2007年7月30日ー8月9日 AOGS2007 and IPELS2007 7月30日(月) この日からバンコクへ AOGS2007 (Asia Oceania Geoscience Societies meeting) に出席するために出発。AOGS は、 これまでシンガポールで3年続けて開催されていたが、初めて シンガポール以外で開催となった。私は1回目はセッションを 提案してコンビーナーをやり、2回目は招待されたのと学術創成の 絡みで出席。昨年は横山君にコンビーナーをやってもらって自分は 欠席だった。今年は故小杉さんの依頼で、ひのでセッションを 提案し、コンビーナーとしての参加。 さて、この日は結局、3時間睡眠で関西空港へ。 最近、徹夜できなくなってきた。 当然仕事はできず。前日の参議院選挙の自民党の歴史的敗北 ニュースにトラップされたこともある。昨夜は 出張の準備が何もできていないのに、あまりに 悠然としていたから家族にあきれられた。 関西空港では誰にも会わず。バンコックまでは6時間ほど。 論文を少し読んでいるうちに到着。バンコックで横山君、渡邉鉄哉さん、 末松君に会う。一緒にバスでダウンタウンへ。途中降りるバス停を 間違えるが、タクシーで横山君とホテルへ。35バーツ(140円ほど) だから安い。夜は横山君とホテルの中華料理屋へ。すると坂尾君も 偶然ばったり会い、3人でシェア。中華料理はうまい。 ホテルはきれいな立派なホテル。Grand Mercure Fortune Bangkok. 地下鉄駅のすぐ横。部屋の設備もなかなか良い。70ドル/日だから まあまあ。 インターネットも使える。ただし、有料。1分18バーツ(70円)。 1日やると695バーツ(2800円ほど)。 7月31日(火) 朝、8時半からひのでセッション。私が座長なので、遅れないように 30分以上早めに行く。レジストレーションはまだだったことに気づく。 急いでやる。受付はあまり能率的とは言えない。 最初のスピーカーは渡邉さん。ひのでのオーバービュー。 心配していた聴衆の数も大体40人くらいは出ていた。 ほっとする。ひのでのレビュー講演(渡邉、末松、坂尾、今田)も 皆さん良くやってくれた。聴衆にも楽しんでもらえた模様。 ひのでレビュー講演の後は、横山君、Bellot-Rubio さん以外は、 京大シリーズ。永田君ーconvective collapse, 北井さんーumbral dot, そして自分の講演ーCa jet の話。質問がいっぱい出た。 省略しすぎて時間が短すぎたかな?と反省気味に横山君に聞いたら、 「いえ、おもしろかったです」とのこと。 松本、大辻両君も何とか無事発表。松本君は質問が初めて出たとハッピーな 様子で何より。 昼食はひので組(渡邉、末松、鹿野)+京大組(北井、永田、松本、大辻、柴田) +Bellot-Rubio さんで、ビュッフェ形式の豪華な食事。洋食から、 すしあり、刺身あり、タイ料理あり、豪華なデザートありと満喫。 それでも250バーツ(1000円くらい)。 午後は、京大組でひので飛騨共同観測+データ解析の相談会。 永田君は明日日本に帰って早速ひのでCOとのこと。 データ解析を誰が担当するか、活動領域がなければどうするか (スピキュールをやろうとのこと)などなど議論。 夕方まで延々とやる。夕方は横山君と、ひので特集号(PASJ)の ミニ編集会議。途中、Zhang Hongqui san, Frank Cheng san が来る。 Zhang san は来年の日食にあわせた太陽の国際会議(Solar Corona, Magnetism, Space Weather (?)というようなタイトルらしい)を中国の敦煌で やろうとのこと。大賛成。日本からは桜井さんと私がSOCに参加。 Frank Cheng さんは、台湾国内で台湾成功大学に移ったとのこと。 Cheng さんの仲間(PD)だったプリンストンのChoe-san は 韓国で職を得て戻ったという。 夜は横山君とホテルの横のモールのタイ料理ファーストフードコーナーへ。 タイの麺を2種類食べる。結構おいしい。ただしスパイシーな味付けは避ける。 