編 集 後 記


新型コロナウイルス騒ぎで世の中は騒然としているが、季節の進みは順調で横浜のソメイヨシノの開花日は318日であった。当地では少し遅れたが、三月末には満開となった。天候は周期的な変化が続いていたが、下旬になると南岸に前線が停滞して「菜種梅雨」の曇天傾向となった。寒暖の差も大きく、329日には季節はずれの春の雪となり隣家の屋根は白くなっていた。とはいえ春本番で花の季節の到来である。

 


春の彼岸には、南先生の没後一年の記念礼拝が計画されていたが、蔓延しかけたウィルスの影響もあって、7月に延期となってしまった。一日も早く流行が終焉することを願っている。皆様も感染に御留意してお過ごしになることを心がけていただきたい。

 

火星は三月末には、土星を追い抜いて「やぎ座」へ入っている。しばらくは、明け方の4時頃には三惑星が並んで南東の低空に光っている。今後は火星も赤緯も上がってくるが、順行の移動も大きく日の出時間も早くなるので、なかなか観測可能な時間も延びてこない。

 


 

四月上旬には南半球の春分(λ=180°Ls)も過ぎていて、南極冠の融解も速まり、黄雲の季節になって行く。

しかし、視直径の増加はゆっくりで、8秒角には五月上旬に達して、六月中旬になってやっと10秒角をこえる。なかなか、眼視観測の好機は訪れない。

320日の木星との接近では、火星は木星の南0.7°を通過していった。10cm屈折の直焦点に両星を捉えることが出来たので、ご覧いただく。図中の数字は恒星の等級である。ガリレオ衛星には番号を付けた。

 

 

 

四月9日記

 

火星課長 村上昌己 


日本語版ファサードに戻る / 『火星通信』シリーズ3 の頁に戻る