LAI #234

Letters to the Editor


from Wu-Yang LAI in CMO #234

●・・・・・CMO233発送のご通知ありがとうございます。今年は日本も台湾を越すほどの暑さに見舞われたようですね。
 この前七月17日のメールで、蔡章献さんの近況や、台湾のCMO送り先のことについて、お問い合わせをいただきましたが、それについて今日やっと返事を差し上げる材料が揃いました。
 蔡さんは元気です。けっこう外出したり旅行したりしています。ただ長年痛風を患ったため、姿勢はしゃんとしているとは言えません。蔡さんは七月23日に台北市天文協会の会員をつれて、金門へ三日の旅行をしてきました。目的は観光だったのでしょうが、金門は光害がすくないはずだから、Linear彗星を観測するに都合がよいという天文学的な理由が付加してありました。ところが金門は台湾からの観光客で賑わう島になっていて、夜間の灯火管制は廃止され、電灯が明るくなっていたとのことです。
 CMOを台北と台南とへ各二部お送りになっていることについて、蔡さんの意見は次のとおりです。「阮國全、陶蕃麟両氏は日文が読めないし、観測していないので、個人宛てに送っても仕様がない。それよりは天文館宛てに送れば、図書室に置いてくれるから、そのほうがよいだろう。台南の会も今は日文の読める人がいないし、観測していないし、そこの会長は十年前にリタイヤして、もう連絡がない。」「もし台湾に送るなら、中央大学天文研究所(郵遞區號320 桃園縣中?市)、國立自然科學博物館(郵遞區號404 台中市館前路1號 http://www.nmns.edu.tw/)に各一部送れば、図書館に保存される。」以上が蔡さんの意見です。ご自分のところに着いているかどうか、返事を忘れていますが、無事に着いているから忘れたのだろうと思います。蔡さんのFAX機は故障で、近く修理に出すとのことです。
(4八2000 email)

○・・・・・・・お見舞いありがとうございます。颱風10號で各地に被害が出ましたが、物質的損害はさほどではありませんでした。どこの国でも毎年天災による物質的損害があるのがあたりまえです。ただ人命の損失が出るのは残念です。去年の大地震の中心地南投縣で、土石流が民家へ押し寄せてきて、八人生き埋めになりました。土石流の発生しやすい場所からは離れよとの警告は出たのですが、避難を指導する組織がなかったようです。今夜は台風が台湾に上陸するという警報が出て、海がすでに荒れているにもかかわらず、サーフィンに興じたり、岩礁で釣りに余念がない人たちの姿がテレビに出ました。今日の新聞によると、そんな連中を救助する必要が生じた場合は、あとで救助費を取り立てるという法律を作ることになったそうです。
 台風は今回のように台湾へ上陸すると、台湾島を縦走する3000m級の山脈にぶつかって、たちまち威力が減じてしまいます。台湾の人口の大部分は山脈の西に住んでいますから、風害はさほどでもありません。山脈の東に住む人たちは、毎年強烈な台風に襲われますから、住家は台風に耐えられるようにできているはずです。
 台風の名称は、今でもアメリカ軍が編成した呼び名が台湾の新聞記者に愛用されています。今回の10号台風は碧利斯(ペリス?)です。台湾で独自の名称を作ろうという主張があって、去年気象局かどこかの役所が、ひとシリーズの名称を編成したのですが、ばからしい失敗作でした。私はその名称の一つだけを覚えています。「孫悟空」です。その他には三国志演義の英雄などがありました。孫悟空が化け物を退治する話なら聞き手は大喜びですが、台風を起こして善良なる民衆に多大の迷惑をあたえるというのでは、冗談にもなりません。
 新總統の陳水扁という名前は実に台湾的です。生まれた年月日を算命師が計算して、五行(木・火・土・水・金)のうちのどれかが欠けているという結果が出ると、名前で補うのです。台南縣のお百姓陳さんのところに赤ん坊が生まれ、算命師に計算してもらったところ、水が欠けていたので、名前に水の字をいれたのです。知人の弁護士に「火炎」というすごい名の人がいますが、あれは生年月日から計算した結果が、非常に火が欠乏していたからです。どんなにして計算するのかは知りません。いつか俳句会の主宰黄靈芝さんが、「ョ武揚氏の生年月日はたぶん武が欠けてているのだろう」とジョークをとばしました。
 日本でも今年はばかに水害が多かったようですね。水害のほうが旱魃よりはましです。最高温度30度を越した日を真夏日と言うのであれば、台北はおそらく毎年200日以上の真夏日があるとおもいます。私の知るかぎり、台湾ではお金持ちの豪邸でも暖房設備がありません。そのかわり貧乏人の住家にもクーラーがあります。
 台湾では長年にわたって電力が慢性的に不足し、特に夏は冷房用の電力が足りなくなりそうです。ところが東北部に建設中の第四核発電所は、地元の反対のため廃止になりかかっています。台湾にはすでに三ヶ所の核発電所が十数年無事に稼動していますが、反核運動がある程度の勢力を維持しています。核燃料の燃え滓の保存も問題です。今までの燃え滓は、蘭嶼という島に建設された地下室に保管されてあり、テレビに写った様子では、黄色く塗ったドラム缶(それよりは小さい?)に詰められていて、すでに何千本もある様子です。アスファルトに混入して希釈してあるからこんなに分量が大きくなるのだという話ですが、輻射能の半減期が十万年以上とのことで、人間の文明史がまだ五千年しかないことを考えると、これはとんでもない厄介物です。
 では、ご自愛のほど。蔡章献さんへ、おっしゃるとおり伝言します。草々

(25八2000 email)

ョ 武 揚 (Wu-Yang LAI 臺灣 Taiwan)    laiwy@tpts5.seed.net.tw
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