LtE in CMO #239

From  Shigemi NUMAZAWA


    ・・・・・・寒気の中の一時の雲の切れ間、惑星の輝きが目にしみる新潟の空です。・・・・

 

先日お送りしましたCCD の文ですが、少しわかりにくくて失礼いたしました。実は私が購入しました裏面照射型のCCDは、アポジーではなくて、ビットランなのです。アポジーの裏面型(チップはSITE 512*512)SKY & TELESCOPEに最初に載ったとき、大変興奮してリサーチを始めました。しかし、メンテナンスやCCDの個体差の問題に突き当たり、国内メーカーに決めたのです。当時、ビットランも SITE 512*512チップの採用を開始していましたのでちょうど良い時期でした。なんと言っても日本語で交渉できて、素性もよく分かる点が重要でした。アポジーの普及品は、SITE 512*512100万円程度ですから、大変に魅力的なのですが、天文学者の方々やNHKの技術研究所、特にCCD開発に関わっている方々にコメントをいただき、CCDの低グレードでは当たりはずれが大きいことと、きちんとした個体データが得られないことなどから、熟慮してグレード1をビットランに依頼しました。実は未だに月賦を払い続けています。もう壊れてしまったのに・・・・・・・非常にリスキーな道具です。

 

『火星通信』(WEB)を拝見し、火星観測に裏面照射型の高感度CCDが注目されていることは少し意外でした。たしかに、拡大率、短時間露光・・・裏面が優位な要素はありますが、なにも裏面を使わなくても・・・という気は少しいたします。コダックのEチップなどは、青感度が高いので、トータルでは裏面に近い能力が期待できます。保護硝子も付いていますので、安心して使える点も見逃せません。特にSITEの裏面型は、正直に申し上げて、アマチュアには繊細すぎるアイテムではないでしょうか? 機材や画像処理法に傾倒する事は重要なことではありますが、目的を明確にしないと雑誌の投稿写真になってしまうような、観測にはそれなりの自制と判断が必要と感じています。

 

南さんも危惧されているでしょうが、CCD(ビデオも含めて)画像は、画像処理段階でレベルの限界に近い有効利用を強いるわけですので、かすかなランダムノイズが模様に見えてきたり、アンシャープマスク処理や画像復元処理が、過度な輪郭強調などの虚像を生み出してしまいます。これも、良いのか悪いのか悩まされる事例です。それらは、一見して「すごい」画像に見えますが、眼視に精通されている方ならその異常な面にも気づかれるでしょう。

 

このようなことは、すでに多くの方が議論されていると思いますが、私のようなイラストを描く分野でも同様?な現象がおきています。「手で絵を描けない人がコンピューターであっというような絵を描くことができるようになった。・・・しかし、これは描けるようになったのではなく、コンピューターをオペレートしたにすぎない事が多い。しかも、最近の多くのイラストレーターは、原画の本当のすごさを知らないでいる。」こんな事を書くと、もう古いということになってしまいそうですね。

 

来年の火星は、何か報告ができるように取り組みたいと考えています。今後ともご指導のほどよろしくお願いいたします。

良いお年をおむかえください。

 (28十二2000 email)

   ・・・・・・・2001 A HAPPY NEW YEAR: できればシーイングの好い場所へ行きたいと考えています。

(元旦2001

   ・・・・・・・(Ns) 西田 様、メールありがとうございます。

 

CCDってけっこう水物みたいですね。個体差があり過ぎるようです。ApogeeSITEとのつながりが大きいでしょうから、日本国内よりはるかに安くCCDを入手できる立場にあると思います。しかし、グレード1で、個体データを確認できないのは残念です。400ナノで私のところに来た五枚の個体データを見てみますと量子効率で5569パーセントの開きがあります。他のCCDがほとんど感じない部分ですので、裏面の効果はあると思います。選択は間違ってはいないと思います。ただ、CCDカメラのウインドーガラスや他の光学系の400ナノの透過率は問題になるかも知れません。

 

私が裏面の後使っているコダックの1001Eですと、400ナノの量子効率は40パーセントあります。量子効率は変わらないまでも、多画素CCDは、ビニングが使えますので、2×2でかなり稼げるようになるとふんでいます。

 

ところで、フィルターはどのようなものをお使いでしょうか? 元トーカイの技術者の青沼さんが分光用のUBVRの干渉フィルターをつくっておられるので、もし有益ならデータを発表します。各透過率はピークで95パーセントはいくでしょう。

