CMO 2001 Mars Report - #05, Revised

2001年二月後半・三月前半の火星面觀測

16 February 2001 (118°Ls) 15 March 2001 (131°Ls)

 


東亜天文学会 火星課 『火星通信』 南 政


 

・・・・・・今回のレポートは16 February 2001 (118°Ls)から15 March 2001 (131°Ls)迄の一ヶ月の觀測を扱う。視直徑δ7.0"から8.8"まで伸びた。中央緯度φ9°Nから降り、4°Nを切った。位相角ι38°で、ここが極大である。以後圓へ戻って行く。視赤緯は落ち込んで、期間末は−22°近かった。
 15Marには火星の北(1°47')に下弦に近い月がやってきた。つまり火星は夜半に昇り、明け方には南中するということを別口で實感したということである。實際、9秒近くともなればヴェテランには最早佳境である。而も、季節は15Mar131°Lsであったから、1999年の衝の頃と同じとなっている。從って、これから前回の後半に入り、下りを昇る譯で、心機一轉である。

 こちらの季節もこの一ヶ月で急激に變わった。16Febには福井は雪の降った後で天文台の周りは白く、外は−3°Cまで下がったが、15Marには4°Cで寧ろ暖かであった。19Marには夜半9°C、朝方5°Cで春の到來を感じる。公園の樹の雪吊りがはずされている。これからは随分と楽になるであろう。

・・・・・・今回報告を頂いた觀測者十三名と報告數147は次の通りである。

     AKUTSU, Tomio 阿久津 富夫 (Ak)  栃木・烏山 Karasuyama, Tochigi, Japan
            1 Sets of CCD Images (12 March 2001)  f/60 32cm spec equipped with a Teleris 2
 
     HERNANDEZ, Carlos E カルロス・ヘルナンデス (CHr) 佛羅里達 Miami, FL, USA
            1 Set of Drawings  (6 March 2001)  410, 470x 20cm SCT
 
     HIGA, Yasunobu 比嘉 保信 (Hg)  那覇 Naha, Okinawa, Japan 
           26 Video Images (18, 19, 21, 27 February; 2, 5, 6 March 2001) 
                                      25cm F6.7 spec equipped with Sony VX-1000 
 
     ISHADOH, Hiroshi 伊舎堂  (Id) 那覇 Naha, Okinawa, Japan
      12 Drawings (18, 19, 21 February; 9, 14 March 2001)  400, 530x 31cm speculum
 
     MELILLO, Frank J  フランク・メリッロ (FMl)  紐約 Holtsville, NY, USA
            1 CCD Image (19 February 2001)   20cm SCT equipped with a Starlight Xpress MX-5
 
     MINAMI, Masatsugu 南 政  (Mn)  福井 Fukui, Japan
           53 Drawings (16, 17, 19, 20, 22, 26 February; 2, 11, 13, 15 March 2001)
                                          375,400,480,600,630x 20cm refractor
 
     MORITA, Yukio 森田 行雄 (Mo)  廿日市 Hatsuka-ichi, Hiroshima, Japan
           18 Sets of CCD Images (19, 20, 22, 26 February; 8, 10, 11, 15 March 2001) 
                                     f/50 25cm speculum equipped with an ST-5C
 
     MURAKAMI, Masami 村上 昌己 (Mk)  藤澤 Fujisawa, Kanagawa, Japan
            8 Drawings (16, 18, 21, 22, 26 February; 13 March 2001) 320,425x 20cm speculum
 
     NAKAJIMA, Takashi     (Nj)  福井 Fukui, Japan
            7 Drawings (22 February; 13 March 2001)  375,400x 20cm refractor
 
     NISHITA, Akinori  西田 昭徳 (Ns)  福井 Fukui, Japan
            3 CCD Images  (13, 15 March 2001)  f/190 20cm refr equipped with an Apogge AP7p
 
     PARKER, Donald C ドナルド・パーカー (DPk)  佛羅里達 Miami, FL, USA
            6 Sets of CCD Images (27 February; 1, 4 March 2001)  
                                    f/55, 62  41cm speculum equipped with a PixCel 237 camera
 
