丸山修一氏の同定によ

ローヱルの撮った日本の山々

Japanese Mountains photographed by Percival LOWELL

Identified by Shuichi MARUYAMA


構成:村上 昌己、南 政 次


ーシヴァル・ローヱルが日本であちこちの山を登山したことはよく知られていますが、大型カメラを持参し山岳写真もかなり収めていることも知られています。この頁では、これらの写真の幾つかを何処で、どういう角度から撮ったか検証しようというものです。写真に見られる山の同定は、丸山修一氏にお願いしました。丸山氏は日本山岳会に所属し、日本の山々に造詣が深いだけでなく、村上の高校の一年先輩ですが、當時から写真部で活躍していたこともあり、アングルとしての山の風景、山からの風景に関する経験も豊富にお持ちです。例えば今回も、殆どヒントなしで、野麦峠からの乗鞍岳を見事に同定して貰いました。以下全部を紹介し切れませんが、数々のなかから幾つか、雨飾山、姫川流域、榛名山、磐梯山などを含めて紹介しようと思います。ローヱルの足跡を如実に示すものばかりです。推定後は、カシミールという3D地形ソフトウエアを利用し、分かりやすく示して頂きました。


丸山 修一氏

MARUYAMA Shuichi

株式会社 丸山環境デザイン事務所

Maruyama Landscape Design co.,ltd.

E-mail maruyama@mld.co.jp

Homepage http://www.mld.co.jp


カシミールについてカシミール3D3D地図ナビゲータ(Windows用)で、フリーソフト。地図ブラウザ機能を基本に, 風景CG作成機能, GPSデータビューワ・編集機能, ムービー作成機能, 山岳展望機能などの多彩な機能を搭載した優れたもの。 市販の電子地図では詳細がわからない山間部もカシミールでは 1:25000 の詳細な地形図を使うことができる。ホームペ−ジのURL

http://www.kashmir3d.com/


A. 野麦峠から乗鞍山

 ローヱルの撮った乗鞍というのは左のような構図ですが、

丸山氏は即座に野麦峠からの乗鞍を思い出し、三脚を立てた場所を同定し、そこからのカシミールCG画像を添付してくれました。普通の地図で辿ってゆけば確かに野麦峠から望む屏風岳から大黒岳がこの順序で入ります。

 

▲この同定には次のようなやりとりがありました。

MnàMk

前に訊ねたかも知れませんが、添付のローヱル写真の山はどこでどこから撮ったものか調べていただけませんか? 丸山さんに送って判定して貰ってください。5×8で撮っています。桔梗屋と松本城の時と一緒だと思いますから、北アルプスか、そのあたり。(22 Aug 2004)

 

MkàMa(丸山)

前略、御無沙汰で申し訳ありません。お元気でお過ごしのことと存じます。添付の写真は、パーシヴァル・ローヱルが明治20年頃に撮った日本の山の写真です。北アルプスの山と思われるのですが、山の姿から山の名と撮影地が推定できますでしょうか? (22 Aug 2004)

 

MaàMk

写真は、野麦峠からの乗鞍。カシミールで作った野麦峠からの風景です。厳密には、野麦峠(1672m)から乗鞍側にちょっと下がったところ、標高1665m付近だと思います。(August 22, 2004 )

 


B. 榛名山

右の榛名富士は一目瞭然ですが、丸山解析の撮影位置を紹介しましよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

C. 元箱根一の宮

先に軽井沢の離山と見做しましたが、ほぼ同じ角度の写真が『箱根彩景』(箱根町立郷土資料館)に収められていることから、佐藤利男氏のご指摘により、元箱根一宮付近ということが判明しました(左下図、桃色扇形の先と角度)

 

 

 

 

 

常夜灯1791年建立のものの様ですが、近年、三の宮に移設されているそうです。

 

 

 

 


D. 雨飾山

 雨飾山の写真4×5で、能登行の時のものらしく糸魚川の近くで一枚と、もう一枚、かなり姫川を遡って撮っています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

撮影箇所は丸山氏によると上のように同定されます。右の撮影地点は左の図の中に見つけることが出來ます。

 

遠景の山はそれぞれ違って見え、カシミールCGによると、次のようになっています。


E. 磐梯山

 磐梯山は小磐梯山の山頂を含む北側が1888年に水蒸気爆発により崩壊しましたが、ローヱルはこの跡を見に行っています。磐梯の写真は何枚も知られていますが、遠景、近景の二葉の分析を載せます。

 

遠景の方は右が磐梯山、左が櫛ヶ峰。

桧原湖などは山体崩壊と岩屑なだれで生じたものです。

 

 

 


F. 碓氷峠(うすいとうげ)

 

 

桜の季節でしょうか、子守も歩いているようなところですが、丸山氏は背景の山が離山と見抜いて撮影点を碓氷峠と定めました。


G. 富士川

丸山氏は富士川と見て、下流の東海道線鉄橋のあたりの河川敷に三脚を置いたと見做しました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


つづく


丸山修一さんのこと;(村上昌己)

私と丸山さんの付き合いは、丸山さんが九段高校の天文部の先輩の友人ということもあって、天文部にも出入りされていたことに始まります。自然、カメラの使い方から、フィルムの現像までその時代に教わりました。本業は造園設計家ですが、各地を旅して自然に親しんでいます。最近はあまり出掛けていないようですが、日食フリークでジャワ島日食から各地で皆既食の撮影に成功しています。私も若い時代には折に触れ山歩きなどもご一緒させていただきました。

 彼のホームペ−ジには、日食遠征の際に足を伸ばした、ギニア高地やパタゴニアの画像があります。都会にいるときには食い道楽ですので、あちこちのお店の食べ物が紹介されたフォトダイアリーもあります

http://www.mld.co.jp


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