♂・・・・・・・今期『火星通信』へ報告及び追加報告のあった觀測は次の通りである:
AKUTSU, Tomio 阿久津 富夫 (Ak) 栃木・烏山 Karasuyama, Tochigi, Japan
22 Sets of CCD Images (17, 20, 21, 22, 25, 30, 31 May 1999)
f/60×32cm speculum equipped with a Teleris 2
CAVE, Thomas R トマス・ケーヴ (TCv) ロングビーチ CA, USA
3 Drawings (25, 26, 28 May 1999) 305, 370, 520×33cm speculum
FALSARELLA, Nelson ネウソン・ファウサレッラ (NFl) ブラジル Rio Preto, Brasil
1 Drawing (16 May 1999) 260×20cm speculum
GROSS, Horst ホルスト・グロス (HGr) ハーゲン Hagen, Deutschland
10 Drawings (20〜24, 26〜29, 31 May 1999) 200×21cm Cassegrain
HEATH, Alan W アラン・ヒース (AHt) ノッティンガム Nottingham, UK
2 Sets of Drawings (16 May 1999) 175, 280×25cm speculum
HIGA, Yasunobu 比嘉 保信 (Hg) 那覇 Naha, Okinawa, Japan
12 Video Images (18, 20, 23, 24 May 1999) 25cm spec with Sony DCR-TRV900
HIKI, Toshiaki 日岐 敏明 (Hk) 長野・箕輪 Minowa, Nagano, Japan
9 Drawings (1+, 5+, 8+, 22, 23, 29, 31 May 1999) 340×16cm spec+, 400×22cm spec
ISHADOH, Hiroshi 伊舎堂 弘 (Id) 那覇 Naha, Okinawa, Japan
7 Drawings (20, 23, 24 May 1999) 340, 400, 530×31cm speculum
ISHIBASHI, Tsutomu 石 橋 力 (Is) 相模原 Sagamihara, Kanagawa, Japan
6 Colour Photos (15, 20, 30 April; 17 May 1999) 31cm spec on Fujichrome Provia
IWASAKI, Tohru 岩 崎 徹 (Iw) 北九州 Kitakyushu, Fukuoka, Japan
11 Drawings (16, 20, 27, 29 May 1999) 400×21cm speculum
LEHMAN, David J デイヴィッド・レーマン (DLm) カリフォルニア CA, USA
2 Drawings (27, 28 May 1999) 285, 340×25cm speculum
MELILLO, Frank J フランク・メリッロ (FMl) ニューヨーク NY, USA
6 Sets of CCD Images (17, 26, 29, 31 May 1999) 20cm SC Starlight Xpress MX-5
MINAMI, Masatsugu 南 政 次 (Mn) 福井 Fukui, Japan
79 Drawings (16, 17, 20, 21, 22, 27〜31 May 1999) 400, 480×20cm refractor*
MURAKAMI, Masami 村上 昌己 (Mk) 藤澤 Fujisawa, Kanagawa, Japan
17 Drawings (17, 20, 21, 23, 29, 31 May 1999) 425×20cm Saheki speculum
NAKAJIMA, Takashi 中 島 孝 (Nj) 福井 Fukui, Japan
51 Drawings (16, 17, 20, 21, 22, 27〜31 May 1999) 400, 480×20cm refractor*