     PEACH, Damian A デミアン・ピーチ (DPc) ノーフォーク King's Lynn, Norfolk, UK
            1 Drawing (8 March 2001)  405x 31cm Meade SCT
 
     WASIUTA, Myron E  マイロン・ワシュータ (MWs)  維吉尼亞 VA, USA
           10 Drawings (18, 24, 27 February; 1, 10, 12 March 2001)
                                       360x 31cm speculum/360,440x 16cm refractor
 
                                                             福井市自然史博物館天文臺 

 

 

・・・・・・・・ この期間の觀測


 16Feb(118°Ls)から22Feb(121°Ls)の七日間、日本のメンバーが密度好く聯續して觀測し、ω=034°Wからω=130°Wの範囲で五十五の觀測をこなしている。
 16Feb(118°Ls)にはMnω=111°Wから開始、南端が大きく白く、既にφ9°Nであるから南極雲であろう。ソリス・ラクスの邊りは充分濃く、クサンテ-タルシスが夕端で白く明るい。北極冠もしくはその周邊が像の北端でこれも白くこぢんまりとして明るい。ニロケラスに續くアスクラエウス・ラクス方向は赤黒く薄暗い。ω=130°Wまで觀測、ω=121°Wではアルギュレが分離したかに見える。この日Mk氏がω=123°Wの觀測を初登録した(δ=7.1")が、初觀測は4Jan(099°Ls)で、実際には六枚目のスケッチである。南極域の明るさとそれに接する暗帶を見ている。
 17Feb(119°Ls)にはMnω=121°Wで觀測、クサンテは然程ではない。
 18Feb(119°Ls)には沖縄が晴れた。Hg氏がω=092°W102°W111°W121°Wでヴィデオを撮り、Id氏がω=112°W121°W131°Wでスケッチした。Id氏は夕端にクサンテ-タルシスの霧を濃く感じ、二つに分けて觀ている。マレ・シレヌムを朝方に捉え、その南はやや白く明るい。北極冠はどれにも出ている。Hg氏の像は南端とクサンテ-タルシスの白雲、それに挾まれてソリス・ラクスの暗部を捉えている。
 19Feb(120°Ls)にはMnω=063°Wからω=111°Wまで+10°W毎、Hg氏のω=082°W092°W104°W111°Wの觀測とほぼ一致、Id氏がω=105°W114°Wで觀測し、Mo氏がω=105°W で撮像した。Mnの前半では北極冠は明瞭、反對の南極雲はまるでトビ出すよう、アウロラエ・シヌス邊りは青黒いが、マレ・アキダリウムなどはやや淡く褐色系。クリュセ-クサンテはO56でも明るく、ω=102°Wでは輝きを増した。Id氏はω=105°Wでクサンテと獨立してアスクラエウス・モンスを白斑として見ている様だ。北極冠もくっきりしている。Mo氏のω=105°Wの像でもクサンテ-タルシスは明白で、二つに分かれているように見える。但し、Id氏と同じ角度かどうかは難しい。Rでも出ているのが特徴。Hg氏の像は前日の角度を押さえていて、違いがない。ω=092°Wではクリュセからの白霧の流れを出している。

 20Feb(120°Ls)にはMnω=053°Wからω=102°Wまで觀測、この日はシーイングが冴えず、マレ・アキダリウム邊りがマレ・エリュトゥラエウムやアウロラエ・シヌス邊りより遙かに淡く見え、クリュセ-クサンテも白く明るいが、安定しなかった。ω=092°Wでは夕端でクサンテが白い。この日Mo氏がω=091°W095°Wで撮像、矢張りクサンテとこれに續く領域内に白斑が別れて冩っている。Rで暗色模様より白斑の方が明白で奇妙な感じになっている。

 21Feb(121°Ls)にはHg氏がω=053°W073°W083°W092°Wで追跡、Id氏がω=076°W085°W095°WMk氏がω=078°Wで觀測した。Id氏はクリュセからタルシスに掛けて、明るい夕霧のせり出しを見ている。南端は寧ろ鈍いとする。マレ・アキダリウムも鮮明でない。Mk氏は南端は青白く、北極冠は白く捉えているが、クサンテには然程強く感じない。Hg氏の像ではω=073°Wから好くなり、ω=083°W邊りでは南端とクサンテの明るさが明瞭である。

