10 Years Ago (87)

10 Years Ago (87) (Japanese)
- CMO #123 (10 Nov 1992) & #124 (25 Nov 1992) -

 CMO#123号は、十一月10日に発行されており、観測報告は扱っていない。前号で扱われた3Octの伊舎堂弘(Id)氏による黄塵の観測に関する再考察と来信による構成となっている。先ず、ガンゲス付近の黄塵については、遅れて届けられた比嘉氏のヴィデオによる画像を中心に、発生前後の状況について述べられている。Id氏が黄塵を観測した3Octには、ガンゲスがアウロラエ・シヌスから分離される形で濃化し、逆にルナエ・ラクスとニロケラス南部が見えていない。さらにId氏の観測を遡り、1Octではニロケラスの辺りは正常。29,30Septの福井での観測も正常としている。空白は2Octであるが、比嘉保信(Hg)氏の画像(白黒)があり、ガンゲスの濃化とニロケラス南部の淡化を捉えていた。但し、この日の黄塵の存在については、ヴィデオ画像からは判断ができないとする。5OctのHg氏の画像では、ほぼ旧態に復したとみているが、究明には時間的に限界としている。天候により、観測数が揃わなかったことは残念であった。本文では、これらの観測に付け加えて、Hg氏のビデオ撮像について述べている。視直径8秒ほどであっても、Hg氏のCi-20Rの像は優れている。また、ヴィデオは、情報の収蔵庫として適役であるが、垂れ流しの日録にとどまらず、像の比較等を意図した資料化が必要としている。
 来信(LtE)では、Hg氏、永井靖二(Ng)氏、森田行雄(Mo)氏、さらに佐伯恒夫(T SAHEKI)氏からの便りが紹介されている。佐伯氏は、この年喜寿を迎えられた。福井市自然史博物館の天文台や観測準備室の電話機に外線が通じるようになり、緊急時の問い合わせが可能になったこと、準備室には暖房も設備されたこと等が中島孝(Nj)氏のお知らせから拝見される。

CMO#124は十一月25日に発行された。火星は双子座近傍で高く、十一月半ばでδは11秒角を越え、観測者も国内九名に達している。Mn氏はスケッチ径を4cmに上げている。一ヶ月の観測数はMn氏が82枚、Nj氏が39枚の他、Hkの17枚、Mk氏の15枚、Iw氏の14枚などが続いている。Mo氏は白黒・カラー合計で26像を得ている。全体に悪シーイングに悩んでいるが、全国的に12〜14Novはシーイングが好く、シヌス・サバエウスから朝霧のなかのマレ・アキダリウムが観測されている。季節は350゚Lsあたりである。追加報告としてHg氏のヴィデオ像が45報告されている。17hGMTから21.5hまでの撮像。#124の巻頭はBAAの理査・麥肯(RMk)氏の"The Opposition of Mars, 1990"(JBAA 102(1992)248の紹介である。特にNov1990の黄雲の記述と麥肯氏の1990火星図が(1988年との比較で)載っている。『夜毎餘言』31は「火星街道と京福電鉄三国線各駅停車」で福井・三国間の車や電車の話である。十年後の現在、福井の京福電車は廃止されているようで、京都の嵐山線が残るのみのようである。LtEにはMars Watching Days(21、22、23Nov)に関するIw氏とHkの手紙が含まれる。次号の話題となろう。        

日岐敏明(Hk)

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