2009/2010 CMO火星通信』火星觀測ノート (16)

ビル・フラナガン氏による

朝方のヘスペリア上の白雲

CMO #388 (25 August 2011)

 南 政



 

ル・フラナガン(WFl)氏の111213November2009の画像に看過できないヘスペリアに朝雲が出ている。まだ、ι=38°の段階で、既に朝も遅くなっているが、特徴はマレ・テュッレヌムが更に朝雲の西に(詰まりリム近くに)濃く出ているために目立つ存在となっている。マレ・キムメリウムも明確で兩者に挾まれて細く流れているように見える。東はエリダニアまで達しているであろう。視直徑δは未だ8.5"~8.6"の段階であるが、秀逸な連作である。季節はλ=008°Ls~009°Lsで、春分を過ぎたばかりで多分此の時期の特徴であろうが、常に網に掛かるとは限らないであろうと思われるので、此処で採り上げておく。

 すべての像のデータを擧げれば

11Nov2009 (λ=008°Ls, d= 8.5") ω=199°, 204°W

http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2009/091111/WFl11Nov09.jpg

12 Nov2009 (λ=008°Ls, d= 8.6") ω=190°, 192°W

http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2009/091112/WFl12Nov09.jpg

13 Nov2009 (λ=009°Ls, d= 8.6") ω=180°,183°,185°W

http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2009/091113/WFl13Nov09.jpg

であり、どれにも見えている。Rにマレ・テュッレヌムが強く出ているのであるが、多分L像にも明確なのであろう。但し、B像では明確ではない。此処では經度で中間を採っての12Novω=190°Wの像を擧げている。

 ヘスペリアの中でもアメンテス・プラヌムAmenthes Planumは少し低地で, いつも氣になるところであるが、この場合はエリダニアまで通じているので、ヘスペリア全體に亙ると見て好いだろうが、東方は割りと高地であるが流れを作るには充分な凹みがあるのであろう。

 尚、逆にいえば、朝方のマレ・テュッレヌムに雲が懸からないということの方も重要であろう。

 


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