 22Feb(121°Ls)にはMo氏の20Febの影像のこともあり、マレ・アキダリウムとクリュセに注目して福井ではNj氏と筆者はω=034°Wからω=083°Wまで觀測した。シーイングは好転し、マレ・アキダリウムは充分な濃度を見せていた。ω=044°Wでは正常で、その西側のテムペがピンク色という記述がある(Mn)。但しマレ・アキダリウムよりマレ・エリュトゥラエウム周邊の方が濃い。クリュセ東方には白斑のコアがあるようだが、ω=034°Wの觀測では縁以外に内部に明斑があるようには見えなかった。ω=054°W邊りでは夕方のクリュセから朝方のタルシスまで帶状に明るく(R60O56G)、タルシス側の方がやや黄色い。ω=063°W以降はマレ・アキダリウムは褐色系で淡化し、そこから西は大きく赤暗くなる。この日南極雲はまるく明確だが、やや鈍く内部は一様ではなかった。ω=073°Wでは、クリュセ-クサンテが夕端で白い(然程の明るさではない)Mk氏はω=056°W066°Wで觀測、マレ・アキダリウムは矢張りマレ・エリュトゥラエウム邊りに比べて弱く、後半更に淡くなる。クリュセの夕霧は西へ伸びて行かない、という風に觀測している。南極域は青白い。

 この日のMo氏のCCD像は興味深いものでω=070°W075°W080°Wで撮られ、早くからInternetに掲載した。RGではクリュセ-クサンテが蚯蚓腫れのように蛇行し、ω=080°Wでは、斑点に分離する。Bでは南端とクサンテが明るく出ている。

 これらのMo像については、Mo氏だけでなくMk氏、Id氏、Ns氏等ともemailで議論し、未だ確定ではないが、三つの斑点は一つはテムペ、後はオピル、クサンテの凝縮したものではないかと思われる。この内テムペはBでは出ない。ということはテムペが赤い地の色をしており、霧が存在しないことを意味する。それに對し、オピルには霧が入り、クサンテも砂塵を含んだ白雲である事を意味していると思う。Id氏は21Febにおいて、色彩について記述をしなかったが、白色か灰色であったからという述懐である。Id氏が霧というとき黄塵を意味しない。
 この點については再度後述するが、クリュセが午後明るく輝くことは好く知られたことであり、1999年にはこの時期衝の直前で矢張り似たような現象が見られ、クリュセ域やクサンテ域にコアが觀測されたが(筆者の觀測では16Apr1999(125°Ls)ω=048°W21Apr1999(127°Ls)ω=044°Wなど)、今回も然程の違いがなく、クリュセ-クサンテは細かな砂塵混じりの白雲であろう。このあたりの觀察は1999年には最大視直徑邊りで行われており、#215 邊りの記述が參考になろう。尚、南極雲の動きについても1999年は「Mk氏のタウマジア雲」として#216 などに記述が見られる。

 この間、アメリカでは18Feb(120°Ls)にワシュータ(MWs)氏がω=306°W316°Wで觀測し、濃いシュルティス・マイヨルと明るいヘッラスを追っている。北極冠も検出しているようだ(#240LtE)。また、19Feb(119°Ls)にはメリッロ(FMl)氏がWr#25像をω=313°Wで得ている。シュルティス・マイヨルと北半球に暗色模様が見えるが、ヘッラスは痕跡もない。