NARITA, Hiroshi 成 田 廣 (Nr) 川崎 Kawasaki, Kanagawa, Japan
23 Drawings (17, 20, 21, 29, 31 May 1999) 400×20cm refractor
NIKOLAI, Andre アンドレ・ニコライ (ANk) ベルリン Berlin, Deutschland
2 Sets of CCD Images (17, 18 May 1999) 15cm Refraktor am WFS
1 Drawing (27 May 1999) 333×10cm refractor
OHBA, Yoshio 大場 與志男 (Oh) 山形 Yamagata, Japan
2 Drawings (17, 23 May 1999) 270, 320×20cm speculum
PARKER, Donald C ドナルド・パーカー (DPk) フロリダ Miami, FL, USA
15 Sets of CCD Images (12〜15, 18, 23, 24, 25 May 1999)
f/55×41cm speculum equipped with a Lynxx PC
PEACH, Damian デミアン・ピーチ (DPc) ノーフォーク King's Lynn, Norfolk, UK
3 Sets of Drawings (17, 19, 20 May 1999) 350, 490×31cm Meade SCT
SCHMUDE, Richard W, Jr リチャード・シュムード (RSc) ジョージア GA, USA
7 Drawings (16, 17, 20, 21, 22, 24, 25, May 1999)
410×20cm SC, 380×25cm speculum, 250×9cm refractor
SIEGEL, Elisabeth エリサベト・シーゲル (ESg) デンマーク Malling, Danmark
4 Drawings (19, 22, 28, 29 May 1999) 270×20cm Schmidt-Cassegrain
TATUM, Randy ランディ・テータム (RTt) ヴァージニア VA, USA
1 Drawing (16$ May 1999) 320×18cm refractor$
WASIUTA, Myron E マイロン・ワシュータ (MWs) ヴァージニア VA, USA
1 Set of CCD Images (31 May 1999) 15cm refractor equipped with a Lynxx PC
* 福井市自然史博物館天文臺
$ Ragland Observatory (Richmond Astronomical Society)
♂・・・・・・・・ 日本からの觀測:
日本からは、この期間、エリュシウムの朝方から東回りに、午後のシュルティス・マイヨルまで觀察出來た。正確には、(福井を基準に採ると)16May(140゚Ls)にはソリス・ラクスの夕方からω=195゚W(17hGMT)まで觀測が出來、31May(147゚Ls)には10:10GMTω=327゚W(Nj)からマレ・アキダリウムの正中まで觀測しているので、ω=327゚Wから西廻りにω=195゚W迄と云うことになる。16Mayには北九州で、17Mayには關東でシーイングが良好だった由で(福井では両日)、更に月末にも好シーイングが訪れており、引き續き好結果が得られている。主なものを拾うと
1) ソリス・ラクスとその南の極雲:ソリス・ラクスは朝方では然程孤立せず明確では無いが、夕方に來ると、邊りが霞で淡化するのに對しソリス・ラクスだけは寧ろ濃化し、他を壓して際立つ。16May (140゚Ls)に既に10:10 GMT ω=094゚W(Nj)、ω=099゚W(Mn)で明らかで、更にその南の雲も顕著であった。後者はω=138゚Wの觀測で、夕端に押し込められているから、極對稱ではないが、極雲の枝であろう。21May(142゚Ls)にはソリス・ラクスの南中が見られた。極雲も好く被っている。Mk氏は20May(142゚Ls)にω=092゚W、21Mayω=093゚W以下で南極雲がダエダリアの方に流れているのを見ている。