Evershed Meeting 出席日記 2008年12月1日ー6日 12月1日(月) インド・バンガロールでの エバーシェッド国際会議に出席するために 今日からインド出張。 これまで何度かインドの会議に招待された ことがあったが、いずれも出席できなかった。 今回、ついに念願がかなって、 初めてのインド訪問となる。 直前にボンベイでテロがあり、渡航できるか どうか危ぶまれた(そもそも会議が開かれるのか どうかも心配された)。東京の岡本君、清水君、 石川さん、アメリカのLites さんはキャンセルとか。 途中経由する予定のバンコック空港が 閉鎖されたため(上記のテロとは直接ない)、 代わりの飛行機が見つかるかどうかが 問題だったが、旅行業者GTセンターの 渡部さんがシンガポール経由の便を見つけて 下さり、昨日出発できることが判明。 行ければよし、行けなければ自由な時間が 一杯できて嬉しい、というわけで、私としては 全然心配せず。 出張準備は相変わらず直前にやるので、 大変だ。電子メールの返事をするだけで 夜の12時を過ぎてしまう。今回は珍しくどこに 泊まるのかホテルもチェック。会場の場所も チェック。そんなことをしているから、 時間が足りなくなって、結局、 睡眠時間2時間ほどで朝7時過ぎに家を出発。 さすがにつらい。年と共に だんだん体力がなくなってきた。 電車の中ではIPODをひたすら聞く。 好きな曲を80曲くらいコピーしたので、 ついつい真剣に聞いてしまう。 だから寝れない。(朝のラッシュアワーで 最初は長時間立ちっぱなしだったこともある。) 70年代の懐メロばかり。 関空でインドの最新情報の 解説本(新書)を買う。 インドを少し理解。 飛行機の中では、あまり寝れず。 仕事もあまり進まず。中途半端。 体は何となくだるく、座っているのが つらい。これも年のせいか。 バンガロール空港には夜の10時ころに到着。 荷物がなかなか出てこず、1時間くらいかかる。 ようやく出てきて、日本円3万円をインドルビーに 換金。14000ルビーほど。円高で少し換金率は 良いようだ。外に出たら、迎えの人が見つからず、 15分くらいうろうろしていたら、ようやく見つかって、 ホテル(Nandhana Grand Hotel)まで マイクロバスに乗せてもらう。DePontieu さん も乗っていたので、少し世間話。 道路には犬が一杯いてびっくり。 そういえばガイドブックによると インドは狂犬病が蔓延しているから 要注意とのこと。かまれたら致死率50% だそうだ。 ホテルには12時過ぎに到着。電子メールを見てから 3時すぎに就寝。 12月2日(火)1日目 午前はセレモニー。 Priest さんが見事なスピーチ。 Chair のHasan san (Indidan Institute for Astrophysics director) のスピーチ、Chitre san のスピーチなど ある。Evershed は英国出身でIndidan Institute for Astrophysics の所長時代にKodaikanal Obs でエバーシェッド効果を 発見したという。それが1909年。今年でちょうど100年。 それでこの国際会議となった。 (実はヘールが磁場を発見したのも同じころ。) 参加者の大半は招待レビュー、招待講演。 昼から、ダイナモ・セッション。 Chaudhuriさんの話は相変わらずおもしろい。 ポロイダル磁場(極磁場)が弱くなると、次のサイクルの 黒点数が少なくなるという。極磁場の 観測がある最近40年くらいの極磁場と次のサイクルの 最大黒点数の相関を調べると良い相関があるとのこと。 後で今黒点数がなかなか増えないこととこれが 関係あるかと聞くと、あるとのこと。要するに、 前のサイクルの極磁場は弱かったのだそうだ。 したがって、やっぱり次のサイクルの黒点最大数は 低いだろうとのこと。 Longcopeさんの話(ヘリシティなどの話)もおもしろかった。 デルタ型黒点との関係を質問。すると Nandi さんが 関連研究をしているとのコメントあり。 