Ten Years AGO (75)    - CMO #111 (25 November 1991) -


 

星は、1991年十一月8日に「てんびん座」で太陽と「合」になった。以後は太陽の西側へうつり1993年一月の次回接近に向けて離角を拡げていく状況だった。
 
この号には1988CMO観測ノ−ト(16)として「Novus Monsの分離について "On the detachment of Novus Mons in 1988"」が掲載されている。1988年にはNovus Monsが南極冠から分離する様子を観測するのに適した季節(240°Ls)が、日本付近の経度では七月下旬に観測出来る火星面になっていた。記事では、直前のアメリカでの観測から引用をはじめて解説が始まり、日本、台湾での観測を詳しく取り上げて、八月に入ってからはヨ−ロッパでの状況を追っている。最後はアメリカに戻りD PARKER氏が東端に捉えたところ(14 Aug λ=252°Ls)までを扱った。このときには既に分離していると判断して、1988年には歴史的に観測されているNovus Monsの分離の時期(250°Ls252°Ls)と同じくらいであったろうとしている。またVikingの観測結果の紹介や1971年度の観測の紹介もある。

 次いで、1991 OAA Mars Section NOTE (2)として「320°Ls330°Ls にかけての朝霧 "Morning mist from 320°Ls to 330°Ls in 1990"」があり、1988年の280°Lsの前後にThaumasia Fœlixに観測された強い朝霧(#108 p930)の、1990年度に於ける追跡と比較の記事である。1988年度よりは少し季節が進んでいるが、1990年十月に入って視直径が15秒角を超えて大きくなってきた頃に320°Lsに達していた。以降、十一月上旬にかけて集まった観測の中から、該当地域も含めてSolis LSyrtis Mjなどの朝霧の様子を取り上げた。しかし、1988年に観測されたような著しい朝霧は観測されなかった、というネガティブな結果となった。

 夜毎餘言XXIII は「郵便事情」と題して、『火星通信』発送の際の様々な苦労話を取り上げている。筆者は切手収集の見地から、綺麗な切手が貼付されているのを毎回楽しみにしている。外国の方なら尚更であろう。

 LtEには、渡米中の浅田正氏からのお便りをはじめとして、Roy CERRETA(Italy)から寄せられた火星図の紹介。日岐敏明氏からのお便りと同氏使用の望遠鏡の写真と火星スケッチの紹介。Marc A GÉLINAS(Canada)のお便りには、同封された"ASTRONOMIE QUÉBEC"誌についての記事、編集部に同氏が所属する。Don PARKER氏からは、同封された"Dust Clouds on Mars in 1990, An International Event"の紹介。それぞれに南氏の解説が付いている。
 このころからDon PARKER氏はLynxx CCD Cameraの試用をはじめていたようで、土星、木星、金星のレーザープリンター出力画像の御送付があり、土星のCCD画像が紙面に引用されている。

 また、シ−・エム・オ−・フクイ欄には中島孝氏からカンパ受領のお礼がある。


村上 昌己 (Mk)


Back to CMO#253 Home Page

火星通信』日本語頁に戻る/火星通信』ファサードに戻る
火星通信』ホームページに戻る