編 集 後 記
十月下旬には、秋雨前線は南下して、移動性高気圧の影響を受けるようになって、空も秋の雲が見られるようになっている。天候は周期的に回復して、観測報告も増えているが、シーイングは夏場の良さは遠のいたようで、だいぶ悪くなってきたとの報告が多い。視直径の落ちてくることもあり、詳細の観測は難しくなっている。
十一月に入っては、気圧の谷の通過後には冬型の気圧配置になって寒気の南下するようになり、北海道からは冬の便りと共に、コロナウイルス感染の第三波がニュースで伝えられている。11月8日には「立冬」を過ぎていて、山茶花も咲き始めて、晩秋の趣になっている。
夏場には賑やかだった惑星たちも、木星・土星は日暮れ時には西に傾くようになって、東の空に高くなっている火星は、まだ「うお座」で11月16日の「留」までは逆行している。視直径も20秒角を下回っているが、昨夜のメールで、Chryseに黄雲発生のニュースが飛び込んできた。
ヘフナー氏から寄せられた画像をご覧いただく、電文はISMO英文ページのLtEに収録されている。現在わが国から見えている経度で、今後の追跡が望まれる。
この季節(λ=313°Ls)での発生は、2005年13Oct
(λ=306°Ls) のEos(エオス)での黄雲発生に似ていて、北半球起源の黄雲発生と思われる。詳しくは次回のレポートで取り扱うことになる。
当時の『火星通信』へのリンクは、下記のもので、観測レポートにもとりあげてある。
CMO 2005 Mars Report #12 CMO#311 (25 October 2005)
https://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmomn2/CMO311.pdf
今回も観測レポートの発行は予定より遅れてしまったことをお詫びしたい。
十一月13日記
火星課長 村上昌己