夜、エバーシェッド効果100年記念の 切手が発売される記念会があった。わたし自身は ポスターセッションで議論していて残念ながら出席できず。 切手ファンにはこたえられない企画 (翌日、私も切手を購入) 夜は、一本、常田、Singh(元乗鞍常連で IIA, Kodaikanal Obs) の各氏と一緒に夕食へ。 ビール漬け。 12月3日(水)2日目 B Schmieder sanが浮上磁場関連の話。 渡邉ひろ子さんのEllerman Bomb の飛騨での ベクトル磁場観測の論文(ApJ)を高く評価。 Khomenko san の黒点中の電磁流体波の 話はおもしろかった。umbral flash は slow mode shock で説明できるという。 Thomas さんが黒点の構造のレビュー。 エバーシェッド運動の関連で一本君の 名前が出てこず、一本君は「論文を送ったのになあ、、、」 とのこと。黒点の構造は、パーカー説の cluster (スパゲッティ説)ではなく、 monolithic (磁力線が詰まって いて、中で磁気対流が起きているという説) が良さそうなのだという。 エバーシェッド運動は、Rempel さんらの 3次元MHDシミュレーションによると、 磁気対流で再現できたらしいが、Weiss san, Thomas san は納得していない模様。黒点の外側の ぺナンブラの構造はまだシミュレーションでは 境界条件の影響で良く再現できていないとのこと。 Thomas さんはエバーシェッド運動の サイフォン流モデルを提唱している。 それと磁気対流説がどう関係しているのか? Nordlund も3次元MHDシミュレーションの 結果の理解はまだできていないという。 Thomas san はWeiss sanのポスドクだったそうだ。 若い人と色々議論。 まず、Krishan san のところのPDのSingh san。 今度、GCOEで短期招聘(来年2月ころ)申請 予定。来年4月からのPDの候補でもある。 弱電離プラズマの分野で共同研究をやろうと 色々議論。なかなか話が分かりやすい好感の 持てる青年。 その他、Udaipul のVenkatakrishnan (director) の弟子の Pandey, Choudhuri san の元弟子の 女性(Charjee?)、ほかにもいたが、名前は 忘れた、、、 夕方は、Gough さん(Helioseismology の大家で ケンブリッジ大天文の教授、近く定年だとか) の一般向け講演。 しかし国際会議出席者はほとんど出ている。 LaPalma の画像をひのでと紹介するなど、 そこら辺は適当だったが、大きな声で 明るく楽しい講演。ただし、英語は半分くらいしか、 聞き取れず。皆が笑っているところが笑えない。 夜は、Weiss, Brun, 一本、Nandi, Longcope, Karak, Choudhuri, Karpen の各氏と近くのホテルの レストランで夕食会。ビールで盛り上がる。 12月4日(木)3日目 常田君は、ひのでの全般的なレビューではなく、 最近すすめている極磁場の詳しい解析の話。 こういう研究ができるというのは、 うらやましい限り。 一本君はエバーシェッド流のひので最新観測の講演。 エバーシェッド効果発見以来100年を経て ついに解明に近づいたという話。直前の サンチェスアルメイダさんの宣伝もあったので、 聴衆の関心の高さがじわじわ伝わってくる。 本会議のハイライトという感じ。 質疑応答で、Priest さんが絶賛。ところが Thomas さんはサイフォンフローのモデルのことを 何も言っていないとやや気色ばんだクレーム。 後で聞くと、Dr一本にサイフォンフローのことを メールで引用するように言ったのに引用して いないので、ちょっと頭に来たとのこと。 一本君も同じようなことを言っていたのが おかしい。まあ、研究者はできるだけ、他人の 関連研究は引用した方が良い。それがサイエンスの 精神だろう。自分の研究の独創性を主張するに あたり他人の関連研究もできるだけ公正にチェックし、 引用するのが大事なのだ。