それさえ注意すれば、タイ料理は味が日本的というか自分の嗜好にぴったし。 2杯で70バーツ(約280円)と安い。 ついでにアイスクリームも。9バーツ(約36円)。 8月1日(水) 午前は "From CMEs to BBFs: New Insights into Reconnection" セッション。ただし、地下鉄が超満員で8時30分開始に遅れる。 8時に駅に着いたのに。 地下鉄は1台目満員で乗れず、次の車両で無理矢理乗るが、 15分くらい動かず。それで結局全部で40分くらいかかったのだ。 どうもこんな混乱が日常茶飯事らしい。 そのときに一緒だったFrank Cheng によれば、昨日タクシーに 乗ったら、渋滞で会場に着くのに1時間かかったとのこと。 それを考えるとまだ地下鉄の方がましか。 セッションは太陽と地球の合同セッションだが、全く 両者の歩み寄りがない。別々にそれぞれの分野の講演を しているのみ。オーガナイゼーションが出来ていない。 午前の後半は私が座長。もう一人の座長(Z. Pu) は来なかった。 招待講演者の一人のBuechner も無断欠席。 聴衆の数は40人くらい。 このセッションで  Zhang Hongqui san が来年の日食にあわせた 国際会議の宣伝を早速していた。 昼食は新田(就亮)君と久し振りに一緒に。会議場の 軽食レストランでタイ料理のスープ+ご飯。スープが 和風的でおいしい。これも大満足。 久し振りなので、話がいろいろ盛り上がる。 モンタナの Qiu さんという人(女性)はかつてニュージャージーに 行ったときに一緒に夕食を食べた人であることがわかる。 最後にお互いの追悼文用にとツーショット写真を取る。 新田君は「あまり早く死にたくはないね」。 でもこればっかりは、神のみぞ知る、だ。 午後は早くホテルの部屋に戻って、講演の準備。 夜は、再び横山君と昨日と同じホテル横のモールの大食堂で タイ料理。今日はラーメン。これもうまい。正解。 その後、講演準備の続き。準備が終わったのが朝の 6時ころ。結局1時間睡眠。 8月2日(木) 午前は、昨日のセッションの続きで、 From CMEs to BBFs: New Insights into Reconnection ここで Vrsnak san に初めて会う。クロアチアとか。 Vrsnak san はCME はリコネクションによって解放されたエネルギーによって おもに加速されるという観測的証拠と理論モデルを発表。理論モデルは van Tend -Kuperus model の発展版。詳しくはわからなかったが、 簡単そうなのが良い。 Poletto さんのレビュー講演の後、Q. Zong さん(磁気圏研究者)が 「太陽フレアのリコネクションレイトは 0.01- 0.1 となっているが、 磁気圏テイルではいつも 0.1 くらいである。なぜ、太陽では リコネクションレイトはこんなに小さいのか?」と質問。 私が Poletto さんに代わって「ひとつの可能性は太陽フレアでは 時間的に平均したリコネクションレイトを測っているためでは ないか。実際のリコネクションは大変非定常」と答える。 その後(私の講演の後)、星野さんともこのことを議論。 「地球では逆にこれまでリコネクションが起きていないと 判断していた時間帯もリコネクションの一部と考え直した方が 良いかもしれない」とのこと。 Choe (Korea) さんは複数のねじれた磁場が融合することに より非平衡・不安定となるケースの3次元MHD数値シミュレーション で示す。おもしろい。 その後、私の講演「Fractal Reconnection in the Solar Atmosphere」。1時間睡眠の影響で、舌がスムーズに まわらなくて、自分ではあまり良い出来栄えとは思えず。 しかし、それなりに楽しんでもらえた模様。 末松君、Bellot さんが面白がってくれた。 この頃出席者数は30人+α。 本セッションでは他に以下のおもしろい講演があった。 横山君:磁場の水平方向の勾配がある臨界値(250G/arcsec)を超えると フレア発生に至るという。 Y. Chen (Hu-san の仲間):CMEの加速におけるリコネクションの効果を 丁寧に調査。