2006年 3月25日(土)  カイロ到着、アレキサンドリアへ、車で迎えに来てくれる。  Bonnet さんと一緒。顔を30年近く前から知っていたが、初めて詳しく話しをする。  COSPAR president だが、結構、ひょうきんで気さくな方。  カイロからアレキサンドリアまでは3時間くらい。Bonnet さんと一緒だったが、時差ボケのため  大半は睡眠。  カイロは中近東の都市だが、アレキサンドリアは地中海の都市といった感じ。  夜は、ホテルで Koutchmy san と3人で夕食。色々一般向けの講演の助言を受ける。  HR図は見せない方が良いことを悟る。  その後、1夜漬けで講演準備。タイトルは Cosmic jet。結局準備に一晩かかり、朝30分ほど  仮眠したのみで講演会場へ。 3月26日(日)   講演会場は、Bibliotheca Alexandria 。4年ほど前にできた素晴らしい図書館・博物館・講演会場。  最初の講演は Priest san. The amazing Sun. 完璧なトーク。エジプトの文化、遺跡など交え、  エジプトの人に親しみやすいように工夫してある。笑いも取るような内容。  観客は大半が学校の生徒(高校生程度)。  頭を隠した女学生が一杯いるのは異様な感じ。講演途中にも人が続々と入ってきたのは  ちょっとPriest さんに気の毒。講演は45分。質問は3−4。同時通訳でアラブ語へ。  しかし結構英語は話せるみたい。聴衆の数は300−400くらいか? 会場は1000人以上入れる  すごい広い会場。   2番目が私の講演で Cosmic Jet. 英語では初めての一般向けの講演であることを最初に述べる。  内容は、イントロ(宇宙理解の変遷、星の進化、QSOの発見)、宇宙ジェット(AGNー銀河とは何か  からはじめる、YSOーここも星形成領域とは何かからはじめ、オリオン星雲のの写真など使う,  近接連星系ーSS433とマイクロクェーサー)、太陽ジェット(観測とモデルー清水君、宮腰君のモデル)、  磁気ジェッモデル(シミュレーションムービーー松元君、工藤君、上原君らの作ったものなど)、  という流れ。  できるだけやさしくし、10の何乗という言い方はやめ、銀河系の星の数は100 billion 、  AGNジェットの長さは a few million light years  という普段は使ったことのない英語を使う。というわけで、一苦労。MHDも禁句。  磁気ジェットができたので、角動量輸送の効率が良くなって、星形成の進化が早くなり、  我々は今ここにいられるのだ、ということを強調。  内容はPriest san に比べると直球勝負で、エジプトとは何の関係もない。日食とは  polar jet のところで辛うじて関係付けるが。笑いをとる余裕はなし。さて、聴衆はどうだったろうか?  司会のお姉さん(おばさん?=所長?=かなりしっかりしている実力者)は、すごくおもしろかった  と言ってくれる。まっさきに自ら質問。聴衆の質問も山のように出た。珍しい。エジプトの  学生は元気。「どうやって英語を克服したのか?」というような質問まで出てびっくり。答えは  もちろん「まだ克服していません。悪戦苦闘中です」。特に女子学生が元気。終わってからも  質問攻めで、コーヒーがなかなか飲めない。Koutchmy-san, Bonnet-san, Golub-san の奥さんらが、  絶賛してくれる。Koutchmy san は「予想していたよりずっと良かった」とのこと。  直球勝負が良かったのだろう。   午後は力つきて、大半居眠り。講演者に申し訳ない。Schwenn-san の space weather の話は一度も  眠らず。完璧なトークに感心。講演会のタイトルが culture and astronomy なので、暦の起源の  話や、エジプトの昔の科学者(Al Haytham) の話なども。 バスの中でエジプト出身の  Kahil san (素粒子宇宙論学者)と話をする。dark matter の話。彼も講演をしたが、途中から  寝てしまったので、その部分を色々効く。京大物理では小林達夫氏(?)と共同研究をしているとか。   夜は Schwenn 夫妻と夕食。 3月27日(月)   朝食のとき日本人観光客と少し話す。みんな日食観光。   午前中講演。太陽系惑星探査や生命探査の話はおもしろい。前日には太陽系外惑星探査の話もあった。  締めは Golub san. why go to space. これもきっちりゆっくり流暢な講演。