日本人は自分の独創性を 主張しない代わりに、他人の関連研究も無視しがちだ。 これは良くない。 Antolin 君も口頭で発表。結構評判よし。 Priest san がvery good work と褒めたあと、 ナノフレア(リコネクション)からは Fast mode wave が放射されるので、ナノフレアが熱だけを 放出するモデルは正しくないとコメント。 Longcope さんとの共同研究。ただし、後で論文を 見るとそのようなジオメトリ。一般には我々(Yokoyama, Takeuchi, Kigure)がやっているような研究が必要だろう。 Priest さんは、アントリン君が私の学生(院生)とは 知らなかったそうだ。「あなたの学生は皆優秀だ」と、 大層おほめをいただいた。 SteinerさんのMHDシミュレーションの話で 歴史的概観のところで、 Shibata (1983) が紹介されてうれしい限り Steiner さんは来年4月に三鷹に来るとのこと。 そのときぜひ、京都へ、と話をする。 DePontieuの話はタイプ2スピキュールと EIS or SUMER (どっちだったか?)との関係で、 同時イベントが見つかったとの話だったが、 そもそもタイプ2スピキュールが通常のスピキュール と全く異なるというのが、はなはだ怪しい。 質疑応答のところで、私が前回と 同じ質問:タイプ1スピキュールとタイプ2スキピュールは 本当に違うのか? 答えはタイプ1スピキュールはリムで 重なっているので、統計的研究が難しいとのこと。 本当だろうか? 早く、Zhang san, 阿南君ら に統計的研究を推進してもらわなければ。 Hansteen の話は3次元MHDシミュレーションで リコネクションによるジェットができ、それが タイプ2スピキュールに対応するという 話だが、きちんと解析していないので、あまり信用できない。 よっぽど磁気リコネクションの証拠(たとえば電流分布や 速度分布)がどれほどあるのか 質問しようと思ったが、前回京都でさんざん批判したので、 今回はだまっていることにした。 夜はバンケット。まずは、インドの伝統舞踊鑑賞。 大変おもしろい。音楽も踊りも日本の伝統舞踊と似ているような 気がする。何しろタミル語の本場なのだ。この近辺は。 言葉とともに踊りや音楽が日本に伝わってもおかしくない。 3000年くらい前を想像しながら楽しむ。 後でビールを飲みながらManoharan san とタミル語談義。 やま、かわ、こめ、ふね、いね、こんな基本語がみな共通。 Manoharan さんはかつて豊川のSTE研に1年滞在したこと があり、そのとき豊川のかわがタミル語と同じ発音で同じ意味 だと気づいたのが、この事実の「発見」の始まりだそうだ。 私がかつて愛知教育大にいたので同じ愛知県ですねと 話をすると、愛知県のどこ?というので、刈谷(かりや)と 答える。「かり」の意味を聞かれて答えると、なんとタミル語では 「カレイ」というのだそうだ。また似た言葉が発見される。 12月5日(金)4日目 午前の最後に私の講演。 質疑応答を入れて40分。前日バンケットから戻り、 メールを大体見終わったのが夜の 3時くらい。講演タイトルはSOCが つけたタイトルで「フレアの理論的モデル」 最初は「何をしゃべっても良い」と思って一旦 ひので関係の話を中心にしたPPTファイルを完成したが、 アブストラクトを見ると、私の講演(40分)は フレアの理論モデルのレビューをすると はっきり書いてある。それがわかったのが朝の5時。 3時間は寝れるかと思ったのに、全面やり直し。 こんな経験は初めてだ。あきれてものが言えない。 急きょ、数年前の北京でのIAUシンポジウムでのレビュー 講演PPTファイルを探しだし、それに新しい話を追加して、 何とか理論モデルのレビューに仕立て上げる。 