リコネクションなしに非平衡状態になるケースについて リコネクションなしとありのときのエネルギー解放量を調べると、 リコネクションありのときは、エネルギー解放量が倍増(以上)している。 したがって、CMEの加速にとってリコネクションは本質的に重要との 結論。抵抗モデルについて質問したら、一様抵抗だと返事。ならば、 遅いリコネクションですね、とコメントしたら、実際は数値抵抗が 効いているので速いリコネクションだとのこと。 昼は、food court で横山君、松本君と食事。途中、Hasan さんと 久し振りに会う。私のひのでの講演が聞けなかったので ppt file がほしいとのこと。jet の講演ppt + movie をあげる。 Yan san は午前の私の講演の fractal reconnection ppt file をほしいと のことで、それを謹呈。 休憩時間にインドのKrishan san が彩層リコネクションの基礎となる 部分電離プラズマ中のリコネクション研究を共同でやりたい、ついては 日本に3か月間ほど行けるポジションはないか、 と聞いてきた。国立天文台の末松君や渡邉さんに聞くと、ひので関連で 客員が取れそうだが、競争率は高いだろうとのこと、しかし、8月末までに 申し込めば、来年度ポジションの審査には間に合うとのこと。 その旨 Krishan さんに伝える。 昼からホテルに戻り、仕事の続き。 夕方から横山君とバンコック観光。王宮にはタクシーが行ってくれなかったので (渋滞を理由に200バーツなら行くがとふっかけられたがそれは高いとこちらが断った)、 チェラロンコン大学とバザール。2時間くらい歩きまわる。 バザールは小さな(専門)店が何10〜何100?と集まった大市場。 店を見て歩くだけでも楽しい。 そこで、タイの人形を買う。最初、一つ買ったが(200バーツ) もっと良いものを見つけたので、それも買う (450バーツというのを380バーツまで値切る)。 一つ目は研究室にでも飾るか? 8月3日(金) 1日中ホテルで仕事。山のようにたまっている 電子メールに返事しつつ、京大出版会の本(21COEシンポジウム 「光と物理学」中の私の原稿「太陽プラズマ現象」の校正。 これが意外と手間取る。図のクレディットをとるため、原典、出典を 探すのに時間がかかったのだ。夕方にようやく電子メールで 校正を送る。のち、名大の市民向け講演会(8月26日)用の資料作成。 ひのでの初期成果紹介が中心の講演の準備。これも意外と難航。 ひのでの観測装置なども分かりやすく説明しようといろいろ調べるが、 それに時間がかかる。結局、翌朝までに間に合わず。 8月4日(土) 昼までホテルで電子メールほか。 昼前にチェックアウト。5泊のすべてで インターネット代一日695バーツ(約2800円/日)かかる。 5日間で14000円。これまでの出張で最高の インターネット代。ちなみに本来のホテル代は 一日70ドル(=9400円=2600バーツ)。5日で 13000バーツ。税込も入れ合計で17000バーツほど。 日本円で、65000円ほど。 昼からAOGS会場に行き、登録料の領収書をもらおうと するがVISAの決済ができていないので、発行できない とのこと。決済が済み次第、インターネットから 印刷が可能とのこと。せっかく行ったのにがっかり。 その後、やっとバンコック観光。といっても時間が 数時間しかない。地下鉄とタクシーで王宮へ。 タクシーはひどい渋滞で30分以上かかる。途中で 意識を失う(居眠り)。73バーツ。王宮は金色の きらきらの建物ばかりで、さすがにこれは日本とは 違う。というわけで写真をいっぱい撮る。 エメラルド寺院の中に入り、しばし宗教的な雰囲気に ひたる。中もきんきらのぴかぴかな仏像が一杯。 日本のお寺もきんぴかな仏像があったりするが、 ケタ違い。南国の光の強さに比例するかのような ピカピカ度だ。しかし、一応仏教なので、日本の お寺との共通点もある。お線香のにおいは同じ。 狛犬もあった。東大寺の仁王像のような番人像もある。 ただし、人の姿は中国人のよう。現代のタイ人は 1200年頃以前は揚子江の南にいたというから 無理もないのか。