完璧。     午後はBibliotheca Alexandriaの見学。素晴らしい設備に圧倒される。  これが果たして発展途上国なのか?  最後のプラネタリウムでは火山の話で日本が一杯出てきてびっくり。迫力ある3次元(的)映像で、  ほとんど乗り物酔い状態。   夜は、Windsor Palace Hotel で dinner party. その前に Lynden-Bell 先生をGolub san から  紹介されてびっくり。dinner party 会場で、Blandford さんと会ってさらにびっくり。  そういえば朝食のとき私にあいさつしていた。顔は似ていると思ったが、まさかこんなところに  いるとは思わなかったので、人違いだろうと思っていた。  勢いで、Blandford さんの隣で食事。色々議論。マグネターのCME(プラズモイド)モデルを話すと  彼もそれを考えているという。ちなみにCMEではリコネクションが重要だと私は思っていると話すと  彼も同意。同じことを考えているのは驚き。競争相手である。ちなみに Lyutikov の話をどう思うか  と聞いたら、彼は自分の学生だったとのこと。マグネターにおける粒子加速で最高宇宙線が説明できるか  と聞いたら、それは無理だという。エネルギー(光度)が足りないとのこと。ガンマ線バーストだったら  可能、ただし、AGNジェットのローブが加速場所として良いと思うとのこと。   左隣には、magnetar observation の Ibrahim さん。これも初めてでびっくり。まだ若い。聡明そうな  顔立ち。   dinner は、日食の解説つき。恥ずかしながら、初めて知ること多し。例えば、日食は年に 2.5回くらい。  うち、皆既:金環:部分が、同じくらいとか。 3月28日(火)   朝、カルテクの Prof Ellis と朝食。巨大望遠鏡プロジェクトをやっており、家さん、舞原  さんとは親しいとのこと。   のち、日食ツアー。アレキサンドリアを朝9時にバスで出発し、途中何度も休憩しながら、エジプトの  西の端の Al-Saloum へ。到着は夕方6時くらい。砂漠地帯の旅行。ここら辺は岩石砂漠  またはステップ。こんなに平坦のところを見るのは初めてで驚くばかり。  地平線というものを初めて実感。   夜はキャンプ。本当のキャンプでまたまたびっくり。しかも寒い。  夕食後は Kahil san と延々と教育談義。イブラヒムさんのことをもっぱら相談。エジプト人であることを  考えずに日本人と同じように扱うべきだとのこと。  12時にテントへ。テントは小さく、寝袋があるのみ。  寒くてほとんど眠れず。途中何度もトイレへ。トイレがまた簡易トイレ。大変。  寒さ対策の準備をあらかじめ教えてくれれば良かったのにと、何度も頭にくるが、どうしようもない。  日食を見るのも楽ではない。Kahil san いわく。こんなに寒いテント宿泊をあらかじめわかっていたら  参加者は半減したのではないか。しかしとにかく、ここには Lynden-Bell 夫妻、Priest 夫妻、  Blandford san も来ているのである。ちなみにこの地区に来ている日食関係者は総勢  2万人くらいだという。ちなみにエジプト大統領もヘリコプターで日食を見にやってきた。  軍の基地が横にあるからか。 3月29日(水)   横になっていても寒いだけなので、翌朝は6時に起床。なかなか朝ごはんにならない。  太陽が少し昇ってようやくあったかくなり生き返る。昼は快晴。絶好の日食日和。  午前中たっぷり時間があったので、まずLynden-Bell 先生と色々話しをする。こんなところで  Lynden-Bell 先生と話がたっぷりできるとは! 日食よりもラッキーだったりして。  話の内容は、昔の話。先生は F. Hoyle の弟子ですか?と問うと、ノー、Mestel の弟子だ、  とのこと。しかし、Mestel は Hoyle の弟子なので、孫弟子とのこと。ちなみに  こちらは加藤正二先生の弟子で、稲垣さんにも教わったというところから話をする。  そしたら非常に親しみをもっていただいた。  クェーサーのブラックホールモデルを最初に提唱したのは先生ですか?と尋ねると、  正確にはそうではないとのこと。Salpeter がすでに考えていたし、Novikov and Thorne も  言っていたとのこと。1969年頃の話。