編 集 後 記


九月下旬からの不順な天候で、夕方の西空の晴れ渡ることがなく、富士落日撮影の機会を今年は逃してしまった。十月も半ばを過ぎてやっと晴天の日があったが、ご覧の様子で太陽はすでに南に下がって箱根の連山に沈んでいった。このところは、みるみる日脚が短くなっていて、夕方18時を過ぎると空はかなり暗くなり、南西の空には木星と土星、東の空には火星が赤く明るく輝いている。朝晩はかなり涼しくなって、観測には防寒着が必要となってきた。八月頃のシーイングの良さは無くなってしまったが、視直径の大きな時期で火星はまだ小口径の望遠鏡でもその姿を見せてくれている。20秒角以上の大きさは10月末まで続く。

 


 

今回は通算500号の記念号になるところだが、接近時の忙しさと重なり何の企画も出来なかった。南先生に怒られそうである。

火星は、「うお座」で逆行していて、「黄経衝」を13GMTに過ぎて、今接近期も後半に入った。季節は火星南半球の秋分に向かっていて、まだ続く黄雲の発生期間や南極冠縮小の最終期間となっている。北半球では、北極雲の活動が盛んになってきて、北半球の季節の始まりとなる。

 


 

秋雨の曇天傾向から一転した18日に撮影できた画像をご覧いただく。小口径でも視直径の大きさを借りてこの程度の画像を残すことが出来た。小さい南極冠、Hellasは北西部から西側が明るく、中央にZea Lacusが見えている。Syrtis Mjをはじめ、S Sabaeusから S Meridianiまでの暗色模様も捉えられている。濃い青色のラッテン47Bフィルターを使った画像には、朝夕の靄や北極雲の明るさが認められる。Aramに感じられた朝靄の明るさは撮影時のモニター画面でも認めらた。

今回も観測レポートの発行は予定より遅れてしまったことをお詫びしたい。

十月26日記

火星課長 村上昌己 


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