CMO/ISMO 2022/23 観測レポート#17
2023年六月の火星観測報告
(λ=072°Ls ~λ=085°Ls)
村上 昌己・西田 昭徳
CMO
#529 (
♂・・・・・・ 今期十七回目のレポートは、『火星通信』に送られてきた六月中の撮影画像より作成した。
火星は六月には月初めにプレセペ星団の中を通過し、「かに座」で順行を続けて、下旬には「しし座」へ入った。赤緯は20゚Nを下回って、日没時の高度も45゚から月末には30゚程に低くなり、夜半前には沈むようになってしまった。金星との離角が小さくなり並んでいるが、+1.6等の火星は目立たなくなっている。内合に向かう金星は以降は離れて行き接近することはない。火星は七月10日にはレグルスの北を通過してゆく。
六月には、季節(λ)はλ=072°Lsから085°Lsまで進み、北半球の夏至直前まで達した。視直径(δ)は、δ=4.7”からδ=4.2”にまで小さくなって、詳細を捉えることは難しく観測末期となった。
位相角(ι)は30°から、月末にはι=26°まで減って丸みが戻っている。中央緯度(φ)は16°N台から、月末ではφ=22°N台には大きく北を向いている。北極冠はかなり小さくなっているが認められる。
この季節の視直径の大きな時の記事は、2012年の小接近時にあり、以下のリンクから辿れる。
CMO#395
(1 February~
https://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmo/395_Repo07.htm
CMO#396
(1 March~
https://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmo/396_Repo08.htm
♂・・・・・・ 六月の火星面の様子
○ 火星面概況
六月には、入信した画像は二名からの五日間のものだけとなってしまった。以下にすべての画像を並べてみた、メリッロ(FMl)氏は、25cmSCTを使いカラーカムの画像。ルウィス(MLw)氏は、44cmドブソニアンでの各種CMOSカメラでの撮影である。
日付も飛んで、火星全面の様子が捉えられているわけではないが。大きな擾乱は起きていないようである。北極域は明るく小さな北極冠が捉えられている。この時期の活動としては、南半球の冬至に近づいたヘッラスの様子、ピ−クになりつつある赤道帯霧、活発になってくる北半球の午後の山岳雲などが挙げられるが、どれもうまく捉えられている画像はない。
♂・・・・・・ 六月の観測報告
六月になっては、寄せられた観測報告は、以下の二名からの5観測となってしまった。
それぞれの画像は上図にとりあげたものだが、以下のリストのリンクからも辿れる。
マーチン・ルウィス (MLw) セント・アルバンス、英国
LEWIS, Martin (MLw)
2 Colour
+ 2 IR* Images (19,
45cm Dobsonian, with an
Uranus-C & a Mars M U*
https://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2022/index_MLw.html
フランク・メリッロ (FMl)
ニューヨーク、アメリカ合衆国
MELILLO, Frank J (FMl) Holtsville, NY, the
3 Colour
Images (1, 10,
https://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmons/2022/index_FMl.html
七月に入っても画像の入信があり、このコーナーももう一回続けられそうである。
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