ただし、その頃はブラックホールという言葉がまだ  使われておらず、 Schwarzchild throat と言っていたそうな。  HoyleはObservatory と Institute of Astronomy を統合した(らしい)。Cambridge Univ のObservatory の意味をあまりわかっていないので、あまり理解できなかった。先生は  Observatory のプロフェッサーだったらしい。Griffin という優れた観測家がいたという。  ちなみに Mayor は理論家だったが、太陽系外惑星の検出方法を提唱し、結局自分で  観測したのだという。(ただし、これは別の人から聞いたのかもしれない。この数日いろんな  人と話をしたので、混線している可能性あり。)   その後、上原君のシミュレーションを見せて magnetic tower model について議論。  周りの媒質の密度が距離のパワーで減少するときは加速が早いとのこと。解析解を見つけ、論文は  昨日MNに出たばかりという。ジェット(タワー)先がとがっていて、相似解になっている。   その後、Blandford さんにも同じムービーを見せる。議論していくうちに、これはスフェロマクと  同じだというので、ついでにコペンハーゲンの集録のプラズモイドモデルを見せた。しかし、  あまり関心はもってもらえなかった模様。Blandford さんとのツーショットの写真を取る。  昨夜はLynden-Bell 先生とのツーショットの写真も取る。ミーハー気分。なお、彼らは  日食行事の一つの Fronties of Astronomy という大学院生向けの講義でエジプトに招待された  とのこと。日食絡みの行事(Culture and Astronomy, Fronties of Astronomiy)のおかげで、  有名人と知り合いになれてラッキーそのもの。ついでに、Prof Silk とも話しを初めてした。  銀河形成に対して磁場は重要な役割を果たしている可能性はあるとのこと。ちょっと驚き。  だいぶ日本の宇宙論屋とは違う。写真まで撮らせてもらう。   日食は感動的。11時25分頃から欠けはじめ、12時27分には三日月状態。木がないので、 木漏れ日の感動を味わえなかったのは残念。しかし食堂の屋根が穴だらけの布切れみたいなもの だったので、そこでピンホールカメラの原理が働いて、三日月の像が一杯できて、感動的。 写真を一杯撮る。Priest san, Lynden-Bell san, Blandford-san, Golub-san, Schwenn-san らと 集合写真を撮る。 12時38分頃には皆既日食開始。4分継続。ヘルメットストリーマーがはっきり 見える。太陽半径の4倍くらいまで。思ったより短い。しかしぎらぎら輝いて美しい。 ブラジルで買ったばかりの双眼鏡で見る。倍率が小さい! 今頃気づいても遅し。 初めての日食(ガダルーペ)で見たときの美しいコロナループが見えない。倍率が低いせいか、 コロナの構造のせいなのかは不明。コロナプルームは良く見える。デジカメでも写真を取る。 こんなときに限ってバッテリが切れる。幸い予備があったので、素早く交換。でも写真は失敗。 露出オーバーで太陽全体が真っ白。眼視、双眼鏡、カメラとやることが多くて、プロミネンス には気がつかず。残念。水星は見えず。(これは後で皆同じことを確認。) 皆既中は本当に暗い。地平線のみ光る。 終わってから、Bibliotheca Alexandria のグループ全体の記念撮影。  帰りのバスは、Bonnet-san の隣の席にすわり、長時間(バス旅行7時間?の半分くらい?)色々 おしゃべり。SOHOの命名者は Bonnet さんだとか(みんなは嫌がったが、使っているうちに 定着したとのこと)、SOHOは1時向きが変わって 2ヶ月観測不能状態に陥ったが、劇的に復活したとか、その際アレシボの電波望遠鏡をつかわせて もらったとか、色々聞く。事項だけでも記しておくと: ●スペースミッションのありかた(日本とESAとの違い)、ESAの 方針(巨大ミッションーSOHOとかSMMニュートンとかーを何年毎かにやり、 その間には小ミッションをやる) ●日本の次のミッションは、ポーラーミッションが良いのではないか? つまり、黄道面から緯度方向に 向かい、北極南極を上から見る。 ●彼は今スイス Bern の international space science institute の所長。 半年スイス、半年パリ(COSPAR)。