Id氏の20Mayω=104゚Wにおける極雲(顕著)の方向とIw氏のω=100゚Wにおけるそれは違っている。傾きが兩者反對である。福井では20Mayは直ぐ曇ったのでその觀測はないが、22May等の觀測によれば、基本的に極軸對稱であろうと思う。南極雲という考えはこのことによる。然し、枝葉はある。20MayにはAk氏が ω=098゚W、115゚W等で撮像し、この風景を切り取っている。Hg氏は18May(141゚Ls)にω=120゚W、130゚Wで撮った(ただ、後者は北極冠が畫面下の文字に隠れるので困る)。南極雲については張り出しの他内部に濃淡があり、29May(146゚Ls)ω=053゚W(Mn)等で、アルギュレ上空の極雲とソリス・ラクス南の極雲が分離し、前者が明るく、後者が輝度を落とすコントラストが觀測されているが、既にHg氏の24May(143゚Ls)ω=058゚W等では明確である。アルギュレのコアは20May(142゚Ls)ω=061゚Wでも觀測されている。Nr氏は枚數に關わらず、ソリス・ラクスを正面に見据えた像がないのはおかしい。計算して待たなければならない。
2) タルシス三山、アルシアの翳:16May、17Mayは福井ではシーイングが好く、既に16May(140゚Ls、ι=18゚)ω=099゚W(Mn)でソリス・ラクスの西にポエニキス・ラクス、更にその西にアルシア・モンスを取り囲む所謂“赤黒い”卵形の陰翳が明確であり、他のタルシス山系も並んで見え、オリュムプス・モンスの位置も推し量れた。後者は明るくはない。ω=108゚Wでは外輪が把握出來た。この配置は21May(142゚Ls)ω=081゚W(12:10GMTシーイング良)でも三山・オリュムプス・モンス共に同様に捉えられ、續くω=091゚Wでは三山の列の後方に太い暗帯が觀測された。アスクラエウス・モンスは16、17Mayの範囲では難しく、16May既にω=128゚Wでは山岳系の雲を(後方山腹に)被っていたと思われる。但し、こうした風景は20cmでは解像の限界で、餘程のシーイングの瞬間を待たねばならない。その點Id氏は先を行ける筈で、實際20May(142゚Ls)ω=104゚Wで暗斑を分離しているが、前後の關係が判らない。Hg氏は同じ20May(ι=23゚)ω=099゚Wでアルシアを見せている。23May(142゚Ls)ω=073゚Wで朝霧の中にアルシアの痕跡を示し、ω=083゚W、ω=093゚Wではタルシス三山とそれに續く暗帯を冩し出している。福井では22May等にはもっと朝方の觀察が出來ているのであるが、ややシーイングが落ちた。こうしたことの詳細に就いては、オリュムプス・モンス後方の白玉などと共にシーズン終了後別個にに報告を纏める。尚、Ak氏は17Mayに可成りのシーイングのもとで撮像し、仄かな陰翳を冩し出しているが、暗斑の検出などはR像がもっとシャープでなければならないようである。
3)オリュムピアとリマ・ボレアリス:兩者とも依然好く見えている。16Mayω=126゚W、135゚WでIw氏が朝方のオリュムピアを見ている他、Mk氏が17Mayω=146゚W、156゚Wでリマ・ボレアリスを濃く描いている。Nj氏が強調することだが、後者が直線状に濃い切れ込みとして入るのが特徴である。Id氏は20Mayω=104゚W、131゚W、143゚Wで幅廣く描いている。Is氏は冩眞撮影の傍ら眼視でリマ・ボレアリスを暗い切れ目として検出しているようである。ただ、プロヴィア(ω=128゚W、ω=137゚W)では難しい。Nr氏も時間を掛けて觀測するようになった様子で、17Mayω=128゚W、ω=138゚Wでオリュムピアを捉えた如くである。ただ、リマ・ボレアリスの検出が不十分で、後者では北極冠が割れているように描いている。尚、この頃φが22゚Nで、視直徑と相俟って觀望には良い機會であったが、暫くこんな好機は訪れない。
福井では16Mayは好シーイングで、オリュムピアに先行するもう一つの雪の小島が分離出來た。ω=128゚Wで察知、ω=138゚Wで確認し、ω=157゚Wまで追えた。17Mayにもω=109゚Wから見え、ω=139゚Wまで追えた(あとシーイングが崩れた)。Nj氏はω=124゚Wで確認した。概略圖(第一圖)の様にデウカリドニス・ラクスが濃く(デウカリドニス・ラクスはスキアパレルリの命名でスコットランド北部の古代名・カレドニアに因んでいる)、二つを分ける。