しかし、それなのになぜ 漢字を使わないのか不思議。 (ちなみに現代のタイ文字は、お隣のカンボジアの クメール文字を起源にしているという。) 帰りのタクシーも渋滞の中をゆっくり走る。 途中、みやげもの屋を見るとみんな仏像ばかり 売っている。さすが仏教国。タクシーは80バーツ (100バーツと言ってきたのを73バーツだと言ったら 80バーツにしてくれた)。元来た地下鉄にのり、 ホテルに戻ると予定の3時半を10分過ぎていた。 しかしそこから無事タクシーに乗り、空港へ。 タクシー代は300バーツ(1200円ほど。 これでも安い)。 空港ではラーメン屋があったので、大喜びで 衝動的に一番上等な金ラーメンを注文。325バーツ。 するとラーメン以外にチャーシューが大量に 出てきてひっくり返る。半分ほどしか食べれず。 100バーツ損した。ワンタンラーメンかわかめラーメン (225バーツ)にしておけば良かったと後悔しきり。 水(30バーツ)と税金であわせて400バーツ。 バンコックへ来て一番のぜいたくだ。 しかしラーメンそのものはおいしかった。 豚骨ラーメン。天下一品のこってり風。 シドニー行きの飛行機は夕方6時過ぎに出発。 飛行機の中では、名古屋の講演会の資料作成。 ようやく完成。その後、映画「Astronaut Farmer」を見る。 農場主が自分一人でロケットを作って宇宙に行こうという 筋(本当に行ってしまった)には流石にぶっとび、 一瞬B級映画と思ったが、結構感動的な映画だった。 ロケット打ち上げ失敗後、再チャレンジしようと、 奥さんが旦那を元気づけているくだりは、 涙が出て止まらなかった。 8月5日(日) この日から今度は、IPELS2007 (9th International Workshop on the Interrelationship between Plasma Experiments in Space and Laboratory), 5th-10th Aug, 2007, at Palm Cove, Australia, 出席のため、シドニーへ。ひのでの初期成果の紹介のため。 私はこの会議の Program committee の一人。実はこの話の 始まりのとき、今年は多忙でたぶん会議には出れないので、 委員も千葉大の松元君に代わってもらおうと山田さんにメールしたら、 正しく意図が伝わらなくて、thank you for accepting program commitee と返事が来てしまい、委員を引き受けざるを得なくなってしまった。 それで委員の一人として仕事はしないといけないと思い、今年は ひのでの初期成果の紹介講演がタイムリーだと提案、 それについてはひのでのリーダーの常田君が best speaker と推薦。 それが了承され、常田君も承諾して、やれやれと思っていた。 私はAOGS の直後は、雲南のLin san の招待で、 横山君と一緒に雲南に行く予定だった J. Lin san からは柴田+横山宛に招待メールが届き、 私が行くと返事したら横山君も「柴田さんが行くなら 自分も行く」とのことだった。将来の中国との太陽地上観測の 国際協力も視野に入れて、雲南地区の太陽観測所や観測サイトの 見学を主目的としていたのだ。 ところが、山田さんから自宅に国際電話が入り、 「常田さんからIPELSに来れないと連絡が来た」と言うではないか。 それで、代わりに柴田さん来れませんか、という。最初は、行けそうに ないですと、かなり否定的な返事をしていたのだが、 「ひのでの成果は素晴らしいので、ぜひ、プラズマの人々に話をしてほしい、 会議全体の最初の key notespeaker を予定している」、とのこと。 こちらは 「雲南に行く予定なので、行けるかどうかわかりませんが、 スケジュールをもう一度チェックしてみます」、 と言って、中途半端な返事で切ったら、 その後、1週間以内に2回も自宅まで電話がかかってきた。 (私がいないときも含めると4,5回か?) 山田さんからここまでお願いされたら、断るわけにはいかないなあ、 とライオンズ旅行の渡部さんに旅程を調べてもらうと、雲南に行ってから オーストラリアに行くのは日程的にほとんど不可能に近いことが判明。 