10 Years Ago (88)

10 Years Ago (88) (Japanese)
- CMO #125 (10 Dec 1992) & #126 (25 Dec 1992) -

 CMO#125は、十二月10日に発行されている。十一月後半の火星は、δ=12秒角前後、φ=13゚Nはこのシーズンの北寄り最高であった。季節は21Novで北半球の春分である。観測者数は国内で十名、国外で二名である。注目されたのは北極雲の振舞いで、23Novには、北極冠に沿う暗線が南政次(Mn)氏によって観測されている。Mn氏による前後数日間の北極地方の日毎時間毎のめまぐるしい変化は点描により掲載されている。ギュンデス付近の暗線についてMn氏はマレ・ボレウムの南端部の露呈かdark fringeであるかもしれないとしている。
 この観測期間に含まれるOAA一斉合同観測(21, 22, 23 Nov)についての総括の一部がMn氏によってなされている。十一名の観測者が参加し、この三日間での観測数の合計は103にのぼる。この稿は観測結果ではなく、同時合同観測上の問題点の総括となっている。全体として観測の稠密性に欠けており、特に北極雲の変化が観測されただけに、連日のωを揃えた観測等が行き届いていなかったとしている。
 「夜毎餘言」では、流れの途絶える川の話から火星の「水無河」について、ギリシャの話や、また、古来中国人は水を湛えた海原だけを海ととらえてはいないこと(李白の詩など)から、火星のMareも中国人ならば理解できるであろうとした話である。
 十二月25日発行のCMO126号では、十二月前半の観測が報告されている。火星の季節は005゚Lsから011゚Lsと進み、北極冠の季節である。国内外の常連観測者の他、ALPOメンバーの観測がダン・トロイアニ(DTr)氏から届けられている。北極部の暗線が重要な観測対象となっており、岩崎徹(Iw)氏、伊舎堂弘(Id)氏、中島孝(Nj)氏、村上昌己(Mk)氏および南政次(Mn)氏等が追跡している。 北極冠の見極めについては、もう半周観測して総括したいとしている。
 126号の「夜毎餘言」は、「非本分派-待望の一月3日夢の対決」と題して、ライスボール最終戦についてのMn氏の紹介:大学の在り方の移り変わりについて振り返りつつ、官学東大に対しての非本分派の衰えを述べている。来信(LtE)では、各観測者の観測状況が報告されているが、シーイングの悪い状態は共通していたようである。
日岐敏明(Hk)

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