--- CMO #232 (25 June 2000) pp2751~2762 ---

▼巻頭は、1998/99 Mars CMO Note(10) 「下午のオリュムプス・モンス」 "Olympus Mons in the after- noon" である。070°Lsから130°Lsにかけて午後のオリュムプス・モンスにかかる山岳雲に関しての考察で、1997年、1999年の観測で季節的な範囲が観測出来ていた。この様な山岳雲の消長を解析する時に大切なのは、Ls値と火星の地方時を把握して比較することで、例として比嘉 保信氏の1999年の画像が取り上げられている。

▼次いで1998/99 Mars CMO Note(11)「アスクラエウス雲の消長」 " Trend of the Ascraus white cloud" が掲載されている。この現象は、アスクラエウス・モンスとオリュムプス・モンスの間の低地に、朝方に発生してとどまる低空の朝霧で、午後には消滅してして、山岳雲といれかわる。こちらも1997年、1999年の観測で捉えられていて、季節的なピークは095°Ls〜120°Lsにあろうとしている。ドン・パーカー(DPk)氏の画像を火星の地方時をそろえて引用している。

▼ LtEには、Robert SCHULZ (Austria), Sam WHITBY (VA, USA), André NIKOLAI (Germany), Gérard TEICHART (France), Giovanni DI GIOVANNI (Italy)の外国の諸氏と、中島守正(神奈川)、常間地ひとみ(神奈川)、伊舎堂弘(沖縄)、佐藤健(広島)、大澤俊彦(福岡)、比嘉保信(沖縄)の各氏からのお便りがある。

▼ 2000年の火星の合は7月1日 GMTであった。惑星と太陽の合の時にはLASCO画像の視野を通過していくのが見られる。Click CMO (16) は 常間地ひとみさんの紹介でSOHO衛星のColonal Mass Ejectionを捉えたLASCO画像を取り上げている。今回はSOHO衛星の撮影している様々な種類の画像の紹介が主題で、太陽活動のページへのリンクもある。

TYA(58)には、CMO#088 (25 June 1990)が取り上げられている。20年前の火星は「うお座」を順行していて、六月はじめに赤緯が北に入り、日の出時の高度も中旬には40度を越す様になって、日岐氏が観測を始めた。この号には、巻頭から10ページにわたり南氏の「観測野次馬帖」が掲載された。毎日40分毎の連続観測の意義、情報交換の必要性など、火星観測に対する所見が述べられている。また、「1988CMO観測ノート(13)」として、「マッキム氏の Syrtis Major の観測」がある。


村上 昌己 (Mk)