただ、カンドルは霧が懸かっているが、オピルは出ている。31Jan(091゚Ls)にはMk氏がω=078゚W、088゚Wで、またMnがω=062゚W〜130゚Wで同様の觀測、特にω=110゚W邊りで輪郭が明確で白く濃い。4Feb(093゚Ls)にはNj氏がω=048゚W〜077゚Wで同様の觀測。Mnはω=063゚Wで非常に強いと記録。Mk氏はω=082゚Wでチェック。Hk氏はω=079゚Wで目立たないとしているが、これはパワー不足。夕方は輝度が落ちるので(ι=36゚)、注意しなければならない。
 5Feb(093゚Ls):Mk氏がω=053゚W、ω=063゚Wでテュミアマタから這い上がってくるクリュセ夕霧として捉える。6Feb(094゚Ls)にはIw氏がω=046゚Wからテュミアマタ霧を觀測。福井ではω=032゚Wから觀測、ω=076゚W邊りからクサンテに繋がる。Id氏はω=081゚Wでクリュセからクサンテにかけて明るい。8Feb(095゚Ls)には福井でω=351゚Wから夕端に濃い霧塊が這い上がるのを見ている。

朝方のタルシス-クリュセ:
 夕方に比べて位相角の所爲で強く出る。比嘉保信(Hg)氏は6Feb(093゚Ls)ω=039゚Wからω=078゚Wまでヴィデオ撮影、タルシスが朝方で明るい。ω=069゚Wでは二つ玉のように見える。福井ではω=032゚W〜ω=051゚Wで特に西端で強く感じる。8Feb(095゚Ls)にはMnがω=341゚W、351゚W、001゚Wで朝方のクリュセが強く白い様子を觀測、これは4Jan(076゚Ls)の結果(前回報告)と同じである。ω=006゚WでのNj氏の評価は別項參照。尚、今期間既にDGr氏は21Jan(086゚Ls)ω=356゚Wで、クリュセは可成り内部だが、可成り明るいと觀測(Int,Wr15,Wr25)。22Janω=353゚Wで然り(Wr58,Wr38A)。DPk氏は29Jan(090゚Ls)ω=339゚W、349゚Wで朝方のクリュセを白く明るく捉えている。
 9Feb(095゚Ls):Hg氏ω=011゚W〜051゚W、クリュセ-クサンテが實に明るい。Ak氏のω=023゚W、ω=041゚Wにも朝方の縁近くが明るい。Hg氏の10Feb(095゚Ls)ω=004゚Wでも同様。14Feb(097゚Ls)にはω=304゚Wぐらいから朝方に見える(Mn)。Id氏はω=314゚Wから、ω=324゚W、343゚Wでは強く感じる。ω=338゚Wでは明白だったが(Mn)、Mk氏はω=326゚Wで強く感じている。15Feb(098゚Ls)も同様、Iw氏はω=0322゚Wで、Mk氏はω=324゚Wでチェック。

ノアキス:
 21Jan(086゚Ls)ω=356゚WでDGr氏がWr25(赤)を透してノアキス南部が明るいことを觀測、特にマレ・エリュトゥラエウムの南で濃いとする。DGr氏はアルギュレでないと判断する。22Janにもω=353゚W以下同様の觀測。Wr58(緑)でもWr38A(青)でも見える。シーイングU〜V。これとは獨立にMnの觀測では8Feb(094゚Ls)ω=010゚Wで夕方のノアキスがやや明るい。14Feb(097゚Ls)にはω=314゚Wで朝方のノアキスが鈍く白く、15Feb(098゚Ls)にもω=319゚W、334゚Wで靄っていると觀測している。Mk氏も14Febω=316゚Wや、15Febω=314゚W、324゚W等でノアキスに明部を感じている。

リビュア夕霧:
 夕方のリビュア霧はエリュシウムの方から來るようである。14Feb(097゚Ls)ω=304゚W、314゚Wでは明確(Mn)。Mk氏はω=326゚Wでシュルティス・マイヨルを侵していると見る。15Feb(098゚Ls)ω=309゚Wでは明確、ω=319゚Wでは侵していると觀測(Mn)。Mk氏はω=324゚Wでシュルティス・マイヨルが夕霧に隠れてきたと見る。Iw氏はω=312゚W、322゚Wでシュルティス・マイヨルが侵されていると見る。リビュア霧はアエリアへ出て、さらにはクリュセへと繋がって行くわけである。尚、シュルティス・マイヨルの南部は霧に侵されない様で、夕端でも濃く見える。Mk氏にも同じコメントがある。

赤道帯霧:
 Ak氏の18Jan(085゚Ls)ω=236゚Wの青色光には赤道帯霧が明らかに出ている。DPk氏の31Jan(091゚Ls)ω=326゚Wにはリビュア霧から東方にかけて赤道帯霧が見られる。Mk氏は4Feb(093゚Ls)ω=082゚Wで赤道帯霧を觀測、当然朝方の方が濃い。Mnの觀測でも6Feb(094゚Ls)ω=032゚W〜051゚Wで弱い赤道帯霧が見られる。8Feb(095゚Ls)ω=010゚W〜050゚Wでも然り。Nj氏は同日ω=005゚W邊りで10゚Nに沿って赤道帯霧を見ている。Hg氏の10Feb(095゚Ls)ω=004゚Wでは赤道帯霧が明白。Id氏もω=006゚Wで、夕端に霧塊を觀測、赤道帯霧を感じる。

北極冠:
 明確である。ヒュペルボレウス・ラクスなどを觀察する機會は多くなかったが、一方、シヌス・サバエウスが南中する邊りでの北極冠はもはや暗帯に囲まれてはいない。15FebのIw氏の觀測にも同じ記載が見られる。内部の濃淡さも見られる。只、視直徑の關係でわれわれの觀測には未だ安定性がない。

濃度評価:
 8Feb(095゚Ls)ω=006゚WにおけるNj氏の評価を一部紹介する。北極冠1.5、朝方クリュセ2、アエリア3、ノアキス方面2.5、マレ・アキダリウム7、シヌス・サバエウス6.5、シヌス・メリディアニ7、アラム3、ウトピア6。
 一方Mk氏も朝霧夕霧等の關係で濃度測定している:14Feb(097゚Ls)ω=346゚Wを紹介すると、北極冠2、リビュア霧3、クリュセ朝霧2、南端ノアキス4、赤道帯霧中央4、砂漠5、マレ・アキダリウム7、シヌス・メリディアニ8、北極冠の周り6である。

♂・・・・・・・節分の前後は何處も寒いようで、ダラムはカーク・メリントンのグレイ(DGr)氏の處で−6゚Cの紀録がある(8Feb)。フィルターを換えるのが面倒の様である。Hk氏は極低温の中の觀測で、22cm鏡の到着も待ち遠しいが、春も早く來て欲しいところ。伊那谷は−6゚C等というのはザラで、節分明けの4Febには−12゚Cの紀録がある。ウップサラ程ではないが、ご苦勞が多いと思う。ご自愛下さい。Mk氏の處も4Febは小雪が舞った日らしいが(觀測時0゚C)、「シーイングは存外好い」とある。この朝は高氣壓で全國的に冷えたようで、福井も−4.6゚C(測候所)に落ちた。ドーム内で−4゚Cを指すのを見て、寒暖計が逆さになったような氣になった。しかし、シーイングは好く觀測は捗った。實はこの日は立春なのだが。


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