編 集 後 記


六月になって関東での梅雨入りは14日と平年並みであった。梅雨入りしてからは、夜半過ぎの晴天は当地ではほとんどなく、夜の星を眺められることは希になってしまった。七月に入っては、本州上に梅雨前線が停滞して、各地で雨が強く降って災害の発生もある。7日には「小暑」を過ぎていて、一日も早い梅雨明けを待っているところである。

 


六月前半は晴れ間も多く、夜半過ぎの木星の撮影を試みた。シーイングも落ち着いていて、三日連続で画像を得られ、小口径での画像ながら、この時期の木星のほぼ全周を記録することが出来たのでご覧いただく。火星もこのくらいの視直径があれば良いのにと思う。

今期は赤道帯北側(EZn)に濃度があるのが、「合」を挟んで変化したところである。青黒いフェストーンは目立たなくなっている。昨年の活動で濃化した北温帯縞(NTB)は、全周にわたり濃い縞として見えている。大赤斑から前方に伸びる南熱帯バンド(STr-Band)も細いが顕著である。永続湾BAはあまり目立たない。

 

火星は、六月には「ふたご座」から「かに座」へ順行をして、太陽との離角は小さくなっていった。七月13日には下図のように、日没後の空で金星と接近する。その前日には、月齢2.4の細い月もそばにある。西空の開けたところと、天候に恵まれれば、薄明の低空で見ることが出来るだろう。レグルスとの接近は七月29日のこととなる。

 


 

 この度、日本天文学会の第20回天文功労賞(長期部門)を、東亜天文学会火星課が戴くこととなりました。

87年にわたる火星の継続観測と34年にわたる機関紙『火星通信Communications in Mars Observations』発行を通した国内外の火星観測者の交流促進」との受賞理由です。ホームページの「火星課の沿革」記事にあるように戦中・戦後の先人達の活動と観測をもとに、昭和20年代から昭和31(1956)の火星大接近を機に盛り上がった火星観測ブーム、そして引き継がれて『火星通信』を立ち上げた南先生達の御努力が評価されたものと思います。また、これまで観測報告をお送りくださった多くの惑星観測者の皆様の活動も認められたものだと思います。有難とうございます。

この受賞に関しては、花山天文台の野上大作先生(京大・准教授)の、ご推薦をいただいたことに、厚く御礼を申し上げたいと思います。

七月10日記

火星課長 村上昌己 


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