--------------------------------------------- 日:2002年7月14日(日) 於 京都大学花山天文台 出席者:黒河、一本、上野 ◎太陽光による鏡筒内加熱の概算  対物レンズ外側の視野移動用くさびガラスなどに不要光排除のコーティング  が施される事にはなっているが、コーティングの透過波長特性曲線が、赤外  の方まで来ると上がって来るので、50000Å程度までの特性曲線とプラ  ンク関数の積などから、実際に加熱に効くと思われる熱量を概算しておく  のが良いかも知れない。  (ちなみに、そういう類のコーティング、フィルターを入れていない三鷹の  フレア望遠鏡では、視野外の光を1次焦点部で反射させて鏡筒内に散乱させて  いるが、鏡筒内の温度は40℃程度に上がっていると思われる。) ◎20cm磁場用望遠鏡の、回転波長板のフラットフィールドをどう取得するか  この問題は、以前から話題に上っているが、この場でも改めて考察された。  光路を折り曲げる平面鏡よりも対物側に波長板を持ってこようと思うと、やは  りフラットフィールド作成用レンズユニットよりもカメラ側に波長板を配置  するのは困難。なるべく定常な光を望遠鏡に入れておきながら波長板を回転さ  せる等して、波長板固有のパターンを別途独立に取得する作業が必要になるか。 ◎25cm2色撮像・磁場測定併用望遠鏡の視野  特に磁場測定用モードの場合、視野の1辺が300秒角程度と、あまり大きく  ない。偏光ビームスプリッタ前後に縮小レンズを置く事などにより、視野を  広げられないか?  -> 現在、この視野を制限している一番の要因が、ファブリぺローフィルタの  径の大きさにあると考えられるので、この径を大きくしなければ、縮小レンズ  を入れても視野は広がらないだろう。 ◎ファブリぺローフィルタの電圧変化による透過中心波長の再現精度は大丈夫か?  ファブリぺローフィルタの電圧による波長の変化率は、  常光 :10^(-4) [nm/V] 異常光:5x10^(-5) [nm/V]  程度であるので、1mÅの精度で再現させるためには1Vの精度での電圧制御  を必要とするが、これは可能であろう。 ◎ファブリぺローフィルタの面上の位置による透過波長幅の誤差  現在、メーカーへの要求仕様では、誤差は幅の1%に抑えるよう、求めている  が、メーカー側はこれを保証するのは難しい旨返答をしてきている。  この点に付いて、フラットフィールドからCCDカメラの成分を除去する等し、  フィルター自身による影響のみのフラットを得る事ができれば、それから  各CCD画素に結像する光の、フィルタでの透過波長幅を推定できる可能性が  ある。(これには、透過波長中心透過率の一様性が前提条件として必要だが。)  従って、1%という許容誤差条件を緩和する方向を検討すべきか?  (ちなみにこの場合、上記検定測定後に、各CCD画素毎に異なるインバージ  ョン用ルックアップテーブルを作成しておく必要が出て来る。) ◎不要光排除用多層膜コーティングによる偏光  コーティングの方法によっては、面に対して垂直に入射する光であっても、  偏光成分が発生するような多層膜が存在する。  (コーティング対象プレートを設置する回転テーブルが、公転+自転の2軸  構造になっていれば良いが、公転軸のみのテーブルでコーティング物質を  噴射させると、各場所で、コーティング物質がある特定の方向性を持って  蒸着されてしまう。)  コーティングメーカーに、蒸着方法の確認を取る必要あり。  或いは、サンプルフィルタを2枚の偏向板の間に挿入し、レーザーを当てな  がら回転させ、強度変化を見る事で、その問題の有無を検証することも可能。 ◎ファブリぺローフィルタの光軸に対する傾き角と中心波長の変化  一本さん作成の計算プログラムによれば、傾き角2°程度では、中心波長の  シフト量は、幅に対して十分に小さく、且つオリジナルのプロファイルの形状  もまだ変形しない見込み。(このプログラムを一本さんより、提供して頂いて  購入予定のフィルタのパラメータを入れ直して確認計算してみるか?) 以上 (レポート:上野悟)