ISSI は space science に関する国際会議や出版物を定期的に 出している。 3月30日(木)  日食のときの寒い一晩のせいなのか食事のせいなのか、ひどい下痢になる。朝は5分毎に トイレに行かざるを得なくなる始末。朝食を省略し、ホテルの人に相談するが、そもそも diarrhea (下痢)という英語が通じない。もっともこちらも海外旅行保険の説明を見て にわか勉強したばかりの英語だが。結局、ガイドブックのアラブ語(イスハ―ル)を話して ようやく通じる。ホテル前の薬局はまだあいていなかったので、Bibliotheca Alexandria の人が医者に電話して相談してくれる。結局、Antinal という薬を買え、ということになり、 朝9時に車で出発したのち途中で薬局に寄ってもらって購入し、早速飲む。効き目はあったよう。 その後はOK.しかし下痢状態が治ったわけではないのは夜のトイレで判明。車は昼すぎには カイロにつき、IAUシンポジウムの会場である Cataract Pyramid Hotel まで送ってもらう。 その後は、下痢もあるので、registration をしただけで、後は部屋で静養と電子メール。 ちなみに電子メールは1日で126LE(=25ドル)。高い。が仕方がない。  registration fee はVISAカードで払おうとしたら、機械が受け付けてくれず、結局現金を キャシングマシンからおろす。200ドル=1000LE。ところがお金をもっていったら240ドルだという。 さっきは200ドルと言ったではないか、と反論したら、SOC/LOCチェアマンの Hady さんが 200ドルで良いと言ってくれる。(後で調べたら、200ドルは早割りの額で、240ドルは〆切り後の額 らしい。ならばこちらはSOCメンバーなので200ドルへの割引も十分もっともな話。SOCには 全額割引にすることだってありうるのだから。)  夜(というか昼と夕方の中間)食事は部屋でルームサービスを取る。サンドウィッチだが、 もう一つという感じ。 3月31日(金)  朝起きたら喉が痛い。どうやら風邪を引いたらしい。そういえば、Priest san の奥さんも 頭が痛いと言っていたという。  IAUシンポジウムは NO. 233, "Solar Activity and its Magnetic Origin" というタイトル。 儀式(オープニングセレモニー)が9時から30分ほど。Hady san, ..., Fang san  がスピーチ。 ちなみに Fang さんはIAUの副会長だそうで、IAUを代表してスピーチする。中国の古い故事を 引用しながらのスピーチは流石中国人という感じ。  久しぶりに多くの太陽物理学者に出会う。Kundu, Lidia, Sakurai, Gan, Ding, Fang, C., Wang, J., Li, Nakariakov, Erdelyi, Klimchuck, Calebaut, Moreno-Insertis, Dame, ... 午前はダイナモの話。最近のダイナモ理論によれば、Flux Transport dynamo model が良いという (Dikpathiによる招待講演- インド出身の女性らしい)ー話は大変良かった。このモデルは従来のαωモデルに 子午面環流を加えたもの。これを使うと、過去のデータから、次の太陽周期の黒点数が予言できるらしい。 ちょっと驚き。de Rosa の招待講演では small scale flux tube の役割が強調される。おもしろい。 のち、Moreno-Insertis が浮上磁場の数値シミュレーションの招待講演。 Archontis が3次元浮上磁場リコネクションの口頭講演。そこで質問。 (1)hyper resistivity とは何か? 局所抵抗になっているか? スローショックはあるか?  リコネクションレイトは? 答え:抵抗が電流の勾配に比例。局所抵抗。しかしぺチェック型かどうか不明。スローショックは 見えない。syrovatskii type のようだ。リコネクションレイトは、コロナ側で0.02, 彩層側で0.01 くらい。 (2)磯部君の計算のようなフィラメンテーションは起きないのか?  ちょっとたくさん質問しすぎて、磯部君の計算との違いを聞いたところでチェアマンに止められた。 セッションが終わってからMoreno さんが答えに来た。初期条件が異なる。彼らは、ねじれた磁場、 磯部君は水平磁気シート。その後もかなり議論。