10 Years Ago (89)

10 Years Ago (89) (Japanese)
- CMO #127 (10 Jan 1993) & #128 (25 Jan 1993) -

 CMO#127は、1993年一月10日に発行された。国内外の観測者からの賀状の紹介に始まり、来信(LtE)、2nd MARS WATCHING DAYSとして観測者からの便りが盛り沢山である。森田行雄(Mo)氏は、撮影に際してのアイピースの選択、露出、CN-16現像等についてふれている。この頃より氏はCCDカメラでの撮像を検討していた様である。他に神崎一郎(Kz)氏、岩崎徹(Iw)氏、伊舎堂弘(Id)氏、村上昌己(Mk)氏、比嘉保信(Hg)氏、大場与志男(Oh)氏および日岐(Hk)等から寄せられている。
 火星はいよいよ衝に近く、十二月末には双子座にあった。季節は012゚Lsから019゚Lsに進み、δは14.8秒角に達した。観測報告は、十二月後半を扱っている。常連の観測者に加え、ベテランのOh氏が初報告。南政次(Mn)氏は、今回の報告について「スケッチや写真の内容が格段に良質になった」としている。内容は時節柄北極中心となっている。Mk氏は16Decに356゚〜054゚Wまで観測し、北極部が二つに分かれて、前方の明部が北極冠であると判断。18DecにはMn氏及び中島孝(Nj)氏が、晴れつつあるマレ・アキダリウムの状況を観測している。Mo氏は、マレ・アキダリウムに関わる北極部の貴重な映像を残した。
 CMO#128は、一月25日に発行された。一月前半の火星面を扱っている。火星は8Janに衝を迎え、δは最大の14.9秒角前後で推移し、季節は020゚Lsから026゚Lsまで進んだ。これは北極冠が北極雲から放たれた直後である。観測数は、Mn氏が58枚、Nj氏が32枚、Id氏、Iw氏が14枚と続く。他にMk、Kz、Oh氏及びHk等。Iw氏はプロポンティスTの分離やその周辺の描写を正しく捉えた。Mo氏のTP写真では、ノドゥス・アルキュオニウスの分離やアキダリウス・フォンス等が表れている。
 1992/93 CMO Noteでは、『第二回OAA一斉合同観測の総括』と題して、1993年2、3、4Janにおける一斉観測の状況を纏めている。Id氏とIw氏は2Janに三時間におよぶ同時刻観測があり、両氏の観測の間をぬうように、Mn、Nj氏の観測が入り、密度が高い。Iw氏はプロポンティスTとその近傍を詳細に捉えている。また、北極冠のサイズを、2JanでのId、Iw、Mn氏のスケッチから、測定はMn氏、計算は西田昭徳(Ns)氏により導き出している。雪線は、Mn氏のスケッチでは59゚Nから63゚Nの範囲としている。感想としてMn氏は、立ったままの観測は極力避け、座位で観測することと注意を促す。その差が集中力に影響すると述べられている。
 他に、Ns氏により5cm円の経緯度グリッド図が紹介され、観測の便を図っている。「K」では、ブルー・へーズやブルー・クリアリングについてのMn氏の見解が示されている。
日岐敏明(Hk)

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