内容は、Introduction、 Present Status of Reconnection Theory、 Standard model (CSHKP Model) 、 Current Sheet Formation Models、 Triggering Mechanism(Emerging Flux triggering model and Its Recent Development: Kusano et al.) Hinode Observations and New Theories(Ubiquitous Jets/ reconnection、Alfven waves) (Stellar Flares)、 というもの。恒星フレアはとても時間が足りないだろう、 と思ったが、これもアブストラクトに書いてあったので、 準備だけはする。 完成したのが朝7時すぎで、かろうじて1時間は寝る。 こんな1夜漬けの講演でも、 意外とうけが良かった。舌も滞りながらも 何とかまわり、聴衆をところどころで笑わせながら こちらも楽しく話ができた。 CSHKPモデルの名前の由来が良かった模様。 最後は時間がなくなって、ひのでの話 (ジェットの話や磯部君の話)が超特急に なってあまり伝わらなかったようだが とにかく、聴衆のくらいつきはきわめて 良かった。最初にようこう観測で統一描像が 出てきたと述べ、最後にひのでの結果から、 ナノフレアー彩層ジェット、 光球?フレアースピキュール、も加えた (大)統一モデルの表を見せたら、それを 見せただけで受けていたのに、ちょっとびっくり。 最後は昨日のバンケットのときに 見たインドの伝統踊りの写真。これも受けた。 終わってから、Schmieder-san, Leibacher-san, Thomas-san, Jain-san, Klimuchuk-san, Choudhuri-san, Krishan-sanなどなどが激賞。 Weiss-san は最後のSummaryのところで、 unified model の考え方を大層ほめてくれた。 Krishan-san に「 weakly ionized plasma の 研究の必要性を最後のスライドに書いていたんだ けど時間がなくて読みあげなくてすみません」 と言ったら、「最後のスライドに書いてあるのは わかったから良いけど、すぐに踊りの写真に 変わっちゃったのね。踊りに負けちゃったわ」 とのことで大笑い。 Klimuchuck san には磯部君の計算で、 水平磁場と垂直磁場のリコネクションから Alfven波が発生することがわかているので、 それから非線形効果でスピキュールが形成できる というシナリオを説明したら、ようやくわかって くれたようで、「それはおもしろい!」、 とのこと。(先日のボールダーの会議でも私は講演で 話しているのに、、、) Parnelさんの話(3次元リコネクション)の話は つまらない数学的な話だろうとあまり真剣に 聞いていなかったが(講演の準備もあったので)、 途中から、複数の点でのリコネクションがお互い 助け合って、リコネクションが速くなる話とか、 抵抗を小さくすればするほどリコネクションが 速くなるという結果が出てきて、これはおもしろい! と途中から真剣に聞いた。終わってから、手を挙げて 「very interesting work !」と褒める。 続けて「multiple reconnection がリコネクションを速くするというのは、おそらく 正しい。抵抗が小さくなるほどリコネクションが 速くなるという結果は、10年以上昔のYokoyama-Shibata の 結果で出ている」とコメント。 恒星フレアの話(J.Schmittさん-恒星活動一般を レビュー)は 終わった後の質疑応答の時間の際、手を挙げて質問 しようとしが、時間切れで 回ってこなかったが、その直後の別の人による 恒星フレアの話の後で、質問コメント Q: フレアループの長さはどうやって 導出しているのか?1次元ループの 冷却モデルなど使うのか? A:今は、EM−T図中の進化の軌跡から Q:1次元モデルでは良くないのではないか? 例えば、太陽フレアを見ると、LDEフレアなど ループ長はフレア初期から減衰期にかけて かなり大きくなる。 