 日本では26Febに天候が回復した。Mnω=346°Wから+10°W毎、ω=047°Wまで。前半はシーイングは良好(外は−2°C)で、17:40GMTの最初からシヌス・サバエウス、マレ・アキダリウムは明確、ヘッラスは見られないが、南端はときどき鋭く白い。R60でも明るく見える。そしてクリュセがf端で白く明るいが、端に殘り、次第に輝度は落ちる。最終的に内部で然程の明るさはない。北極冠も端で薄っぺらだが明白である。Mk氏がω=028°W037°Wで觀測、夕端に淡い白味、クリュセに伸びる。南半球の暗色模様よりマレ・アキダリウムの濃度は落ちる。テムペがやや明るい。Mo氏はω=029°W037°W041°Wで撮像:Rでは南半球の暗色模様が濃く落ち込み、マレ・アキダリウムも濃く、夕端からクリュセに掛けては蚯蚓腫れの霧の連鎖である。Gでも出ている。Bでは然程ではない。
 27Feb(123°Ls)にはHg氏がω=357°W006°W016°W025°Wで像を揃える。クリュセクサンテがf側で非常に白く明るい。マレ・アキダリウムの南まで伸びているが、朝霧は縁に貼り附いて自轉と共に附いては來ない。このf霧の状態は位相角ι30°のころの強い偏光効果によるもので、1999年とは比較出來ない。Hg氏からは静止畫像も頂戴しているが五十七枠のステライメージ合成である。

 この間24Feb(122°Ls)にはMWs氏がω=278°Wでシュルティス・マイヨルを描き、ヘッラスが明るい。薄明の中の觀測(11:30GMT)。また、27Feb(123°Ls)にはMWs氏がω=235°W245°Wでスケッチ、Wr#80Aでエリュシウムの明部とアエテリアの暗斑を見ている。また南極雲の中で朝方が明るい、とする。ヘッラスであろう。但し、朝方のシュルティス・マイヨルを見逃している。肉眼の特徴。同日、パーカー(DPk)氏が殆ど同時刻ω=236°W247°Wで撮像、エリュシウムがRでもBでも明るく、朝方のヘッラスが眞っ白だが、南極雲は然程でない。シュルティス・マイヨルは蒼色。ヘスペリアが切れ上がる。ケブレニアもやや明るく、ウトピアが明確、北極冠の邊りにボケ。

 1Mar(124°Ls)にもMWs氏がω=211°W220°Wでスケッチ、朝方のヘッラスを見ている。

 DPk氏は同日ω=186°W209°W223°Wで教育的なシリーズを作った。描冩力は27Febの像と同じだが、エリュシウムが午後深くなるほど雲が強くなること、シュルティス・マイヨルやヘッラスがどの様に現れるか、などを示している。
 ω=186°Wの像ではι=38°を考慮すると、エリュシウム・モンス(Ω=211°W)n線から13°午後(0:50PM)であるが、エリュシウムは然程白くない。然し、80分後、160分後には眞っ白になる。一方シュルティス・マイヨルはω=209°Wで現れ始めている。筆者の1999年衝前の經験では31Mar1999(δ=13.8")ω=212°Wで見ている程度であるから、これはCCD分解の強さである。ω=223°Wでは蒼いシュルティス・マイヨルが明確である。ヘッラスも同じように現れている。南極雲そのものは強くないことも最初のイメージで分かる。ウトピア北には北極冠の周りに可成りヘーズが出ていて、Rでも平たく大きく明るい。R像には、プロポンティスI、プレグラ-ケルベルス、アエテリアの暗斑が1999年と同じように出ている。プレグラが赤黒く幅廣く走る。

