Great 2003 Mars Coming (05)j

Great 2003 Mars Coming
(5)


The Astronomical Almanac for the Year 2003 の火星項について

南 政 次、村上 昌己、西田 昭徳

 ★2003年版のThe Astronomical Almanacが2002年版と多分多くの要素で違っているところがあると思われるが、火星に関しても幾つか改訂が行われているため、観測データにも影響が出るので注意したい。
★例えば、火星の平均赤道半径は2002年版では3397kmとされているが、2003年版では3396.2kmと改訂され詳しくなっている。
★同じように、幾何扁平率が2002年(2001年でも同じい)では、0.006476となっていたのに対し、2003年版では北極半径Rnと南極半径Rsが等しくないという最近の結果から(P K SEIDELMANN et al の文献が挙がっている)、扁平率は二つに分かれているのが際だつ違いである。
★赤道半径をReとすると、扁平率は南北で
      Fn=(Re - Rn)/Re=0.006772
      Fs=(Re - Rs)/Re=0.005000

と見かけ上大きく違っている。上は
      Rn=0.993228Re
      Rs=0.995000Re

を意味するから、南方向の半径の方がやや大きく見積もられているわけである。2002年の値ではRs=Rn=0.993524Reであるから、Rsの違いが大きい。
★従来は南北対称に計算されていたわけであるから、この違いによってφなどに違いが出てくることが予想される。
★もう一つ重大なのは、恒星時での自転周期の改訂である。2002年版では1.025 956 75日であったのに対し、2003年版では1.025 956 76日である。極小さい違いだが、多分MGSなどではずれが出る値であろうし、元期設定でωにも影響しよう。

★2002年十二月28日と2003年一月1日の00:00TTでの諸要素は2002年版と2003年版では次のように違っている:


2002年版
           ω        φ        λ         δe     δp      ι        Ds
28 Dec  123.63゚W  14.82゚N   114.59゚Ls    4.50"  4.47"   27.3゚     23.04゚N
01 Jan   84.80゚W  13.86゚N   116.44゚Ls    4.57"  4.54"   28.0゚     22.67゚N

2003年版

28 Dec  123.36゚W  14.81゚N   114.59゚Ls    4.49"  4.47"   27.3゚     23.01゚N
01 Jan   84.53゚W  13.84゚N   116.44゚Ls    4.57"  4.54"   28.0゚     22.64゚N
 ★改訂は軌道に及んでいないからLsには動きがないが、ωに大きい違いが出ている。これは自転の改訂の他に精密な地図によって元期を変えているからであろう。扁平率の改訂でφ(De)やDsに下二桁目に違いが出ている。視直径については然程ではない。
★なお、われわれの観測記録に関してはωも下一桁を(四捨五入して)考えないから殆ど影響がない(下一桁派はどうするのであろう)。φもピカリ現象を考える場合もさほどの違いはないようである。データでは下一桁を四捨五入すれば問題がない。
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