--- CMO #233 (25 July 2000) pp2763~2778 ---

 はじめには、1998/99 CMO Note (12) 「エリュシウム雲の消長」 "Clouds over Elysium Mons" が多くの画像を引用して構成されている。060°Ls〜160°Lsにかけて活発になるエリュシウム・モンスに午後に懸かる山岳雲の活動に関しての論攷である。1999年の火星の最接近は132°Lsであり、山岳雲の活動の後半がつまびらかになった。活動のピークの120°Lsの頃から160°Lsまでの観測結果がまとめられていて、この年には145°Ls〜150°Lsの間に、山岳雲の活動が非常に活動的な状況から急速に収束したとしている。

 LtEには、比嘉保信(沖縄)、佐藤健(広島)、常間地ひとみ(神奈川)、伊舎堂弘(沖縄)、阿久津富夫(栃木)、頼 武揚 (Taiwan)、Sam WHITBY (VA, USA), Brian COLVILLE (Canada) の各氏からのものが紹介されている。
 Click CMO (17) では、前号で予告したようにLASCO画像の視野を通過していく「合」の惑星の様子が常間地ひとみさんにより記されている。14July2000に起きた大規模なCME (Colonal Mass Ejection) の情報も含まれている。
 巻末近くにはには「福井だより」として、この年7月16日に起きた圓圓的月の濃い皆既月食にまつわる話(Ns氏の話もある)と、1954、1969、1986年の火星接近に関する話が2001年の期待と共に採り上げられている。 

 TYA(59)には、CMO#089 (25 July 1990) が紹介されている。当時の火星は「おひつじ座」に入り、赤緯も上がり夜半過ぎに出るとすぐに高度を上げていった。太陽との離角も大きくなり「西矩」直前となって、観測シーズンも本格的になり、報告者も増えてきた。七月末にはδ=9.1", λ=270°Lsに達していた。CMO#089の巻頭はJBAAのマッキム(RMk)氏の記事の紹介があり、「1990年の火星観測暦表(その3)」 浅田正氏、1988CMO観測ノート(14) 「11月上旬のM Acidalium上の白雲について」 南政次氏が続いている。

村上 昌己 (Mk)