歳時記村 (4)

-- September 1998 --

村上昌己


  秋の気配 

 いつの間にか蝉の声も聞こえなくなってしまい、太陽黒点観測の視野をトンボが飛び 交うようになってきた。秋分をすぎると太陽の南中高度がかなり低くなったのを感じる。 いよいよ、秋の気配が漂い、ススキの穂も目立ち始めた。

 今年の夏は天候が殊におかしかったように思う。7月はじめの暑い晴天続きの後、梅雨空に戻って 梅雨前線は朝鮮半島から南東に関東地方まで伸びた。此の期間韓国では被害の出る豪雨があった。 その後も前線は北上せずに関東北部に懸かったままで、8月中旬のペルセウス座流星群も天候に恵ま れなかった。関東南部では、夜に曇っていることが多く観測の好期になった木星を見る機会に巡り会 えなかった。
 下旬になると前線は日本を北海道から南北に縦断するように停滞し、珍しい天気図になった。 前線に沿って北上する湿った風で関東では雨模様の日が続いた。特に関東北部から東北南部では、台 風の刺激も手伝って記録的な集中豪雨に見舞われ、各地で被害が出た。  九月に入っても曇の日が続いていたが、九月12日の夜は朝まで晴れて、成田氏の所で木星を集中観 測した。15日にも観測を計画したが、一枚スケッチを取ったところで曇られてしまい、全周の観測を 完結できなかった。その後も曇天傾向で黒点観測もままならない。

 夏に毎年日本を訪れ、登山を楽しむフランスのオジェ氏も、悪天候のため計画していた南アルプス への登山を中止したのをはじめ、どこの山にも登れなかったようで、滞在する小淵沢付近では中央線 は雨で二度も運転見合わせになったとの事だった。今年はお会いする機会が作れずに残念だった、来 年の八月はバリで会いましょうと電話で話をした。既に九月26日の便で帰国されていると思う。
EIHEIJI Temple in Autumn 1995

 十月にはいると待望の火星が朝方に観測出来るようになる。「しし座」にあって、15日には、レグ ルス・月・火星と東天で並ぶ。日の出時の高度も25度を超えるが、視直径はまだ4.4秒角と小さい。
 木星は衝を過ぎ、宵のうちから観測出来る。話題のSTBの小暗斑、mid-SEB outbreakによるSEB内の 白斑の連鎖、合体したと言われる永続白斑BEなど追跡したい現象が色々ある。
 土星は木星の後を追うように現れ、「おひつじ座」で十月25日に「衝」をむかえる。リングの傾き も戻り、土星らしい姿を見せている。今期は何か変事があるだろうか? 口径の大きな望遠鏡で、微 かな衛星達を予報を頼りに探すのも楽しい。
 金星は十月29日の「外合」に向けて太陽に接近中で観測は難しい。水星は夕空にあるが、低空で日 没時高度は10度以下の悪条件が続く。天王星・海王星は「やぎ座」にあって宵のうちの観測対象にな っている。

 今年は十月8/9日の「ジャコビニ流星群」の活動が予測されている。果たしてどの程度の出現を見せ るだろうか? 此方も楽しみである。