98/99 report #08

1998/99 CMO Mars Report #08

1999年三月後半(16 Mar〜31 Mar)の火星面觀測


『火星通信』同人・南 政 次 (Mn)
♂・・・・・・・視直徑も大きくなり、最初のFortnight-Reportだが、意外と觀測は奮わなかった。期待した沖縄の天候が思わしくなかったのが、痛い。福井では春分前三月17日に、日の出午前6:04JST、日の入午後6:04ということになった。日歿は兎も角、冬至の頃は日の出は午前7時半頃であったわけだから、可成りの觀測時間の損失である。尤も最近は日の出前に西に遥か傾いてしまうが。18Marに留になった、これから暫らく六月まで上昇してくれるのが一寸救いである。24Apr18hGMT黄經衝、25Apr02hGMT赤經衝である。

♂・・・・・・・この半月の間に視直徑δは12.0"から13.8"に急速に延びた。もう小接近時の最大視直徑である。位相角ιも27゚から19゚へと急速に隕ち、火星像も丸味を帯びている。季節は111゚Lsから118゚Lsへ進捗した。中央緯度φは15゚Nから16゚Nへ昇った。以後更に北極冠がこちらを向くから、視直徑の大きいところでこれから極小の北極冠が觀察できるわけである。

♂・・・・・・・今回この期間の觀測に關する『火星通信』への報告と報告者は次の通りである。


      AKUTSU, Tomio 阿久津 富夫 (Ak)  栃木・烏山 Karasuyama, Tochigi, Japan
             1 Set of CCD Images  (22 March 1999) f/60×32cm speculum equipped with a Teleris 2 

      BIVER, Nicolas  ニコラ・ビヴェール (NBv)  ハワイ Hawaii, USA
             4 Colour Drawings (23, 25 March 1999)   510×26cm speculum

      HERNANDEZ, Carlos  カルロス・ヘルナンデス (CHr) マイアミ Miami, FL, USA
             6 Drawings  (21 February; 5, 12, 13, 20, 31 March 1999)  235-285×20cm SCT

      HIGA, Yasunobu 比嘉 保信 (Hg)  那覇 Naha, Okinawa, Japan
             8 Video Images (16, 17, 31 March 1999) 25cm spec equipped with Sony DCR-TRV900

      HIKI, Toshiaki 日岐 敏明 (Hk) 長野・箕輪 Minowa, Nagano, Japan
             1 Drawing (16 March 1999)   340, 360×16cm speculum

      ISHADOH, Hiroshi 伊舎堂 弘 (Id)  那覇 Naha, Okinawa, Japan
             2 Drawings (17 March 1999)    500×31cm speculum

      IWASAKI, Tohru 岩 崎  徹 (Iw)  北九州 Kitakyushu, Fukuoka, Japan
             6 Drawings (22, 27 March 1999)  400×21cm speculum

      MINAMI, Masatsugu 南  政 次 (Mn)  福井 Fukui, Japan
            60 Drawings (16,17, 20, 23, 27, 29, 31 March 1999)  400×20cm refractor* 
 
      MURAKAMI, Masami 村上 昌己 (Mk)  藤澤 Fujisawa, Kanagawa, Japan
            13 Drawings (16, 22, 28, 31 March 1999)     320×20cm Saheki speculum

      NAKAJIMA, Takashi 中 島  孝 (Nj)  福井 Fukui, Japan
            28 Drawings (17, 20, 23, 25, 28, 29, 31 March 1999)  400×20cm refractor*

      NARITA, Hiroshi 成 田  廣 (Nr)  川崎 Kawasaki, Kanagawa, Japan
             1 Drawing  (31 March 1999)   400×20cm refractor

      PARKER, Donald C ドン・パーカー (DPk)  マイアミ Miami, FL, USA
            21 CCD Images (19, 20, 22, 24, 25, 26, 29, 30 March 1999) 
                                     f/55×41cm speculum equipped with a Lynxx PC

      PEACH, Damian デミアン・ピーチ (DPc) ノーフォーク King's Lynn, Norfolk, UK
             3 CCD Images (17, 19 March 1999) 
                                      f/30×31cm Meade SCT equipped with an ST-7

      TEICHERT, Gerard ジェラール・タイシェルト (GTc) フランス Hattstatt, France
             1 Drawing  (31 March 1999)  310, 330×28cm Schmidt-Cassegrain

