CMO 2001 Mars Report #14

2001年八月前半の火星面觀測

1 August 2001 (206Ls) 15 August 2001 (214Ls)


OAA東亜天文学会 火星課 『火星通信』 南 政 次 


 

・・・・・・この間、火星の視直徑は17.0秒角か15.2秒角に落ちた。季節は206Lsから214Lsに進んだ譯だが、現在は黄雲に覆われて季節感がない。ただ、着實に南半球では太陽の高度が上がっている(Dsで言えば11Sから14S)。中央緯度 φ 7Nから5Nへ落ちた。位相角 ι 35から40へと闕が強くなっている。南極周邊は白夜なのに對し、北極周邊は闕部に没っしている。

・・・・・・今回の觀測報告者と觀測日、觀測數は次のようである。

AKUTSU, Tomio 阿久津 富夫 (Ak) 栃木・烏山 Tochigi, Japan

2 Sets of CCD Images (3 August 2001) f/70 32cm spec with a Teleris 2

 

BARNETT, John H ジョン・バーネット (JBn) 維吉尼亞 VA, USA

2 Drawings (22 July; 3 August 2001) 270, 360x 18cm refractor$

 

BIVER, Nicolas ニコラ・ビヴェール (NBv) Versailles, France# / Noordwijk, Netherlands

6 Colour Drawings (1, 5, 9, 11#, 12#, 14 August 2001)

300x 20cm spec / 330x 26cm spec#

 

CAVE, Thomas R トマス・ケーヴ (TCv)  長堤 Long Beach, CA, USA

1 Drawing (5 August 2001) 400x 33cm speculum

 

HEATH, Alan W アラン・ヒース (AHt) ノッティンガム Nottingham, UK

1 Note (1 August 2001) 160, 8020cm SCT

 

HIKI, Toshiaki 日岐 敏明 (Hk) 長野・箕輪 Minowa, Nagano, Japan

5 Drawings (3, 9, 13 August 2001) 430x 22cm speculum

 

ISHADOH, Hiroshi 伊舎堂 (Id) 那覇 Naha, Okinawa, Japan

10 Drawings (48, 10, 11, 13, 14, 15 August 2001)

290, 340, 400x 31cm speculum

 

ISHIBASHI, Tsutomu (Is) 相模原 Sagamihara, Kanagawa, Japan

3 Colour Images (23, 30 July; 3 August 2001) 31cm f/6.4 spec, Fujichrome 400F

 

KUMAMORI, Teruaki 熊森 照明 (Km) Sakai, Osaka, Japan

2 CCD Colour Images (11, 13August 2001)

20cm Dall Kirkham / 65cm Zeiss refractor with a Sony PC-5

 

MELILLO, Frank J フランク・メリッロ (FMl) 紐約 Holtsville, NY, USA

3 CCD Images (1, 9 August 2001) 20cm SCT with a Starlight Xpress MX5

 

MINAMI, Masatsugu 南 政 (Mn) 那覇 Naha, Okinawa /福井 Fukui*, Japan

83 Drawings (111, 13*, 14*, 15* August 2001)

   420, 53025cm speculum / 400, 60020cm refractor*

 

MOORE, David M デイヴィッド・ムーア (DMr) 亞利桑那 Phoenix, AZ, USA

3 Sets of CCD Images (3, 5, 6 August 2001)

                 f/40 36cm Cass with an Astrovid 2000 video camera

 

MORITA, Yukio 森田 行雄 (Mo) 廿日市 Hatsuka-ichi, Hiroshima, Japan

22 Sets of CCD Images (1, 3, 4, 8, 9, 1215 August 2001)

f/50 25cm speculum equipped with an ST-5C

 

MURAKAMI, Masami 村上 昌己 (Mk) 藤澤 Fujisawa, Kanagawa, Japan

4 Drawings (14 August 2001) 320x 20cm speculum

 

NAKAJIMA, Takashi (Nj) 福井 Fukui, Japan

18 Drawings (7, 13, 14, 15 August 2001) 400x 20cm refractor*

 

NARITA, Hiroshi (Nr) 川崎 Kawasaki, Kanagawa, Japan

5 Drawings (3, 4, 9, 14 August 2001) 320,400x 20cm refractor

 

PARKER, Donald C ドナルド・パーカー (DPk) 佛羅里達 Miami, FL, USA

1 Drawing (7 August 2001) 245x 41cm spec with filters: W25, 23A, 58, 15, 38A & IL

9 Sets of CCD Images (8, 9, 12, 13 August 2001)

f/36, 44.2 41cm Newtonian equipped with a Lynxx PC

 

SCHMUDE, Richard W, Jr リチャード・シュムード(RSc) 喬治亞 GA, USA

9 Drawings (22, 23, 31 July; 2, 3, 4, 7, 9, 13 August 2001) 230, 209x 10cm refractor

 