その間、小野さんからも返事の催促のメールがきた。 迷った挙句に、Lin さんには申し訳ないながら、ついに 雲南行きをキャンセルした。 Lin さんからはそれについての返事メールが来なかったから、心中 おだやかならざるものがあったの違いない。ちなみに横山君は 「柴田さんが行くから自分も行くと返事したのに、、、」と恨み節。 バンコックではJ. Lin さんに会うやいなや謝ったが、それについては コメントなく、学生さんの紹介をされただけで終わった。 さて、バンコックからシドニーまで8時間。 シドニーには早朝(現地時間)6時過ぎに到着。 シドニーは冬であることを忘れていた。 人々はみなオーバーコートを着ている。 なのに、こちらはYシャツのみ。寒くて風邪を引きそう。 さらにそこから3時間かけてようやく ケアンズに着く。ケアンズは熱帯だから暑いかと 思っていたらそれほどでもなかった。 (要するに亜熱帯)というわけでここでも寒い! 日本を出る時上着を入れるかどうか かなり迷ったのだが、日本の暑さに圧倒されて 入れずに出てしまったのが間違いの元。 オーストラリアのことまで頭がまわらなかった。 ケアンズ空港からシャトルバス(17ドル)に乗り、 Palm Cove のホテル(Novotel Rockford Palm Cove)へ。 西塚君の弟さん(日本旅行勤務)に予約してもらったところ。 1泊17000円で3泊の予定。ホテルのロビーでインターネット (3時間18ドル)をやっていたら、何と愛媛大の近藤さんに 会う。同じホテルだという。その上、会議場もすぐそばだとか。 ラッキー。予約したホテルは会議場から遠いと思っていたのだ。 一緒に会議場へ行き、レジストレーション。すると 会議期間中のインターネットチケットをくれる。 18ドル払う必要はなかったと知りがっかり。 鵜飼さん夫妻にも会う。奥様は初めて。 その後、名古屋の講演会の資料を電子メールでようやく送る。 ちょっと肩の荷を下ろした気分。 のち少し海まで歩く。風が強く海は荒れているし寒い。 海水パンツを持ってきたのに、とてもそんな雰囲気ではない。 夜、会議場の横のプールサイドでレセプション。 ほとんどコンファランスディナーのような レセプションで、食事がでる。ここで石原さん(横浜国立大)、 R, Lin san (RHESSI PI), Stenzel-san, Park-san (Princeton) らにも会う。 石原さんはダストプラズマの専門家。米国(テキサスーただし テキサス大学と異なる大学)に18年以上もいて、4年ほど前に 日本に帰国したとのこと。 山田さん夫妻、Park-san 夫妻、Karl san (Australia の人で 数理物理学者らしい)とテーブルを囲む。山田さんの奥様に 会うのは(たぶん)初めて。空を見上げると素晴らしい天の川が 見えるではないか。しばし星談義。Karl さんが南十字星を教えてくれる。 人生2度めの南十字星。あまりに天の川がきれいなので、 ホテルの部屋に戻る前に暗いところに行ってデジカメで 写真を取る。銀河中心の天の川と南十字星。60秒露出の星空モードで 2枚の写真撮影に成功。自分で星空の写真が取れるというのは楽しいものだ。 ちょっぴりアマチュア天文家になった気分。 その後、ようやく会議の講演の準備を開始。 明け方になんとか準備を終え、寝たのが4時すぎ。 3時間睡眠だった。 8月6日(月) 会議全体の最初の講演だから遅れてはいけないと、緊張して 会議場へ。講演は磯部君、勝川君、鹿野君、神尾君らに送ってもらった ppt file を元に作成。時間は質疑応答を入れて45分。だからあまり たくさんは話せない。また、太陽が素人の人がほとんどだから、太陽 のイントロも含め、ひので衛星や望遠鏡の紹介も少し入れた。 ムービーがおもしろいので、大半がSOTの成果。説明に時間がかかる 話題は避け、わかり安い話、私が話しやすい話を中心にする。 項目をあげると、convection and turbulence, sunspot, prominence, flare, polar coronal hole, jet など。 