      WARELL, Johan ヨハン・ヴァレッル (JWr) ウップサラ Uppsala, Sweden
             2 Drawings  (29, 30 March 1999)  330×16cm refractor

      WHITBY, Samuel R サム・ホヰットビィ(SWb) ホープウェル Hopewell, VA, USA
             1 Drawings (20 March 1999)   310×15cm speculum

                                            *福井市自然史博物館天文臺 Fukui City Observatory
♂・・・・・・・・ヒース氏から二月塵雲に関する追加報告があった:

      HEATH, Alan W アラン・ヒース (AHt) ノッティンガム Nottingham, UK
            1 Drawing  (23 February 1999)  280×25cm speculum

♂・・・・・・・・福井では16Mar(111゚Ls)と31Mar(118゚Ls)が好天であったから、觀測領域の幅を示すのには好都合である。16Marにはω=340゚Wからω=078゚W(Mn)まで、從ってシヌス・サバエウスからソリス・ラクスまで觀測可能、31Marにはω=195゚Wからω=297゚W(Nj)まで、從ってオリュムプス・モンスの夕歿からシュルティス・マイヨルの南中まで觀測出來たから、西周りにはこの期間日本からはω=195゚Wからω=078゚Wまで觀えたことになる。16Marには村上昌己Mk氏がω=355゚Wからω=014゚W、比嘉保信Hg氏がω=007゚Wからω=027゚Wまで等の連續觀測がある。日岐敏明Hk氏はω=060゚W。因みに、17Mar(111゚Ls)には福井ではω=331゚Wからω=068゚Wまで。伊舎堂弘Id氏がω=039゚Wとω=054゚W、Hg氏がω=000゚Wからω=026゚Wまで觀測している、等。31MarにはMk氏がω=219゚Wからω=249゚W、Hg氏はω=229゚W。

 この期間際立っていたことを先ず列擧すると、
 1)テュミアマタークリュセの朝霧はω=300゚W頃から顕れ、ω=340゚W〜350゚Wで強くなり、以後クリュセに拡散すること、
 2)ヘッラスの西端の暗帯が南部で極めて濃いこと、
 3)夕霧はリビュア霧がそのまま夕端に殘ってクリュセに向かうが、ω=040゚W〜060゚Wで強くなり、朝霧を壓倒すること、
 4)マレ・アキダリウムの東方前方が大きく"赤黒い"ほど翳っていること、
 5)エオスが16Mar等で可成り明るく見えたこと、
 6)マレオティス・ラクスからアスクラエウス・ラクスにかけて可成り濃いこと、
 7)シュルティス・マイヨルは朝霧の中にω=212゚Wで透けて見えること、
その他
 8)シヌス・サバエウスの東端がやや淡くマレ・セルペンティスから離れているように見える
ことなどである。

 日附順に追う:  16Mar(111゚Ls)ω=340゚W邊りでは夕端ではリビュア靄がシュルティス・マイヨルを侵しており、朝方ではクリュセの朝霧が強く白い。朝霧は自転に伴わなくて、模様がその中から出てくるが、ω=000゚Wでは弱くなる。マレ・アキダリウムの前方が赤色で寧ろ薄暗い。ヒュペルボレウス・ラクスが視え出し、ニリアクス・ラクスが朝霧でマレ・アキダリウムから分離しているように見える。ω=009゚Wで丁度北極冠の反對の南端が明るく見えたが、ω=029゚Wからではアルギュレであろう、極めて明るい。17Marの觀察でも矢張りω=010゚Wからω=040゚Wぐらいまで明確である。Hk氏はω=060゚Wでアルギュレを紀録している。エオスは16Marにはω=019゚Wで確認、17Marにはω=039゚Wでも明白であった。
 尚、朝霧はω=039゚W邊りでは夕霧の方が濃い。17Marにはオクシア・パルスを越えている。クリュセはやや黄色味がある。ω=048゚Wではテムペが円いが赤味。このころにはアルギュレの西に尾鰭が出る。マレオティスーアスクラエウス・ラクスが濃く見えてくる。ω=058゚Wでは夕霧が真っ白で、北極冠はその次ぎ。ソリス・ラクスとティトニウス・ラクスが、見えだし、ω=068゚Wでは濃く明確。朝霧は然程でなくなる。
 Hg氏のヴィデオの青色像ではω=017゚Wで、北赤道帯に霧が出ている。その途中、唐那・派克(DPk)氏の白塵雲(前號p2441)が出ているようである。カラー像では既にω=027゚Wでアガトダエモンとガンゲスが出ている。