TAN, Wei-Leong (WTn) 新加坡 Singapore

14 Sets of CCD Images (5, 6, 12, 13 August 2001)

f/16 28cm SCT equipped with an ST-7E

 

TEICHERT, Grard ジェラール・タイシェルト (GTc) Hattstatt, France

6 Drawings (1, 1115 August 2001) 330, 310x 28cm SCT

 

TSUNEMACHI, Hitomi 常間地ひとみ (Ts) 沖縄 Naha, Okinawa, Japan

24 Drawings (14 August 2001) 420, 530x 25cm speculum

 

VALIMBERTI, Maurice モーリス・ヴァリムベルティ (MVl)

澳大利亞 Viewbank, Victoria, Australia

4 Sets of RG(IR) Images (13 August 2001)

f/85x 15cm refra with a TC245 based camera

 

$ Richmond Astronomical Society Ragland Observatory

京都大學飛騨天文臺 Hida Observatory, Kyoto University

*福井市自然史博物館屋上天文臺 Fukui City Observatory

黄雲と暗色模様:

 

 日本からはこの期間ω=315Wから東回りで、ω=110Wまで觀測出來たが、この間、黄雲の擴がりは持續して、退潮の兆しは殆ど見えていない。ただ、後半若干暗色模様が一ヶ月前よりもやや好く透けて現れているかも知れない。問題になる暗色模様を採り上げてみる。

マレ・キムメリウム
 マレ・キムメリウムの西部が一旦黄雲で消えた後、大きな暗斑として大バケする様子はMo氏の1July4Julyω=211W 邊りの像で比較して證明した(#248 p3071)訳だが、この暗斑はDMr氏の27July(34)ω=226Wでも安泰であることを前號で示唆した。この角度邊りが日本から見えたのは5Aug(43)邊りからで、沖縄(Mn)では10:50GMTω=220Wであった。やや、マレ・キムメリウム東部も回復して、Ω=210W邊りの凹みを持った二つ玉になっていて、DMr氏の像に近いと感じた。Mo氏の1~4Julyの角度(#248 p3071)は筆者(Mn)10Augまで聨續して觀測出來たが(6Aug10:50GMT ω=211W7Aug11:30GMT ω=212W8Aug 12:10GMT ω=212W9Aug 12:50GMT ω=213W10Aug13:30GMT ω=213W、そして11Augは伊舎堂天文臺で14:10GMTω=213W)8Aug(46)迄は殆ど同じ配置、9Aug(47)から少し様子が變わり、マレ・キムメリウムが回復しているように思われた。11Aug(49)の角度はであるが、マレ・キムメリウム西部の暗斑は最早強くない。Mo氏は重要な8Aug9Augω=222Wで像を得ている。前者はDMrに近い。一方、新加坡のWTn(陳韋龍)氏は12Aug(50)にはω=178Wから230Wまで撮像し、ω=224Wの像があり、これには既にマレ・キムメリウムが均されてきて居るのがよく出ている。29June以來のマレ・キムメリウムのΩ=210W邊りの凹みは弱くなっている。この部位については、Id氏が4Aug(42)ω=250Wなどで、まだ特に明るく捉えて新たな黄塵としているが、前後の觀測と比較しなければならない。

マレ・シレヌム:
 同じ頃からマレ・シレヌムの一部が回復して見えている。然し、10Aug(48) ω=194Wにはその南のエレクトリスに光斑があって、まだ大陸では黄塵活動が續いている。12AugWTn氏のω=193Wと比較できる。

オリュムプス・モンス:
 オリュムプス・モンスは暗色模様ではないが、周りの黄雲の明るさによって暗點の様に見えるのであるが、今回も健在であった。那覇では9Aug(47)から見え始めた(ω=193W)が、本土はもっと早いであろう。11AugにはId氏がω=206Wで捉え、12Augには、Mo氏がω=190Wで、WTn氏がω=193W迄、13AugにはKm氏が飛騨でω=139Wで、Hk氏がω=153Wなどで、Mo氏はω=165Wで像を得ている。澳大利亞のMVl氏はω=122W170Wで撮像、G像でも綺麗に出ている。Mk氏は14Aug(52)ω=122Wから151Wまで追い、Mo氏はω=144W168W で撮像した。筆者13Augから福井へ戻っての觀測だが、Nj氏と共に14Aug(ι40)にはω=117W(9:30GMT)からω=176W(13:30 GMT)まで常時チェックできた。朝から褐色系の暗斑は見えるが、實はCM通過後の方がクッキリし、ω=146W邊りではまるで水星の凌日(日面通過)を見ている様で見事であった。然しこの時點でも地方時は午前10時頃である。Mo氏の場合もω=150W邊りでクッキリする。同日Id氏はω=142Wで見ている。この邊りでは圓形だが、13Augω=178Wでは少し楕圓に見えるそうである。一方、アルシア・モンスは正常と思われるが、アスクラエウス・モンスは今回は前回より淡かった。黄雲の高さに依るか。15AugMo氏、Nj氏、Mnなどの觀測がある。尚、14AugId氏に依れば、透明度が好かったようであるが、福井も沖縄ほどではないが然りで、久しぶりで七月始めに見たbright-yellowの輝きが全面を覆っている様が見られた。Km氏に依れば高山が豪雨だった夜である。