当然リコネクション関係が中心となり、まとめは ubiquitous reconnection だ。光球水平磁場の話に合せて 磯部君の 3D magnetoconvection simulation の話も入れ、Ca jet の話に 合せて、清水君の 2D emerging flux reconnection simulation のムービー も見せた。講演途中からも質問がたくさん出て、聴衆の反応は良かった模様。 聴衆から少し笑いがでたのは、SOT の完成記念の写真(人々がみな宇宙服の ような防護服とマスクをして誰かわからないのが、なんとなくおかしい) を見せたときと、Caジェットの観測とシミュレーション結果が良く似ている という図を見せたとき。 反省点は、プラズマの温度ー密度図をせっかく時間をかけて準備したのに、、 最後に置いておいたので、時間の関係もあって省略してしまったこと。 質問時間に見せようと思ったが、パソコンが切り離されてしまってできなくなった。 これは予想外の展開。しかし、質問で言いたいこと(collisional plasma, weakly ionized plasma 中のリコネクションが新しい分野であること)などは一応 コメントできた。これについては質問してくれた R. Lin さんに感謝。 昼休みや休憩時間にも、山田さん、Ji さん、小野さんらに、ムービー を見せながら議論。なかなか忙しかったが、大変楽しい時間でもあった。 会議の方は私の後は R. Lin さんのスペースプラズマ(もちろんRHESSIが中心)の 話、Sarff (U. of Wisconsin) の実験室リコネクションの話、その後は、 実験diagnostics、dust plasma の話など。 実験室リコネクションの話の後で、無次元リコネクションレイトに ついて質問。先日のAOGSでの議論を受けての質問。実験室では、境界条件や 物理量パラメータに応じて色々な値になるとのこと。磁気圏の観測は 全部見ているわけではないので、あまり当てにならないというコメントまで出た。 夕食は、小野さん、石原さん(横浜国立大)、 Ji さんとシーフード店へ。ビール、シャーベット、コーヒーまで 入れて、60オーストラリアドル(7000円ほど)。 物理学会、天文学会、地球電磁気学会の3学会合同のプラズマセッションの 将来について議論。今、小野さんが領域2のリーダーをやっているのだ。 今後は電気学会や放電学会なども含めて8学会合同の方向へ議論が 進んでいる。私としては新しい学会を作るのではなくて、既存の学会の春か 秋のうちどちらかをやめて、合同学会をやりたいと主張。それについては 石原さんも賛成してくれた。問題はそれをどう実現するか、だ。 プラズマだけではなく、素粒子や原子分子、赤外線や電波という合同学会も ありうるえだろう。既存の学会全体のやり方を変えようという話なので、 時間がかかることを覚悟しなければならない。 最後に小野さん、Jiさんと南十字星と一緒の写真を撮る。 まあまあ成功。 8月7日(火) この日は、Electric field (double layer)、high frequency waves, political issue, など。あまりおもしろい話(わかる話)がなかったが、 ひとつだけ興味深かったのが、 電波(photon)で orbital angular momentume を 運ぶという話(B. Thide (Sweden))。 よくわからなかったが、Physical Review letters に 何本も論文が出ているというから、結構すごそうな話。地球大気の乱流の測定や 星のコロナグラフにも応用できる(?)という。 帰ったら論文を探してチェックしてみよう。 昼に田さんと議論。今、核融合研のシミュレーション部門(新しくできた部門、 名前は違うかも?)いるという。核融合研に移って早くも3年になるそうだ。 核融合研の田さんのグループと、ぜひ共同研究しましょうと議論。 帰ったら院生諸君や浅野君に伝えよう。 小野さんのppt file の一部をもらう。おかえしにこちらも、公開可能な部分だけに 短くした ppt file をあげる。