 17Mar(111゚Ls)ω=331゚Wでシュルティス・マイヨルの南部が濃い。北部はリビュアの夕霧の浸透を受ける。ヘッラス程ではないが、ノアキス南部が可成り白い。ω=000゚Wでマレ・アキダリウムは茶系統の色を示す。ω=039゚Wでテュミアマタの夕霧はクリュセへ入る。ω=068゚Wまで見られるが、中島孝Nj氏とId氏はω=054゚Wで強く意識する。アガトダエモンとガンゲスはω=020゚Wぐらいから確認できる。Hg氏のω=010゚Wやω=021゚Wの像は青色光も含めて優れている。マルガリティフェル・シヌスの分離など見事である。ω=000゚Wで既に、赤道帯霧が出ているようである。ω=026゚Wではガンゲスが見える。

 22Mar(114゚Ls)ω=339゚WでIw氏はリビュアの夕霧の中のシュルティス・マイヨルを見ているが、南部が淡い。ヘッラスは歿している由)。

 23Mar(114゚Ls)福井ではω=274゚Wから、シュルティス・マイヨル南中。ウトピアは淡い。エリュシウムは夕端に見える。ω=323゚Wで、ヘッラス0.0、リビュア雲1.0、クリュセ1.5、ノアキス3。ノアキスはほんのりと明るいが、Nj氏も25Marω=290゚Wで同じ指摘。Nj氏は25Marω=320゚Wで朝霧が目立つようになると指摘。尚、Iw氏は22Marω=339゚Wでヘッラスが夕歿していると紀録しているが、23MarにNj氏はω=337゚Wでまだ眞っ白なヘッラスを見、Mnも(16Marにはω=340゚Wでは見ている上)この日ω=343゚Wで可成り大きなヘッラスを描いている。ι=23゚。この時、ヘッラスの西の境界の南端が非常に濃く見え、この暗部はω=352゚Wでも殘っていた。ヘッラスは上部が円っこい。ω=002゚Wではデウカリオニス・レギオが靄っている。

 27Mar(116゚Ls)この日は福井はω=231゚Wからで、シュルティス・マイヨルは朝霧の中に見える。ω=240゚Wでヘッラスは出ているようだが、南端は鈍い被りもの。ω=250゚Wではヘッラス歴然。シュルティス・マイヨルは青緑色で淡いが、ウトピアは茶色系。ノドゥス・アルキュオニウスが見える。Nj氏は31Marω=258゚Wで把える。ω=260゚Wではシュルティス・マイヨルの東半分だけ青色。ω=289゚Wヘッラスの上部に凹みがあるように思われる。ω=299゚Wでシーイングが向上し、シヌス・サバエウスがマレ・セルペンティスから離れている様子。ω=300゚Wで朝霧が再び凝縮し始める。Iw氏はω=304゚Wでリビュアに白さを感じ始める。

 28Mar(116゚Ls)ω=280゚WでMk氏はシュルティス・マイヨルを挟んで、リビュアとアエリアがやや明るく、後者は白くない。當然、シュルティス・マイヨルを霧が被っている可能性がある。

 31Mar(118゚Ls)福井ではω=195゚Wから開始、オリュムプス・モンスをω=224゚Wまで追った。ω=234゚Wでは夕霧のみが見える(ι=19゚)。エリュシウムはこのとき夕方に移って円く輝いている。必ずしも白さは強くない。ω=215゚Wで既にケブレニアとY字形の明部をなしているが、後者は赤味を帯びている。赤黒いプレグラが丸味を帯びてカーブしている様子が見事で、プロポンティスTも綺麗に獨立する。アエテリアの暗斑は相當に濃い。Mk氏はω=229゚Wでエリュシウムとケブレニアの關係を指摘。實はこの時、Mk氏は朝霧の中にシュルティス・マイヨルを検出している(朝霧はω=219゚Wで強く意識)。尚、この日、筆者(Mn)は朝霧とシュルティス・マイヨルの關係を追った。ω=212゚Wでシュルティス・マイヨルは朝霧を透かして見え始める(15cmのときの經験ではω=218゚Wが一等早かったように記憶している)。その後、空色が濃くなり、ω=244゚Wまで淺葱色であるが、ω=253゚Wでは普通の濃度を取り戻す。この時夕端では、夕霧とエリュシウムが同じ白さになっている。Hg氏はω=229゚Wで撮像している。青ではオリュムプス・モンスの殘滓があるようである。青いシュルティス・マイヨルも白いヘッラスも見えている。