4) テムペ+アルバの明帯: 上に引用の圖はデウカリドニス・ラクスから南へプロポンティスUを含む暗部の境界としてマグネスが南に奔る様子を示す。この暗部の東は一段落ちて薄暗く、マレ・アキダリウムへ續いている。もう一つ、テムペとアルバが明帯としてオリュムプス・モンスの方へ伸び、一方ケブレニアの東延長と折違(スジカイ)になっていることを示す。この明帯は18Mayω=120゚WのHg氏のヴィデオ像に出ている他、Ak氏の17May ω=117゚W、131゚W、144゚WのR光像に明白である。歐美で黄雲と間違えられるのはこれである。Bにも出ているので、特に夕端では霞んでいるようである。Ak氏の像では20Mayω=098゚WにテムペはRで明るく、Bでも少し淡く出る。Nr氏は17Mayω=138゚Wで見ているようである。
5) 朝霧の良戯(イタズラ):29May(146゚Ls、ι=26゚)から福井では亦々好シーイングに惠まれたが、Nj氏と筆者(Mn)は出現するマレ・アキダリウムがω=355゚W邊りから朝霧の爲、奇形を呈している事に氣附いた。マレ・アキダリウムの西半分は朝霧の下にある譯であるが、マレ・アキダリウムの北西部が部分的に分離されて霧から抜け出て、實に濃く顕著に突出していたのである。この分離はω=014゚Wころまで續いた。その後は通常のマレ・アキダリウムの形状に戻ったが、例の三角形は分離とは行かなくても極めて明瞭であった。30May(147゚Ls)にはNj氏がω=341゚Wから氣附いている。暗斑の様子は前日とやや違うが、同じ氣象条件が支配しているのであろう。然し、31May(147゚Ls)には最早分離は見られなくなった。ω=355゚Wでの比較圖(第二圖)を示す(ι=26゚)が、地方時で日の出後、一時間ぐらいである。
6) 小颱風?:22May(142゚Ls)ω=062゚W〜082゚Wではバルティアが朝縁で明るく見えていたが、ω=092゚W〜101゚Wでは、この明斑がディスクの内部に入っていた。Nj氏は既にω=067゚Wで内部に入っていると觀測、ω=116゚Wまで移動を追った。朝縁でも然程明るくはなく小規模と思われるが、サイクロンの可能性がある。ω=062゚Wとω=092゚Wを比較する(第三圖)。
この日のAk氏のCCD(特にB光)では ω=069゚Wでは縁、 ω=088゚W、 101゚Wでは内部に入っているのが確認出來る。更に23May(143゚Ls)のHg氏のヴィデオ像でもω=093゚W(これがこの日最後の像)のBアニメには北極冠からの吹き出しのようなイメージがディスクの中に見られる。
7) ノアキスの暗帯:29May(146゚Ls)頃からノアキスが見えてきたが、南極雲が顕著なことと相俟って、その北縁を縫うようにマレ・セルペンティスの延長として暗帯のアーチが完成して出現していた。29Mayω=355゚W等の觀測ではマレ・セルペンティス邊りは斑點で構成されている。Mk氏が31Mayにこのカーヴに注目している。新しいものではなく、1984年などにも顕著に見られた。尚、前號のシーゲル(ESg)さんの觀測を參照。
8) その他:前回の26Aprの様なマレ・アキダリウムの朝方の出現は月末に見られたが、Mk氏の29、30Mayの觀測ではバルティアには前回の様な朝霧は見られなかった。30Mayには福井では16Mayより一段優れたシーイングに惠まれ、アリュンの爪やブラナガンなどが久しぶりで鑑賞出來た。難しい位置ながらカスマ・ボレアレが引っ掛かる。カスマ・ボレアレは21Mayω=081゚Wでもっと好い位置で確認出來ている。總じて、東海に高氣壓が入ってくるときは福井はシーイングが好く、今回は五月前半よりも觀測數は多くないものの20cmの解像力の限界に觸れることが多かった。
♂・・・・・・・ ヨーロッパの觀測:
日本では16Mayの薄明(10:00GMT)ではω=094゚W(Nj)であるが、イギリスでは同日ヒース(AHt)氏が薄明の20:30GMTにω=247゚Wで觀測している。16Mayには福井ではキリキリ西天低く17:00GMT(ω=196゚W)迄であったから、既に日本とヨーロッパの間には一寸間がある譯である。AHt氏の處ではシュルティス・マイヨルが現れて來ており、ω=254゚Wでは可成り中に入って明確(濃度7)だが、Wr47では見えない。