私の研究(Ca jet)のppt file は含めて謹呈した。 小野さんはプラズマ噴出の効果を考慮した非定常リコネクションの実験を やっておられ、その実験結果を簡単なモデルで説明していた。要するに質量保存則に 密度の時間変化(パイルアップの効果)とプラズマ噴出の効果を入れて観測と比較、 そうするとプラズマ噴出に合せてインフローが発達し、リコネクションレイトも大きく なり、実験結果も説明できるという。なかなかおもしろい。私の plasmoid induced reconnection idea と似ている。ただし、プラズマのパイルアップまで考慮している ところが新しい。実験結果を説明するモデルだからそれができる。こちらも シミュレーションの説明に同じモデルを使ってみよう。議論しているうちに 田島さんの昔のリコネクション理論を思い出し、ADS で調べてみる。1983年頃の Brunel, Tajima, Dawson (1983) PRL だ。少し違うが比較してみると面白いかも。 ポスターセッションでは、宇宙ジェットのMHDモデル実験をやっているポスターが おもしろかった。磁場をかけたターゲットにレーザーを当てて 磁気プラズマを作り、そこに電流を流すと磁場がねじれて、磁気ねじれジェットが できるという実験。テキサス大学オースティン校というので、いろいろ話すと、 田島さんの最後の学生だという。6か月間教わったとのこと。ということで 私の名前は良く知っていると言っていた。 他、M Brown さんのリコネクション実験のポスターも見る。電子温度よりイオン温度の 方が数倍高いという結果。 夜は、山田さん夫妻、Kulsrud 夫妻、Ji-san, 小野さんと一緒にイタリアレストラン で夕食。席を山田さんの横にすすめられたのに、返事するタイミングが合わず 結局離れたところに座ってしまったが、逆に失礼だったかなと、そればっかり 気になる。その分、ななめ向かいから山田さんに何度も話かけるよう努力する。 山田さんの奥様(日系4世という)や Kulsrud さんの奥様(Chandrasekhar の弟子)といろいろな話をする。 ともに米国の東海岸に住んでいるが、 西海岸は文化が違う、ほとんど外国だ、と、そろって言うのには驚き。 8月8日(水) 昨夜は夜10すぎに就寝(ワインを飲んだため)、 朝4時半に起きる。大マゼラン雲が見えないだろうかと 外に出る。まだ真っ暗。三日月がじゃまだ。 いつもの暗いところで、南の空を見るとぼんやりとかすかな雲状の構造を 発見。これがそうか? 一応証拠として写真を撮る。本ものかどうかは 帰ってからのお楽しみ。 ホテルは9時出発のシャトルバスに乗り帰宅の途へ。 ケアンズ空港では、コアラの人形を買い、ラーメン(9ドル)を食べる。 量は適当だが味は今一つ。採点すると55点くらいか。 結局ケアンズでは観光しているひまなし。素晴らしい天の川と 南十字星がたっぷり見えたからよしとしよう。 それと夜中に奇妙な恐ろしい動物の鳴き声が聞こえ、 いかにも別大陸に来たという感じが新鮮だった。 正体は鳥だという。それにしてもジュラシックパークにいる 気分だった。 シドニーで domestic airport からinternational airport へ行くのに電車に乗らなければ行けないことがわかり、びっくり 仰天。5ドルとられた。VISAカードでも切符が買えたが、 10ドル単位なので、5ドルをくれた。しかしその5ドルは使っている 時間がなかったので、10ドル払ったのと変わらない。 飛行機の中では、揺れがあまりひどかったので、日記執筆は中断して 映画スパイダーマン(最新版)を見る。英語版しか なかったのでセリフはほとんどわからない。にもかかわらず、 (途中から)最後まで見てしまった。映像だけでも大体わかるように 作られているのだ。 (8月11日後記:ケアンズで最後に取った写真に撮ったうすぼんやりした 雲は、確かに大マゼラン雲であることが判明。やった! 良く見ると、小マゼラン雲も写っている。両マゼラン雲の写っている 星野写真をインターネットで探しだし、それと詳細照合してようやく、 確かに両マゼラン雲であることが確かとなった。)