 最後に17Marω=025゚WでのNj氏の濃度測定の例を紹介する:マレ・アキダリウム8、マルガリティフェル・シヌス7.5、アウロラエ・シヌス7。シヌス・サバエウス7、ニロケラス7、北極冠0.5、クリュセ-クサンテ2.5、アルギュレ3、テムペ3.5、タルシス2。

海外の觀測:

 ビヴェール(NBv)氏のスケッチ: NBv氏はフランス人だが、ハワイに居るので、觀測時間は我々に近く11hTUから14hTUぐらいである。23Mar(114゚Ls)にはω=230゚Wとω=268゚Wで前者では白目のエリュシウムが午後、後者では夕端に來ている。北極冠はその地域が全體トンでいるに拘わらず、綺麗に分離している。マレ・キムメリウムが明確に捉えられ、前者ではヘッラスが出て來ている。後者はもちろんシュルティス・マイヨルがメインである。25Mar(115゚Ls)ω=115゚Wでは、エリュシウムは白くない。夕端にオリュムプス・モンスの雲が半分隠れているが眞っ白である。シュルティス・マイヨルは出ていない。ω=248゚Wにおいてもエリュシウムは23Marに比べて白くない。沙漠ほどではないが、赤味を帯びている。ヘッラスは眞っ白。トト・ネペンテスが出て居るみたいな描き方で、逆にアエテリアの描冩もリアルでないように思う。クラシカルな先入觀があるか。

 ヘルナンデス(CHr)氏20Mar(112゚Ls)の觀測はω=169゚Wで、オリュムプス・モンスが夕方に大きく明るく、タルシスが夕端に先行している。エリュシウム等は入ってきているが、プロポンティスTらしい斑點が午後に描かれていて、これは何か分からない。31Mar(118゚Ls)のスケッチはω=053゚Wで、ワッレス・マリネリスの東方に1997年のHST發現のものとそっくりな黄塵が描かれているとして、LtEでも問題になっている。1Aprの唐那・派克氏のR像(既に受領)には出ていない(LtE)。

 唐那・派克(DPk)氏のCCD像:還暦のDPk氏はこの期間も精力的に觀測を展開し、ω=220゚W邊りから東回りにω=090゚W邊りまでを見事に影像に收めている。觀測時間は5:30GMTから8:00GMTぐらいであるから(四、五時間引けば現地時間になる)、南中時を狙っている。日毎追うと東へ東へと展開するのが分かる。
 19 Mar(112゚Ls)ω=178゚Wから開始し、ω=217゚Wで朝方のシュルティス・マイヨルを明確にR光で出している。B光では朝霧だから、當然蒼いシュルティス・マイヨルである。この時ケブレニアは地肌色であるが、エリュシウムは白い。實際B光のエリュシウはω=189゚Wでは弱いが、ω=219゚Wでは強くなっている。ι=25゚であるから、ω=220゚Wではエリュシウム・モンスは午後2時頃である。プレグラが濃い赤色で、R光には出ないが、G、B光には出ている。肉眼では濃く暗く見える。ケルベルスも似ている。このあたりの像は豊富で、オリュムプス・モンスが左端に白く輝いて見え、ω=191゚WのR光にはリマ・ボレアリスが明確である。
 20 Mar(113゚Ls)ω=207゚WのR光でシュルティス・マイヨルが出ているかも知れないが、明確なのはω=219゚W以降。ω=221゚Wではエリュシウムは地肌色の様だが、エリュシウム・モンスが出ているか。ω=219゚WのB光ではエリュシウムは出ている。
 22 Mar(113゚Ls)ω=187゚Wでオリュムプス・モンスの雲が夕端で可成りの拡がり。氣になるのは南端エリダニアにR光で明確に明部。エリュシウムはB光でω=185゚Wでもやや出ている。

DPK's Green Image  24 Mar(114゚Ls)ω=170゚Wでオリュムプス・モンスとタルシスが分離、オリュムプス・モンスとアスクラエウス・モンスの間に翳帯。オリュムプス・モンスの雲は過剰露出か矢鱈大きい。マレ・シレヌムが西へ張り出して、復活し始めている可能性がある。エリュシウムは明白。リマ・ボレアリスがR光でより明確に出ている。
 25 Mar(115゚Ls)ω=153゚Wではアスクラエウス・モンスが夕端で強く明白。ω=164゚Wに比較して例の翳帯はより明確。オリュムプス・モンスはR光でも小さな明斑。アルバも見えるが弱い。