A:その通りだが、1次元でもあまり違わないことは 確認済みだ。 後で、Schmittさんと議論したら、アルゴルの場合は 連星系で掩蔽を使うので、フレアループの 大きさに不確定性はないが、一般にはあなたの 言うとおりだ、とのこと。 12月6日(土) 朝5時すぎに起きて、電子メール。 昨晩書いている時間がなかった 太陽研究者連絡会宛ての メール(名大STE研の共同利用研としての 拠点申請をサポートするレターの作成について) をようやく書いて発送。 シャワーを浴びたりしている うちに時間が経ち、メール未返事が 多数たまった状態で、朝食、 チェックアウト準備。 朝9時にタクシーが到着し、 出発。チャウデュリさんが 半日貸切タクシーを手配してくれたもの。 朝、ショッピングの前に 少しバンガロール観光。 まず、Bull Temple。 300年ほど前に出来た ヒンズー教のお寺。 靴を履いたまま入ったら 怒られてびっくり。良く見ると 参拝者はみな靴をぬいでいる。 急いで外に出て靴だけでなく 靴下までぬいで、はだしで再び お寺の中へ。奥に白い牛らしき 大きな像が見える。なんだか 滑稽な風貌。宮崎駿のアニメ 「千とちひろ」に出てくる 神様のような風貌。それが祭壇。 そこから前に通り道が作ってあり、 参拝者は通り道の両側に待機。 火を燃やしたお皿をもって ヒンズー教のお坊さんが 通り道を歩いてくると、両側の参拝者が 火を手で顔に招くようにして いる。悪魔払いでもしているのだろうか。 お布施集めに来たときは、10ルビー 寄付。約25円。入場料が無料なので 良しとしよう。 写真は自由に撮れるので、いっぱい 撮りまくる。 お堂を出ると、右手にもう一つ 大きなお堂が見える。そちらが 本堂のよう。ガイドブックに載って いるのはそちらの写真。さきほどと 同じような感じで参拝者が並び、 音がなっている。やはり靴と靴下 をぬいで中へ。お坊さんの火の皿の 参拝は終わっていた。今度の牛の像は 真っ黒。大きなものだ。5m くらいはあるだろう。牛の像を一周して 見ていたら、お坊さんから赤い粉をひたいにつけるように 促されたので、そうする。どんな顔か わからないので、証拠写真を一人で撮る。 見て笑ってしまった。しかめつらの ひたいに赤い点がついているのだ。 にわかインド人の誕生だ。 (ちなみに、この赤い粉(点)は こちらの言葉でSindhoorsというそうだ。) 再びお布施、10ルビー。 外に出て靴を履いたら、また マニーと要求された。今度は怪しい人で どうかと思ったが、10ルビー渡した。 全部で30ルビー(75円)の寄付。 帰り道のきわで、映画撮影のような 撮影をやっている。少し人だかり。 その後、再び同じタクシーに乗り、 Tippu Sultan's Palace (宮殿)に。入場料がインド人は 5ルビーなのに、外国人旅行者は100ルビーと えらい違い。もっとも日本円にしたら、250円 だから、清水寺の入場料300円と同じ程度。 宮殿といってもあまり立派ではない。 2階建で1階の部屋が展示室になっている。 18世紀ころに出来たようだ。 2階は吹きさらしのだだっ広い部屋があるだけ。 後でチャウデュリさんに聞くと夏の別荘だとのこと。 宮殿の前の庭は広々とした芝生できれいだった。 次はショッピングかとタクシーの運転手に聞くと xxxx。何とかライブラリーを紹介されるが、 あまりおもしろそうではない。ガイドブックにも 載ってないので、無視。その次はxxxx。 バンガロールの中心の議事堂みたいなもの。 これは降りて写真を撮る。そろそろ11時を まわってきたので、ショッピングへ。まずは Nalli silk and sarees へ。これはチャウデュリさんの お薦め。買う予定はなかったが、入ると サリーの販売場。3,000ルビーとか。さすがに 高い。これはスキップして、3階のスカーフ売り場へ。 予定にはなかったが、おもしろいので、 700ルビー、470ルビー、180ルビーのものと 三つも買ってしまう。もちろん家内へのおみやげだが、 また、「いらない物を買って」 としかられるかもしれない。 