(142001 email)

 

   ・・・・・・・(Ns) お役にたてて幸いです。とりあえず、私見ですが述べさせていただきます。

 

Ns>このようなチップの個体差はSITEの裏面チップだけの問題でしょうか。コダックやソニーのチップにもあてはまるのでしょうか。

 

個体差はかなりあって、どんなCCDも量子効率や欠損ピクセルの度合いによってグレードが分けられますよね。ビデオ用でしたら、良くないものは民生用、次は業務用、そして放送機器用です。ちなみに、民生用CCDは、1秒でノイズで真っ白になるのに、放送機器用のハイビジョンCCDは、8秒蓄積でもほとんどのイズが目立たないと言う実験をしたことがあります。本当に驚きました。

量子効率とノイズの個体差はいかなるCCDでもあると思います。SBIGのチップはグレードが低いようですので数秒でダークを引かないと絵が見られませんね。SITEのグレード1の裏面では、数秒でもあまりのイズの目立たないきれいな絵がでました。ドライブの仕方にも違いがあると思いますが、この差はCCDの特性と言

うよりも、グレードの差と思われます。

 

Ns>実は、UV仕様チップカメラも考えていました。参考までに、アド・サイエンス販売価格で

>  apogeee AP-7b-1UV(グレード1) ISAバス仕様      1,750,000

>            AP-7p-2UV(グレード2)パラレルポート仕様  1,344,000

>私はパラレルポートを考えていましたが、グレード2しかないのでいかに観賞用・・・・

 

ISAは、転送が早いのですが、最近のコンピューターではバスが無くなる傾向にあるようです。かなり旧式のバスなので、アップグレードがあれば、今後PCIや、USBに変えていった方がいいかも知れません。ビットランはISAをやめました。CCDの転送動画時間は、ドライバの駆動スピードによりますが、現在のビットランのBT200ですと、1MHz駆動なので、全シリーズのISA転送よりも現在のUSBの方が格段に早くなっています。

 

UVとビジュアルの違いは裏面コーティングの違いです。ご存じのようにUV仕様は長波長の量子効率が悪くなります。ただ、天体の場合UVは、大気吸収が大きいので、光学系と相まってよく検討しないと効果がない場合もあるのではないでしょうか。

 

Ns>武藤CV-04(コダック旧チップ)を所有していますが、最初これを光映舎でEチップに改造していただこうと思っていました。しかし、カタログ性能でApogeeを注文してしまいました。

 

CCDのデータでは、SITEのものが圧倒的に優位と思います。もちろん、裏面はABGがありませんが、火星面でブルーミングがおきることはないと思います。

 

それから、全くの個人的見解ですが、K社に頼るのは十分お考え下さい。以前に出していた--今も出しているかも知れませんが--分解フィルターには信じがたいものもありました。それも、コダックのチップの分光感度に合わせたと言っていました。結果も良いと言っていましたが、理論的には合っていませんので、正当な三色は得られません。L+RGBの仕様に関しても、特性を吟味された方がよろしいと思います。惑星で、しかも裏面をお使いでしたら、正当なRGBで撮影された方が良いと思います。その他に独立した用途にLまたはスルーでの撮影をされた方がベターでしょう。よく間違われることは、L+RGB の撮影で、RGBを合わせた特性とLの特性が合っていないで使用されるということです。

 

CCDやフィルターに関しては、中西さんや青沼さんなどの専門的な知識を持った方の会社がよろしいのではないでしょうか?

 

天文用に関しては現在干渉フィルターの多くはトーカイです。特性も悪くありません。

 

青沼さんのアドレスと中西さんのアドレスです。直接聞いたほうが何かとよろしいと思います。沼澤に聞いたと言って下さい。

 

アイキャスエンタープライズ(ICAS Enterprises)

青沼郁博   Ikuhiro Aonuma

E-mail:  idas@icas.to

    

中西昭雄

有限会社ナカニシイメージラボ

E-mail:nakanishi.akio@nifty.ne.jp

 

火星に関して分からないことがありましたら教えて下さい。

(152001 email)

 


沼澤 茂美 (Shigemi NUMAZAWA 新潟 Niigata) :
numazawa@nisiq.net
numazawa@jplnet.com
http://www.jplnet.com/


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