Archontis さんは、Nordlund の弟子で、学位をとった あとMoreno さんと共同研究をやり出したのだという。今はSt Andrews にいるとのこと。 清水君の最近のシミュレーションを見せながら色々議論。さすが同じ分野をやっているだけあり、 議論はおもしろい。3次元になると2次元で見えていたスローショックが見えなくなるのだという。 話が弾む。来年St Andrews で浮上磁場理論の小研究会(招待のみ)をやろうと 考えているとのこと。いつだったら良いか?と聞かれたので、IUGG(7月)の直前または直後が ついで良いかもと返事。11月はCAWSES会議を予定しているので不可能と答える。  おもしろかった招待講演は、Voegler 。磁気対流の3次元MHDシミュレーション。最近の流行である。 (ただし、アブストラクトなし。ドイツだと思うが、今となっては証拠なし。不明。大体 この会議は organization が良くない) 粒状班の境界の輝点は必ずしも磁束管とは限らない。渦(tornado!) でも中心が低気圧になり、 へこんで見えるので明るく輝点になるというシミュレーションを紹介。おもしろい。  磁気レイノルズ数を大きくするとダイナモ効果が起こるようになるとか、磁場キャンセレーション (リコネクション)により強い下降流(8km/s) が起こるのがシミュレーションで見えているという。 Erdelyi の講演もおもしろかった。彼とはガダルーぺなどいくつかの会議で会ったことがある。会う たびに太くなっている印象。(何しろおなかの見かけの幅はゆうに1mを越えている) 話は彩層ダイナミックス、スピキュールのモデルが主。DuPontie の 論文は実はErdelyi が計算を担当していたとのこと。ここでも質問: Pmode lieakage だけでは足りないのではないか? 放射冷却が効くのでは? 放射冷却は 計算にはいっているのか? アルフベン波は考えないのか?  答えは概ね同意とのこと。放射冷却は簡単な扱いで一応は入っているとのこと。(Newton cooling)  夜夕食後に再び議論。英国の Shefield Univ. でグループのヘッドだとのこと。NonLTE Hydro code with non-equilibrium ionization を開発中とのこと。共同研究をやろうかと話が弾む。 磯部君に連絡してそちらを訪ねるように連絡すると約束。  夕食は中国南京グループ6人とピラミッドの近くの中華料理屋で夕食。久ぶりの中華料理を堪能。 4月1日(土)  午前中は、コロナ加熱のセッションで、Priest さんと二人でチェアマン。Priest さんは流石 慣れており、チェアマンの先生といった感じで色々教えてくれる。発表者の名前はファーストネーム からきちんと言うこと、所属はどこかも言うこと、というのが基本。10分講演+5分議論の場合、 2分前には知らせてちゃんと終わるようにさせ、議論の時間はできるだけ取るようにすること、など。 ファーストネームを調べるのがひと苦労だったが、どうもこれは西ヨーロッパの文化らしい。 午前の最後に、ギリシャ出身の Tzioutzou (という名前だったと思うが勘違いかも)が、 spicule/mottle の観測の話をして、du Pontie の5分振動駆動スピキューるモデルは、ちょっと エネルギーが足りない、また、観測されたモットルに沿った 速度が bidirectional になっているから、リコネクションかもしれない、という話をしていた。 これに座長の権限でコメント「磁束管に沿った速度は stratification effect で必ず、上方の 速度がが大きくなる。したがって、時間がたてば必ず下の方は(重力で)負の速度になるから、 一見 bidirectional になる」。後で、昼ごはんを食べながら議論。Koutchmy さんは、そもそも mottle は spicule ではない、という意見。昔の Suematsu et al. (1982) 以下の関連論文 pdf file をあげておいた。  午後は、招待講演のときは良いが、一般講演になると玉石混交になり、特に、エジプトの学者の 講演がひどい。(これはプログラム作りの段階からある程度は、わかっていたが。)  夜はピラミッド光と音のショー。スフィンクスとその横の遺跡に光をあてたり、画像、映像を 投影し、ピラミッドの解説をするショー。解説は英語だったが、4分の1くらいしか理解できず。また、 途中から寒くなって、ちょっとつらい時間。  