 26 Mar(115゚Ls)ω=133゚WのRではオリュムプス・モンスのみで小明斑。合成ではクサンテがアスクラエウス・モンスの東に獨立、參點セット。夕霧はタルシス全體を覆っていると見られる。この様子はG、B光では興味深い。
Green Image by D PARKER
on 26 Mar (115degsLs)

 29 Mar(117゚Ls)ω=112゚W、119゚Wでは、オリュムプス・モンスは白く、朝方に見える。
 30 Mar(117゚Ls)ではω=097゚W、109゚Wでさらに朝方にオリュムプス・モンス邊りの雲は見える。前者では弱いが、後者では明白。この日はι=20゚であるから、ω=095゚Wで計算すると(135−95−20)/15=1.3、つまり正午一時間二十分ほど前であるから、上午10時40分頃ということになる。一方、HSTの30Mar1997(゚Ls)の有名なω=095゚W邊りの像は、衝後であったから(ι=11゚)、上午8時40分頃であった。このときはオリュムプス・モンスの頂上は雲を被っていない。見かけ上は似ているが二時間の違いがある。

 ピーチ(DPc)氏のCCD像は17 Mar(111゚Ls)が、ω=180゚W邊り(とうことは像が幾つも並ぶということ)で、R像とB像である。B像にはオリュムプス・モンスが浮き上がっている。R像ではエリュシウムが明白で、アエテリアの暗斑が既に濃い。プロポンティスTも出ている。マレ・キムメリウムの上部南端に明部。19Mar(112゚Ls)ではω=144゚W邊りのB像で、タルシス、オリュムプス・モンスが淡く出ている。

 タイシャート(GTc)氏の31Mar(117゚Ls)はω=025゚W、クリュセに明斑がある由。

 ヴァッレル(JWr)氏の29Mar(116゚Ls)はω=035゚Wでシーイングが好くマレ・アキダリウムが見事な恰好である。朝夕端に霧があるが、朝霧はタルシスの邊りだろうが、黄色いのでダストと混じっているか?としている。1:40GMTの觀察、気温-2℃。30Mar(117゚Ls)はω=023゚Wで似たような構圖だが、朝霧にコアがあるとしているだけ。マレ・エリュトゥラエウム邊りには異常が無い(CHr氏と一日違い)。

 ホイットビィ(SWb)氏の觀察は20Mar(112゚Ls)8:20GMTω=203゚Wでエリュシウムが中央、Wr21で明るい。アエテリアの暗斑とプレグラを同等に扱うのは不満。

追加報告:

 ヒース(AHt)氏がDGr氏の塵雲を追って23Febω=016゚Wで觀測したもの。LtE參照。マレ・アキダリウムが明確に出ているから、矢張り南半球の問題であろう。同日のDGr氏のスケッチは前號に出ている。Phaseに間違いがあるのは觀測を急にやったからで、よく見られる例。

 ヘルナンデス(CHr)氏の21Feb(100゚Ls)はω=068゚W、ソリス・ラクス南中で、マレオティス-アスクラエウス・ラクスが突出して描かれている。5Mar(106゚Ls)はω=319゚W、シヌス・サバエウスとシュルティス・マイヨルが明確、ヘッラスから南端に掛けて明るいが、霧は描かない。濃度測定:北極冠、ヘッラスは0、シュルティス・マイヨル、シヌス・サバエウス、シヌス・メリディアニ、マルガリティフェル・シヌス、カッリッロエス・シヌスは7、など。12Mar(109゚Ls)ω=225゚W:エリュシウムが夕方に大きい。ヘスペリア分離。エリュシウム8-9、アエテリア暗斑5-6。

 岩崎徹Iw氏は1984年113degLsから火星觀測に入ったので、今期十五年目、22Mar(114degLs)で目出度く、一巡りした (Iw氏の言葉に従えば還Ls) わけであるから、新しく出發してほしい。Iw氏については#105參照。

 海外では唐那・派克(DPk)氏が堅實な觀測ぶりである。一方、あちこちでDGr氏の塵雲以來、黄雲シンドロームが海外で起こっているのは、情けない。


Back to Top Page