ピーチ(DPc)氏はこのシュルティス・マイヨルを
17May (140゚Ls)にω=284゚Wでスケッチした。ポップ・アート風で暈けが無く輪郭がハッキリし、英國風ではない。赤ではアエテリア斑点の左にエリュシウム・モンスが小さく描かれる。Wr38Aではヘッラスが大きい。
19May (141゚Ls)にはω=253゚Wで、
20May(141゚Ls)にはω=255゚Wで描いている。ノドゥス・アルキュオニウスが見える。後者のカラーではシュルティス・マイヨルの北部が紺色に描かれている。オリュムピアも見えるらしい。尚後者のWr38Aではクロケア邊りに局所的に朝霧が出ている(ω=241゚W)。
17May (140゚Ls)のニコライ(ANk)氏はω=264゚Wで撮像、シュルティス・マイヨルは緑色、ケブレニアはRで明るい。Bではリビュアが明るい。南端はBで然程強くない。18May(141゚Ls)にはω=246゚W:エリュシウムがRで大きく明るく、ケブレニアとY字形を作る。27May(145゚Ls)には久しぶりのスケッチ、ω=160゚Wでアルバとタルシスが夕端だが、暗色模様は殆ど見られない。
シーゲル(ESg)さんは次のように續くが、一寸捉えどころがない:19May(141゚Ls)ω=230゚W(シュルティス・マイヨル前方の朝霧)、22May(142゚Ls)ω=203゚W(トリウィウム・カロンティスが見え、南極雲が印象的)、28May(145゚Ls)ω=167゚W(夕端はWr47で明るい)、29May(146゚Ls)ω=138゚W(プロポンティスTの蔭を見ているようだ)。觀測時間は20:30〜23:00GMT過ぎ迄に入る。これから北歐での觀測は大變であろう。
グロス(HGr)氏が久しぶりに觀測を寄せた。毎日のように觀測しているが、20Mayを過ぎると目立った暗色模様が無くなる爲か、矢張り取り留めもない:20May(142゚Ls)ω=209゚Wで多分エリュシウムを描いているかと云った處。最後の31May(147゚Ls)ではω=107゚Wまで來たがソリス・ラクス等それと知れない。
♂・・・・・・・ アメリカ本土の觀測:
16Mayはファウサレッラ(NFl)氏が23:50GMT頃から觀測しているが(ω=295゚W)、これは寧ろ17Mayに近い。シュルティス・マイヨルがド眞ん中で、エリュシウムが夕端。
北アメリカでは16Mayは例えばテータム(RTt)氏の01:20GMTω=324゚Wの觀測がある。シュルティス・マイヨルが夕方で明確、アエリアが明るい。エドムが明白。マレ・アキダリウムの北に朝霧。
シュムード(RSc)氏は2:40GMTω=347゚W邊りだが、マレ・アキダリウムの邊りには明るいところはない由。17Mayも同じ時刻だが、20Mayには06:00ω=000゚W邊りである。クリュセに朝霧、黄雲と主張したいらしく、面積まで出しているのには恐れ入る。この人には遠近法感覚がない。後は9cmによる。
ケーヴ(TCv)氏は西海岸で、03:20、04:10GMTの觀測:25May(144゚Ls)はω=271゚W、26May(144゚Ls)はω=281゚W、28May(145゚Ls)はω=258゚Wで何れもシュルティス・マイヨル。ウトピアが粗相。
レーマン(DLm)氏の觀測は05:00GMT頃、27May(145゚Ls)にはω=285゚W、28May(145゚Ls)にはω=273゚Wで觀測、濃度測定が詳しい。前者ではWr23Aでヘッラスは2.5なのに對し、Wr80Aでは1.5。後者ではケブレニアが明るい(砂漠が濃度3に對して濃度2.5)。オリュムピアが出ている(北極冠0に對して1)、ヘッラス2。シュルティス・マイヨル7に對してウトピア5。
パーカー(DPk)氏の18May(141゚Ls)はω=343゚W等、クリュセの朝霧がマルガリティフェル・シヌスを越え、シヌス・メリディアニに達している爲、アラムが白いことやデウテロニゥス、プロトニルスとその北のマレ・アキダリウムとウトピアの西延長等で囲まれる部分が靄っていることを活冩している。南極雲はヘッラスとノアキス北部、アルギュレ邊りに三分割している。