 2Mar(125°Ls)には日本からヘッラスが見えてきた。Mnω=317°Wからω=006°Wまで觀測、ヘッラスはω=337°Wで少々殘り、ω=346°W迄に見えなくなったが、逆に次第に南極雲が見えてきた。クリュセ午前霧も次第に強くなっていった。アエリアの夕霧と繋がっているかも知れない。マレ・アキダリウムも正常に次第に濃く出現してきた。北極冠は明白である。Hg氏はω=331°W341°Wでヴィデオ、この範囲ではクリュセは然程明るくない。
 4Mar(126°Ls)にはDPk氏がω=197°Wで撮像:エリュシウムは白く、その中でアエテリアの暗斑が蒼く濃く見える。午後1:40LMTぐらいである。
 Hg氏は5Mar(126°Ls)ω=299°Wでヘッラスを青白く表現した。シヌス・サバエウスも見えている。
 更にHg氏は6Mar(127°Ls)には17:40GMTから21:29GMTまで、ω=272°Wからω=328°Wまで+10°W毎に纏めた。矢張り、後半が好くなる。ヘッラスは次第に隠れ、最終的にはクリュセがf端で白く出ている。 6Marにはヘルナンデス(CHr)Hg氏より早くω=175°W邊りでスケッチを取った。
 8Mar(127°Ls)にはピーチ(DPc)氏がω=066°W(4:50GMT)でスケッチした。南半球の暗色模様とマレ・アキダリウムに挾まれて、クリュセ-クサンテが明るい。南極雲も出ている。ときにWr#21使用。日本ではMo氏がω=288°W298°Wで撮像、GB光ではヘッラスが明るい。R光でシュルティス・マイヨルが出ているが、ヘッラスは出ていない。但し、これはシーイングの問題。
 9Mar(128°Ls)にはId氏が出張から戻り、ω=293°W(21:00GMT)307°Wで觀測、ヘッラスが輝くほど明るい。前者ではリビュアが明るく、後者ではシヌス・サバエウスも検出。
 10Mar(128°Ls)にはMWs氏がω=118°W(9:40GMT)で觀測、タルシスが夕端で明るい。日本ではMo氏がω=279°W284°Wで撮像、シュルティス・マイヨルが眞ん中、ヘッラスはBGRの順で明るい。

 11Mar(129°Ls)には先ずMo氏がω=262°W269°W273°Wで撮像、最初の像が好く、朝方のヘッラスがRでも綺麗である。Rでケブレニアが見えている。ウトピアの暗部も出ている。エリュシウムはBで明るいが、カラー合成では夕方に白く現れる。
 福井では殆ど同時刻ににはMnω=266°W276°W286°Wで觀測、安定した像でヘッラスが青白く明るく、その境界がくっきりしている。但し、ω=276°Wでヘッラス内は夕方の方がより輝き、朝方は境界も含めて少し惚けている。エリュシウムが當初p端に少し見え、北にはウトピア-カシウスが明確。シヌス・サバエウスが出て來ている。北端は明るい。
 12Mar(129°Ls)にはMWs氏がω=103°Wでスケッチ、矢張りタルシスの夕雲であろう。また、Ak氏がω=256°Wで撮像、ヘッラスの存在が分かるが、シュルティス・マイヨルが出ていない。シーイングが悪いようであるが、觀測がトンで、集中力が缺如しているのか、南北線の割り出しもおかしい。
 13Mar(130°Ls)には福井で三者(Nj,Ns,Mn)揃い踏みで、ω=199°Wからω=262°W迄をカヴァーした。ω=205°W邊りから南極雲が白く明るくなる。ω=218°Wではシュルティス・マイヨルが入ってきているはずだが、未だ視直徑の所爲で検出できない。然し、ヘッラスの出現は検知できる。エリュシウムはやや明るい程度だが、プレグラ-ケルベルスとアエテリア暗斑が明確、ケブレニアもやや明るい。ウトピアは朝方でやや煙っている。ω=228°Wではシュルティス・マイヨルは見えている。ω=238°Wでは朝方のヘッラスは南極雲の殘りよりワンポイント明るい。マレ・キムメリウムからアエテリアの暗斑に掛けて蔭影が走っている。ω=252°Wではヘッラスが南端で大きく支配、白いエリュシウムがp端に掛かる。