その後、やっと本来の目的の人形と音楽CDを買いに。 ハンドクラフトの店 Cottage Industries へ。これはおもしろかったが、お目あての 人形はなし。結局、おもちゃ屋さんで、インド版 バービーちゃんを買う。600ルビー(1500円)。 結構高い。最後にミュージックショップへ。 インドの伝統的な激しい踊りのときに出てくる 歌が入っているCDを買う。160ルビー。安い。 ようやく買い物が終わったのが1時過ぎ。 それからチャウデュリのいるタタ研究所へ。 1時半すぎに到着。ここでタクシー代を払う。 675ルビーというので、700ルビー払うと おつりはないとのこと。25さらに出して 50おつりをもらおう と思ったら全部取ろうとするので、 そばにいたチャウデュリさんの学生さんが それはおかしいと指摘してくれて助かる。 結局700ルビー。半日で700ルビー(約2000円) は安いものだ。 それからチャウデュリさん、院生さん (カラック(Karak)さん)の3人で、中華料理屋へ。 ヌードルがうまい。ダイナモ関係の話で盛り上がる。 中華料理屋を出てすぐのところで 牛が3匹道の真ん中を自由に歩いていて びっくり。車が通れなくて運転手が苦笑している。 いなかだと、こんなのはしょっちゅうだとか。 のち、ラマン研究所を紹介してもらう。 ラマンはアジア初のノーベル物理学賞受賞で、 チャンドラセカールのおじさん。 天体物理を奨励して、研究所にはミリ波の 電波望遠鏡がある。チャンドラセカールと ラマヌジャンの銅像も。彼らは皆、南インド 出身だとか。アジア最初のノーベル賞は タゴールで、ベンガル出身だとか。 チャウデュリさんと同じ。日本が好きで、滞在記も あるそうだ。 最後にチャウデュリさんの勤めている Indian Institute for Science (TATA institute) を紹介してもらう。TATA は中国でのアヘン販売で 儲けたお金を寄付してこの研究所を作ったのだそうだ。 faculty member は500人で、大学院生の数が 2000人だという。そのうち、物理関係のスタッフは 40人くらいで、チャウデュリさんが唯一の Solar Physicist. 天体関係は全部で4人だとか。 偶然、Krishan さんの旦那さんに出会って、 写真を一緒に撮る。名誉教授。 Gopalswamy さんはここで 旦那さんの指導の元にプラズマ物理で 博士号を取ったのだそうだ。今は全然違う 研究をしているので、ちょっと信じられないが。 院生1年のカラックさんがやっている ダイナモ理論研究を紹介してもらう。 ワルドマイヤー効果の研究。 黒点数最大値と黒点数の上昇時間は逆相関が あるが、黒点面積の上昇時間は相関が出ないとのこと。 それを黒点面積(数)の勾配にすると 良い相関が出るそうだ。また乱流拡散が 大きいと、両極の磁場強度が次のサイクルの 黒点最大数を良く再現するという。 ディクパティさんのは乱流拡散が小さいのだそうだ。 だから次のサイクルの黒点数の予言が異なる。 眠くて眠くて話の理解が追い付かない。 でもおもしろかった。最後にチャウデュリさんの 家に少し寄らせていただいて、奥様からも もてなしを受ける。一緒に写真撮影。 空港までのタクシーの手配も支払も全部 チャウデュリさんがやってくれて、 感謝の言葉も見当たらない。 大変充実して楽しい一日だった。 今回は滞在中現金を扱うことは少なく、 物価が安いこともあって、3万円=14,000ルビー 換金したうち、使ったのは、4500ルビーほど。 7000ルビーを日本円に戻すと、 12000円にしかならず、3000円の損。 米ドルにしておけば良かったと 後で後悔。 帰りの飛行機(バンガロールーシンガポール間)では 最初 red cliff (三国志)を 見ていたが英語の字幕が早すぎてついていけず、ギブアップ。 結局、映画「電車男」を見る。 今回の国際会議は初のインド訪問というだけでなく、 会議の内容も参加者の質が高く結構おもしろく勉強になった。 事前のテロ騒ぎがうそのような、充実した一週間だった。