夕食はホテルに帰ってから、Nakariakov san 夫妻と、桜井さんと4人でプールの前のレストランで。 4月2日(日)  午前中は1時間セッションに出たのみで、10時にタクシーを予約して、ピラミッド見学。 これがアドベンチャー。まずパピルス博物館に連れていかれる。パピルスの紙がいかにして 作られるか実演してくれる。これは良かった。写真を一杯とる。解説はエジプト人が日本語で 上手に話してくれて好感が持てる。紅茶までご馳走になる。ところがこれが実は、パピルス おみやげの押し売りの店。300エジプトポンド(60米ドル=7000円くらい)のパピルスおみやげ (絵がかかれている)を買わないかと、きわめてしつこい。ここまできたら、何も買わないわけ にはいかなくなり、一番安い160ポンドの絵を買う。(ところが、夜にカイロの街中にいったら 同じ大きさの絵が6ポンドで売られていた!)ようやく外に出て、建物の写真を撮っていたら、 同じ人が「10ドル!」と叫んでいたが、これは無視。  のち待っていたタクシーでピラミッドへ。時間が足りなくなり少し焦る。ピラミッドは大きいので 歩くとしんどい、らくだに乗るのが良い、と勧められ、それしかないのかと思って、yes と答える。 それが運のつき。らくだ前に連れていかれ、乗れ、といわれる。いくらか?と聞いても教えてくれない、 らくだ屋だけでなく、タクシーの運転手も何も言わない。(タクシーの運転手もぐるに違いない。 そもそもタクシー代もすでに100ポンド払っている。普通より3倍以上高い)。 らくだ乗りは1日で460ポンドだという。そんなに長くは行けない、1時間半で帰ってこないといけない、 というと短時間では320ポンド(64ドルくらい)だという。高い!  しかし、ほかに可能性がないのなら、と観念する。乗ることにしたが、らくだの背中があまりに高いので ちゅうちょしていると、二人がかりで乗せてくれた。それで出発。お供が二人。らくだ引きの子供と、 道案内の大人(馬に乗っている)。3分進んだら、ここで前払いだという。またロングで460ポンド 払えという。ショートでいいんだと言ってもなかなかOKといわない。なら、もうやめるといったら、 ショートで良いとなって320ポンド払う。ちんたらちんたら砂漠に入り、こんなにのんびりしていたら ピラミッドの中もゆっくり見れないと心配になる。また、320ポンドも、ぼられたに違いない、 タクシーの運転手もグルなのだ、と思うと腹が煮え繰り返ってくる。しかし、いまさらどうしようもない。 ただ、砂漠の中を初めてらくだに乗っていくのも、それなりにおもしろくはある。アドベンチャーだ。 必死にしがみついていないと落ちそうになるから。また、砂漠の中をゆっくりと時間をかけて ピラミッドに近づいていく、というのもおもしろかった。昔の人はみなこうだったのだと思いながら、 風景をたっぷり堪能。途中で何度か止まってもらって、写真撮影。片道30分以上かけてようやく、 真ん中のピラミッドに到着。近くまできて感動。降りようとしたら、突然らくだが前にかがみはじめ、 バランスをくずして転落。砂漠の上に背中から落ちて、大の字になってしまった。 しばらく立ち上がれなかったら、みんな心配して起こしてくれた。 幸い、けがはない模様。砂を払って、そこからは徒歩でピラミッド見学。 ピラミッドの周辺は巨石がごろごろ。ピラミッドの壁から落ちたに違いない。こんなのは現地にこないと わからない。ピラミッドの壁の石が段々畑のようになっていて簡単に上れるかと思っていたが 実際は大きすぎて無理。しかし、一応、「登ってはいけない」と書いてある。ピラミッドの中に入ろうとしたら 電気が消えて今は入れないという。がっかりして、未練がましく入り口当たりを歩いていると、電気が ついたという。ラッキー。これで入れた。狭い空間を背をかがめながら歩く。日本人は背が低くて こういうときは楽。しかし暑い。人が多いせいもあるだろう。入ったのは真ん中のピラミッドなので、比較的 単純。中の部屋には1881年の落書きがあった。(その後、一番右のピラミッド(クフ)の中に入るべきだったと 知ってちょっとがっかり。ガイドブックを持っていったのにちゃんと予習しなかったのが間違いのもと。 でも、まあ、一応同じようなものだからよしとしよう。)帰りのらくだはちゃんと待っているだろうか? と心配したが、一応OK.ただ、帰りは下り坂で何度も落ちそうになり、ついにギブアップして、馬に 代えてもらう。ホテルには約束の1時に10分ほど遅れてしまった。  