柴田一成(’54生) 京都大学 理学研究科附属天文台/花山天文台 教授 (理学部理学科/理学研究科物理学・宇宙物理学専攻) 誰もやらなかった核融合実験炉での天文現象のシミュレーションは、水爆25億 個分の太陽大爆発を説明した 太陽の黒点周辺で突然起こる爆発フレアは、約1時間で水爆25億個分のエネル ギーを出す。このフレアから出るジェットが、“磁力線のつなぎ換え(リコネク ション)で起きる、ゴムひもがパチンコの玉を弾くような、ガスの加速である” ことを解明し、「磁気リコネクションモデル」を提唱して、世界に「シバタ」の 名を轟かせた。そこには磁場の重要性への先駆け的な注目と、さらには核融合実 験炉MHDでの誰もやらなかった天体現象の電磁流体数値シミュレーションがあ った。現在は1日1回のペースで観測される遠方の大爆発で、“太陽が100億年か けて生み出す量のエネルギーをたった1秒で放出する現象”=「ガンマ線バース ト」を磁場の視点から視野に入れた。これは誰もが手つかずの現象で、もし解明 できればノーベル賞級。父親には医者になれといわれ、知り合いの高校の先生に も「理学部はやめろ!」といわれたが、この道へ。今は飛行機か新幹線の中でし か自由に考える時間もなく、妻からは海外出張は年2回以内の禁止令も出る。長 嶋茂雄、司馬遼太郎を愛し、UFOや超能力など不思議話を好むが、天文現象に 勝るものはないと語る。 (河合塾編著「わかる!学問 理科系の最先端--大学ランキング」2003年、p.41 「この分野(宇宙)をリードする4人の科学者」より)