23May (143゚Ls)はω=293゚W、315゚W、シュルティス・マイヨルの南部は枯れて來ていて、以前よりグレースの泉が好く出ている。マレ・アキダリウムは前者ではちょっぴり、後者では大きく張り出して來ている。
24May (144゚Ls)はω=271゚W、赤道帯霧はマレ・テュッレヌムを避けてリビュアからシュルティス・マイヨルの北西へ向かう。ウトピアの西延長の描冩が詳しい。
25May (144゚Ls)はω=263゚W、273゚W等でもマレ・テュッレヌムは晴れているのに對し、リビュアからシュルティス・マイヨルへ霧が出ている。24Mayも同様だが、B光ではウトピア内部に朝霧が深く喰い込んでいる様子が描冩される。殘りのウトピアはBでも濃い。
メリッロ(FMl)氏は26May(144゚Ls)にω=270゚WにR像(B像はω=277゚W)、小さい像ながらノドゥス・アルキュオニウスが出ている。シュルティス・マイヨルはリアル。
29May (146゚Ls)はω=250゚Wで、同じ様だがBではウトピアが濃く出ている。リビュアからネイトへ流れる霧。
31May(147゚Ls)ω=198゚W、226゚W、前者のRではプロポンティスTが見え、後者では充分シュルティス・マイヨルが出ている。Bではウトピアが濃い。
ワシュータ(MWs)氏は31 May (147゚Ls)ω=200゚W邊りで四フィルターを使い撮像、RではプロポンティスTやアエテリア暗斑が明確、アザニアが明るい。濃菫ではオリュムプス・モンスが夕端でクッキリ(ω=206゚W)、南極雲が濃い。MWs氏はスケッチもしているようだが未着。
♂・・・・・・・ 追加報告:
パーカー(DPk)氏の12 May (138゚Ls)の像はω=048゚W、056゚Wで、アルギュレ雲とソリス・ラクスの南の雲が分離している。バルティアには朝霧はない。
13 May (138゚Ls)はω=045゚W、051゚Wでマレ・アキダリウム正中、テムペに霧があり、これが東へ流れて、アキッリス・ポンスを形成している。ω=046゚WのRでカスマ・ボレアレが出ている。一頃のアロマトゥム・プロモンテリウム沖の黄白雲は存在しなくなった。
14 May(139゚Ls)はω=035゚W、アルバが朝端で白い、Rでカスマ・ボレアレ。Bではマレ・アキダリウムの東北部が濃い。
15 May (139゚Ls)はω=353゚W、000゚W、013゚W等:ヒュペルボレウス・ラクスの詳細が出ていて、東半分が淡い。ノアキスの暗弧は好く出ているが、パンドラエ・フレトゥムは痕跡がないことはないが見つけるのは難しい。
石橋(Is)氏の追加報告は15Apr(125゚Ls)ω=060゚W、20Apr(126゚Ls)ω=026゚W、30Apr(132゚Ls)ω=275゚W、282゚Wである。30Aprは角度が早く、Mk氏の指摘するものとは違うようだ。矢張り北極冠の描冩が必要であろう。
♂・・・・・・・阿久津(Ak)氏の30Apr(132゚Ls)のCCD聨續像:
前回、Ak氏の追加報告を追加報告の中に記載するのを迂闊にも怠ったのでここで追加する。都合九像聨續しており、壓巻で、丁度福井訪問の前夜でもあるから、眺めると當時を思い出す。午後8時前から深夜1時過ぎまで、四十分毎、眼視觀測と拮抗する。
先ずω=246゚W:シュルティス・マイヨルが蒼い、次はω=256゚W:シュルティス・マイヨルは更に蒼くなる。ヘッラスが明るくなってきた。地方時上午8時過ぎ。更にω=267゚W、ヘッラスは充分に明るく、Bでもシュルティス・マイヨルが出て來ている。第四像ω=279゚W:ノドゥス・アルキュオニウスがボンヤリ出るが、北極冠の描冩は出來ない。
第五像ω=286゚W:極めて良像となり、北極冠の他、リマ・ボレアリスがクッキリ出て、オリュムピアも見える。ボレオシュルティスやイスメニウス・ラクス明確。ウトピアの濃淡、ヘッラスの東半分の翳も描冩。
第六像ω=296゚W:良像、白いエリュシウムが夕端に來て、マレ・アキダリウムが出てきた。第七像ω=306゚W:やや落ちてきたが、RI、R像は良像。ヘッラスの内部描冩。
第八像ω=316゚W、シヌス・メリディアニが完全に入っていて、ヒュペルボレウス・ラクスも濃く見えてきた。ニリアクス・ラクスに朝霧。最後の像はω=325゚Wで、マルガリティフェル・シヌスが入ってきて、マレ・アキダリウムは東半分が朝霧の中。