それから Salah 教授に連れられてカイロ大学へ。天文学教室でアレキサンドリアと同じ講演を頼まれたのだ。 教授はイブラヒムさんの元先生。イブラヒムさんの友人も一杯いる。聴衆は 学生、大学院生、スタッフ込みで20人弱くらい。プロジェクターとの相性が悪くて、色が黄色に なってしまったまま。まあしかたがない。話はでもおもしろがってもらえた模様。cosimic jet の話 (全く同じ話)。その後、研究者向けとして、1昨年末にブラジルの国際会議でやった話、 Flares and Jets in the Sun, stars, and accretion disks, という話もする。 こちらもフレアのHR図のところではみんな笑わせるのに成功。 学者向けなので説明なしにMHDの話が出てくるが、これは教授が解説したり 黒板で説明しながら解説。学生さんにはちょっと難しかったかもしれないが、おもしろく思ってもらえた ようなのでよしとしよう。 Yousef さん(教授、女性、太陽研究)が宇宙ジェットは天空の穴だとか、光より速い物が あるとか、ちょっとびっくり議論。  夜は、教授にみやげもの買いに連れていってもらう。エジプトで最も古い大学(今はイスラムのモスク) にも案内される。教授はしばらくお祈り。おもしろい経験。靴をぬいで入るところは日本と同じ文化。 その後、夕食、のち近くの商店街で買い物。有名な路地らしい。夜遅くまですごいにぎわい。 あーでもない、こーでもない、迷いに迷いながら教授にはかなり助けてもらい、家族へのみやげものを買う。 途中の道路では素晴らしい経験。車は車線を守らないは、人はいくらでも勝手に横断して 突然車の前に現れるはで、事故が起きないのが奇跡のような道路状況。 結局、ホテルに帰ったのが夜の10時すぎ。  その後、ホテルのロビーで、成影君、山本君、久保君と会って、コーラを飲みながら雑談。 結局、翌日の講演の準備が未完のまま、ベッドで服のまま寝てしまう。 4月3日(月)  先日の日食キャンプの寒さのせいで完全に風邪状態。下痢は治ったが、のどと頭が痛い。 しかも講演の準備が未完なため、午前中は最悪の状態で、講演を聴く。SMEI(solar mass ejection imager ) の話はおもしろかった。LSCO (< 20 太陽半径)の続きのCMEが> 60 太陽半径で確認できた という。また、コメットの尾とCMEとの相互作用もとらえられたという。  準備がいいかげんなまま、午後発表。内容は清水君(プラズモイド観測の部分)と西田君の修士論文の話。 時間が短かったのが良かったのか、最後にらくだに乗った写真を見せたのが受けたのか、 excellent talk, very interesting 、、 など、意外な評価。 (他の講演の出来がひどいせいもあるだろう。) Kundu san はppt file をほしいといってきた。質問は二つ。 Marsh (ドイツ、リンダウ):   プラズモイドは垂直に飛んでいくのに、どうやって水平なリコネクションインフローを作るのか?   (という質問らしい、後で確認した。結局、流体中のバブルの上昇も水平なフローを作り出すことを   説明してようやく納得してもらう。彼は地球の場合は EXB ドリフトがあるから理解できると言っていた   ので、流体的発想が苦手のよう) Stepanov (director of Puvkov insitute, StPetersburg Russia): (にやっと笑って)バルーニング不安定性の可能性はどう思うか?  答:ここは穏便に、ミクロではテアリングとカップルして効くかもしれない。 しかし、ミクロな過程は、まだよくわかっていない。と答えておいた。       その後の休み時間にロシアの人(父と娘の親子研究者)が私の話を聞いて大変おもしろかったので、 ロシアでの研究会に招待したいと強く誘われたが、今年は無理。 その後、Archontis さんと長々と議論。ねじれた磁場の浮上にともなうリコネクションの シミュレーション。プラズモイド形成の話。  夜はナイル川のクルーズ(レストラン)で優雅なconference ディナー。 Klimchuk さんが話をしたいと言っていたので、 隣の席にすわって色々議論。左には Gibson san (HAO), 斜め前には Dikpathi san (HAO, indo 出身)、 向かいには Slater san のお兄さん、など。歌と踊りがメイン。音が大きくて話をするにの一苦労。 4月4日(火)  早朝、3時半スギにホテルを出発。