唐那・派克氏の像で
 ここに來てDPk氏は流石、底力を見せている。8 Aug 210Ls46) ω=047W/050W066W /067W077Wの像は、將來マレ・エリュトゥラエウムからアウロラエ・シヌス、ソリス・ラクスに掛けて低空の黄雲と暗色模様の配置關係を調べるとき必ず重要になる影像であろう。12 Aug (50)ω=022W027W13Aug ω=359Wなどにはシヌス・メリディアニ、マルガリティフェル・シヌスがうっすらと見えている。然し、7July(16)DPk氏によるシヌス・メリディアニに比べると未だ未だ淡い。

北 極 雲:


 北半球の秋分が過ぎて北では太陽の高度が低くなった(北極は陽の目を見ない)所爲もあると思われるが、北極雲の輝きが七月下旬から落ち始め、内部構造も見られたが、八月に入ると、内部にはある程度の激しい活動が見られるものの、更に弱く感じる様になった。この點はIdHgTs氏などと那覇でよく話題になった。1Aug(206Ls39)には日本からシュルティス・マイヨル邊りが見えていたが、ウトピアが濃く大きく見え、北極雲を分断するような形であったことにも既に現れている。實はウトピアは26July(33)頃から中央近くで捉えられ、その邊りで透けていて北極雲が毎日形を變えたことが觀察された。筆者(Mn)の觀測では30July ω=298W31July ω=299W1Aug ω=297Wを比較するとその違いが分かる他、Ts氏の觀測では30July4Aug(一週間)におけるω=274W/273Wでの觀測を比較することが出來る。2Aug(40)には北極雲が淡いという感覺である。3AugにはHk氏がω=244W/253Wで、北極雲は目立たず活動が鈍いとし、Ts氏も最初のω=254W以降北極雲が淡いとしている。Id氏は4Aug(42) ω=250Wで北極雲が暗い、5Aug(43) ω=245Wで青白いが明るさは落ちているとしている。以後同様である。尤も2Augでも後半朝方に明るい部位があったし、3Aug ω=278Wではやはり朝方周邊部がかなり明るかったが(Ts氏はω=264W/274Wで既にこの北極雲の二重構造を指摘)、全體として内部で分裂傾向であった。9Aug(211Ls47)にはω=223W232W邊りで朝方の北極雲が南に大きく張り出していたが、淡く、張り出し部分はやや黄色みを帶びていた。衰退は部位によって違う爲、單純ではないが、Mo氏の像を並べても、七月下旬に比べて全體的に衰退傾向はあると思われる。Mo氏の8Aug(210Ls46)ω=223WRGB像でも北極雲は淡い。同日8 AugDPk氏の像(ω=047W067W077W)は特に秀逸だが、最早北極雲は均一分布でなく、朝方の周邊部に大きな雲塊、またマレ・アキダリウムの直ぐ北に小さな塊が見られ、他は淡い。後者は北極冠の様な形を成すが、北極冠は今は闇の中である。9 Augにはω=043Wの像があり、雲に異同がある。φ6N

 

北極雲の暗帶の變化:


 北極雲が活動的な期間は、北極雲の周りの暗帶(多くは暗色模様)は青黑く可成りの濃度を保っていたが、矢張り北極雲の不活性化に呼應して暗帶の濃度も落ちてきた。4Aug(208Ls42)には可成り不鮮明で、その後部分的に濃度の高い部位が現れるが、全體を支配することはなかった。逆にこの爲、東西線の割り出しが難しくなった。

 

南極冠と朝雲:


 1Augφ=7Nで、然程の傾きではないが、南極冠はこの時期不明確であった。p2953の予想圖に比べると餘程の違いである。ただ特徴的なのはその朝方に出る朝霧か朝霜が可成り長く見られたことで(前號)、本質的には26June(185Ls)HSTの影像に見られるものと本質的に同じだが、實は17June(180Ls) ω=326W18June ω=340WMVl氏の良像では幽かで、黄雲發生時のこちら側の影像には然程強くない。然し、筆者の觀測では7July(191Ls14)邊りから見え始め、9July(16)から常時顕在化した。Mo氏の7910 Julyccd像でも證明出來る。4July迄は出ていない。黄雲が全球化して、13 July(20)DPk氏の像(シュルティス・マイヨル中心)には明在化している。七月下旬にはこの明部の縁を濃い暗帶が囲んでいるのが見られる程であった。前號で述べたようにデプレッシオネス・ヘッレスポンティカエに接してる時の色合いは似ているので、一部霜の如きであったかと思われる。
 この朝雲/霜は1Aug(39)にはまだ強く殘っていた(TsMoMnなど)3AugAkω=244W253Wや、Mo氏のω=272W等にもよく出ている。Ts氏のスケッチにも健在で、これは滞在最後の4Augも同じ。然し、その後やや弱くなって來た。Id氏は4567Augと次第に弱く描くようになり、10Aug以降はほとんど描いていない。筆者も8Aug(210Ls46)邊りから確認出來ない場合が出て來ている。但し10Aug(48) ω=213Wではまだ暗帶を伴って見えている(Mn)Mo氏のB像でも8Aug邊りから弱くなり、12Aug(50)邊り以降は見えなくなった。また、6AugDMr氏のω=113Wにはやや見られ、DPk氏の8 Augの像には小さく見られるが、12 Augなどには見られなくなっている。これは七月初めの黄雲の安定と共に顕在化し、北極雲と同じように45日~50日で衰退したように見える。 尚、DPk氏の8 Aug9 Augの畫像に依れば、南極冠の外側に白片が見られる。位置はΩ=030W040W邊りか。

 


・・・・・・追加報告:  次のように追加して報告があった。

ISHIBASHI, Tsutomu (Is) 相模原 Sagamihara, Kanagawa, Japan

8 B&W Photos (13 April; 12, 13, 20 May; 2, 27, 28 June 2001)

31cm f/6.4 speculum, HIE, NP400P, TP

 

PARKER, Donald C ドナルド・パーカー (DPk) 佛羅里達 Miami, FL, USA

4 Sets of Drawings (25 June; 8, 9, 12 July 2001) 325, 340, 430x 41cm speculum

 

VALIMBERTI, Maurice モーリス・ヴァリムベルティ(MVl) 澳大利亞 Victoria, Australia

3 Sets of CCD Images (17, 18 June 2001) f/82 15cm refractor with a Cookbook TC245

・・・・・・Is氏の27June ω=250W28June(4) ω=245WTPHIE(IR)像はccd全盛の時に最後の多分記念碑的な2001年黄雲の乳剤写真になる可能性がある。

 DPk氏の8July(16) ω=010W9July(17) ω=334W(1:45GMT)はシヌス・メリディアニが黄雲に覆われる前後のスケッチである。前者ではシヌス・メリディアニは明確だが、タウマジアからアウロラエ・シヌスに掛けて強い黄雲の流れが見られる。9Julyには一時間二十分後ω=354W(3:06GMT)DPk氏は重要なccd像を得ている。

 尚(既報だが)同日DMr氏がω=023W(5:04GMT)028WMVl氏がω=084W(9:15GMT) /090W、那覇(Mn)ではω=110W(11:00 GMT)ω=183W(16:00GMT)(WTn氏がω=164W (14:41GMT) 170W(15:09GMT))と續くのである。


 VMl氏の1718Juneの像は黄雲發生前の良像で、前者はω=310W326W、後者はω=340Wで、26JuneHSTの像と比肩する(一方は15cmデッセ)。夕端のエアボーン・ダストの様子や、南極冠の朝雲、北極雲の様子など比較が出來る。


♂・・・・・・預定通りTs氏は5Augに、筆者(Mn)12Augに那覇の觀測を終え、故郷に戻った。觀測期間中スコールには遭ったが觀測の出來ない日はなかった。Ts氏は百回以上の觀測を熟した。沖縄の火星は見事に高く、惑星天國であることは間違いない。期間中沖縄の皆さんにはCMOも含めてたいへんお世話になりました。有り難うございました。

・・・・・・關東は七月は暑かったようだが、八月はAk氏に依れば夕方になると雲の出る天氣が續いたようで、Ts氏も含めてMk氏も觀測が適っていない。福井も似たようなものであったらしいが、私が帰郷した頃から通常に戻った様で、次の週は聨日觀測出來た。但し火星は矢鱈低い。

・・・・・・大黄雲が全面を覆うと觀測が疎かになるもので、筆者も1971年、1973年には殆どデータを取っていない。然し、宮本正太郎氏は1973年の場合56%が黄雲發生後の觀測で(679觀測の内318枚のスケッチ)流石である。1971年も43%が黄雲發生後である。どちらもキッカリδ4.0"まで追っている。

・・・・・・次回(25 Sept 2001)16 Aug (215Ls)から15 Sept 2001 (234Ls)迄の觀測をレヴューする。次次号は25 Oct 2001發行の預定で、報告は15Oct觀測閉め切りです。


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