 この日Ns氏はシュルティス・マイヨルの出ている内にということで、アポジーの試冩を行なった。フィルターを使っていないから、背面照射の特長を生かしていないが、ω=248°W259°Wの像は直接畫面上でも模様は見えた。轉送速度は速くないが、二十分の間に可成りの像が撮れる。畫像處理でエリュシウムとケブレニアがやや明るく捉えられ、アエテリアの暗斑は見事である。ヘスペリアも苦しいところで出ている。ヘッラスはR像と同じ程度に出ているであろう。
 この日Mk氏がω=199°W208°Wで觀測している。經緯臺だから、後の追跡が出來ないのは氣の毒であるが、出來るだけファインダーや目測などを使って延ばすように。Mk氏はp方向を丁寧に分度器で出しているが、南極雲などの傾きがヘッラスの影響を受けて少し氣になる。DPk氏の1Marω=209°W4Marω=199°Wがあるから比較するとよいでしょう。CCDでは南極雲は弱いが、肉眼では南極雲からヘッラスを選別する方が寧ろ難しいから、全體傾きが弱いはずである。
 14Mar(131°Ls)にはId氏の空は快晴だった由で、(寝過ごして)ω=250°W260°Wでスケッチ、ヘッラスまるく明るく、ヘスペリアが切れ上がり、エリュシウムが夕端で明るい。ウトピアのとんがりは明確。北極冠は薄く目立たない。Id氏の模様の配置はまだ有機的でない感じ。
 15Mar(131°Ls)にはMnω=180°Wからω=248°Wまで觀測、エリュシウムの出現から夕方までの經度を追跡した。プレグラ-ケルベルスが明確で、ω=199°Wからはアエテリアの暗斑が見える。南極雲はこの邊りまで白いが然程明るくはない。ω=218°Wからはヘッラス効果が現れている。北極冠は小さいが明らか。ω=238°Wでは、アエテリア暗斑とマレ・キムメリウムが蔭影で聯絡する。ケブレニアも見える。

 同日、Mo氏はω=230°Wω=237°Wで撮像、ω=233°Wの像が優れている。R光でエリュシウムとケブレニアが出ているが、GBではエリュシウムのみが明るい。アエテリアの暗斑が明確で、マレ・キムメリウムと淡く繋がっているように見える。Bではf側が明るく、その爲シュルティス・マイヨルがカラー合成で青く出る。ヘッラスの描冩も見事だが、その東の南極雲が朱色になるのはBが弱いからか。
 福井ではNs氏はω=234°Wで撮像、フィルター無しで、エリュシウムとケブレニアがやや明るく出ている。リビュアも少し明るいが青色光で撮るのに絶好の角度である。尚、南北線は像の大事な基本的な要素で、勝手に決めてはいけない。


・・・・・・幾つかコメントを記述:
1) ヘッラスの課題觀測は既に始まっているが、Id氏の9MarMn11Mar128°Ls129°Lsであって、季節は例えば1999年の最接近と重なっている。今回などヘッラスの南中時の輝きは可成りのもので、たぶん何れの觀測でもそういう結果が出るであろうと思う。しかし、1999年の29Apr(131°Ls)30Apr(132°Ls)の觀測によると、ヘッラス内に模様が見えるのであって、全面的に「眞っ白」な譯ではないのである。この違いは視直徑(解像力)による明度の違いによって起こるのであろう。次回は簡單に片附けないで矢張り内部を好く觀察して欲しい。1999年に觀測を済ませているのだから今年の觀測は不要などと野暮なことは考えないように。火星年が違うことは重要な事である上、φが違い、今年の方が大切なのである。

2) これは畫像處理の問題にもなるが、視直徑に依って(同様に解像力に依って)光斑の描冩は換わるであろう。1Mar2001(124°Lsδ=7.8")DPk氏のエリュシウム・モンスの描冩は、例えばCMO#1233p2766掲載の24Apr1999(129°Lsδ=16.0")DPk氏のエリュシウム・モンスより大き目であろう。平たく言えば、當然締まりが悪いのであるが、この邊りをリアルに再現する處理なども今後は必要であろう。但し、畫像處理で締めればいいということではない。尚、肉眼でも(ヘッラス同様)幻惑が起こる譯で、エリュシウムの廣さとエリュシウム・モンスの締まりには區別が必要である。

3)今回の森田行雄氏の22Feb等の興味のあるR像については、畫像プロセスなど報告を受けているし、Mo氏はpf線も出しているので、今後の検討課題である。ただ、一般的に言って、CCD像については意味のあるゴーストと意味のないゴーストがあるから、ゆとりのないCCD像からの結論は眼視觀測からの判断も含めて多角的でなくてはならない、という點は忘れてはならない(忘れているのは他のグループだが)

 


・・・・・・次回は16 Mar 2001 から15 Apr 2001 までの觀測をレヴューする。觀測〆切後早めにお送り下さい。郵送とは別にemail/faxでデータと概要をお知らせ下さい。尚、報告されるCCD像などはCMO-InternetGallery頁に本誌發行前から速報されますので、これも早めにお送り下さい。


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