CMO 2001 Mars Report #19

2001年十二月後半2002年一月前半の火星面觀測

16 Dec 2001 (292Ls) 15 Jan 2002 (310Ls)


OAA東亜天文学会 火星課 『火星通信』 南 政 次 



・・・・・・今回は今期十九回目のレヴューで、次の期間の觀測を扱う。但し、福井の年末年始は例年にないほどの悪天候で、筆者は火星面の動きを掴んでいない。ただ、表日本は好天に恵まれたようで、Ts氏などの觀測は充實している。ただ、氣壓配置が冬型の時はシーイングが好くないようである。

16 Dec 2001 (292Ls) 15 Jan 2002 (310Ls)

 この間、視直徑 δ 6.8"から5.9"に落ちた。ただ、視赤緯は-11.5から-1.5に昇って、火星の高度は相當なものである。可成り西へ移ってもまだ高さがあるから、觀測時間は然程減らない。中央緯度 φ 25S から27S で南半球が好く見える。位相角 ι 41から37とやや圓味が戻っている。


・・・・・・今回の報告は次のようである。森田(Mo)氏が復活して頼もしい。

BIVER, Nicolas ニコラ・ビヴェール (NBv) Noordwijk, Nederland / Versailles, France#

11 Colour Drawings (1, 10# , 15 November; 7, 16, 23# , 30# , 31# December 2001)

300x 20cm speculum/ 510, 330x 26cm speculum#

 

ISHADOH, Hiroshi 伊舎堂 (Id) 那覇 Naha, Okinawa, Japan

       5 Drawings (29 December 2001; 4, 9, 12, 13 January 2002) 400, 530x 31cm speculum

 

KUMAMORI, Teruaki 熊森 照明 (Km) Sakai, Osaka, Japan 

10 CCD Colour Images (19, 20, 26, 29 December 2001; 9, 12 January 2002)

60cm Cassegrain$ with a Sony TRV-900

 

MELILLO, Frank J フランク・メリッロ (FMl) 紐約 Holtsville, NY, USA

      3 CCD Images (19 December 2001; 12 January 2002)

20cm SCT with a Starlight Xpress MX5

 

MINAMI, Masatsugu 南 政 (Mn) 福井 Fukui, Japan

28 Drawings (20, 26, 28, 29 December 2001; 7, 14 January 2002))

      480, 400x 20cm Goto ED refractor*

 

MOORE, David M デイヴィッド・ムーア (DMr) 亞利桑那 Phnix, AZ, USA

4 Sets of CCD Images (17, 26 December 2001; 2, 13 January 2002)

f/40 36cm F13.5 Cassegrain with a Starlight Xpress HX5

 

MORITA, Yukio 森田 行雄 (Mo) 廿日市 Hatsuka-ichi, Hiroshima, Japan

12 Sets of CCD Images (1, 4, 6, 12 January 2002)

f/50 25cm speculum equipped with an ST-5C

 

MURAKAMI, Masami 村上 昌己 (Mk) 藤澤 Fujisawa, Kanagawa, Japan

      20 Drawings (16, 20, 23 December 2001; 3, 6, 12, 14 January 2002)

320x 20cm speculum/300x 10cm Nikon ED refractor

 

NAKAJIMA, Takashi (Nj) 福井 Fukui, Fukui, Japan

12 Drawings (28, 29 December 2001; 14 January 2002)

480, 400x 20cm Goto ED refractor*

 

PARKER, Donald C ドナルド・パーカー (DPk) 佛羅里達 Miami, FL, USA

9 Sets of CCD Images (17, 20, 28 December 2001; 14 January 2002)

f/44 41cm F/6 Newtonian equipped with a Lynxx PC

 

TEICHERT, Gerard ジェラール・タイシェルト (GTc) Hattstatt, France

4 Drawings (16 December 2001; 1, 2, 4 January 2002) 330, 350x 28cm SCT

 

TSUNEMACHI, Hitomi 常間地 (Ts) 横濱 Yokohama, Kanagawa, Japan

70 Drawings (16&, 19, 20, 2224, 2628, 30, 31 December 2001;

1, 4, 6, 10, 13, 14 January 2002)

500x 20cm refractor& / 360x 12.5cm Takahashi fluorite refractor

 

$ ソフィア・堺 天文臺 Sakai City Observatory

*福井市自然史博物館屋上天文臺 Fukui City Observatory

&神奈川縣立青少年センター Kanagawa-Ken Seishohnen Centre

 日本から:
・・・・・・16Dec(292Ls)Ts氏のω=327WMk氏のω=330Wがその日の最後の觀測で、一ヶ月後の14Jan(309Ls)にはMnω=020WTs氏のω=034WMk氏のω=051Wがその日の最初の觀測であるから、シュルティス・マイヨルから東へずれていって、シヌス・メリディアニが見える位置まで觀察出來たことになるが、全體のトレースとなるとTs氏とMk氏だけであろう。
 Ts氏は16Decの場合20cm屈折(横濱)だった所爲もあって、小さな南極冠の圓味(周りは濃い)やヘッラスのクッキリした形状を描出している。リビュアは午後端で白い。以後、12.5cmでは限界に近いが、好く面の状況を把握している。二三採り上げると、23Dec(296Ls)ω=263Wでは明け方のヘッラスが白く明るい。ω=282Wには大陸の午後端が可成り明るい。シュルティス・マイヨルは淡いが見えている。27Dec(298Ls)ω=233W等ではマレ・キムメリウムが明確。南極冠が薄くなっているか。30Dec(300Ls)、南極冠は小さいが明白。この夜、月に木星が寄り添い、天頂ではアルデバランと並んで土星。大晦日(301Ls)にはマレ・シレヌムが出ている。但し、マレ・キムメリウムとの分離は無理である。2001年最後のスケッチはTs-388Dである。
 Mk氏の觀測は薄明中は10cm屈折であるから、やや難しい。23Dec(296Ls)の一部は20cm反射で、ω=280Wでは朝方のシュルティス・マイヨルを細身で捉えている。ヘッラスも中に入ってやや明るい。Mk氏は年末年始多忙であった由。
 Id氏の觀測は逆に年末の29Dec(300Ls)ω=225Wのみ。シーイングは4/10だが、然程の詳細はなく、全體黄白色系で赤味が感じられない由。Id-254
 福井(Mn)20Dec(294Ls)には細身のシュルティス・マイヨルが捉えられたが、ω=297Wではヘッラスと南極冠の間に濃い領域。ω=336Wでも夕方のヘッラスは圓い。但し然程明るくはない。26Dec(298Ls)にはヘッラスが朝方で、白く地上霧か。28Dec(299Ls)にはNj氏も入り、ω=198W223W29Dec(299Ls)にはMnω=167Wから、Nj氏がω=181Wから。ω=191W196W邊りでシーイングがやや好く、マレ・シレヌムが夕方に見えており、大陸の朝方には靄。南極冠は明確。この日の筆者の最後はMn-999Dで、笑うが1986年の全體の枚數を一枚だけ越えた。
 Km氏の暮れの映像は何れも秀逸で、19Dec(293Ls) ω=308W318Wでは南極冠が明白、ヘッラスは小さく圓い。ノアキスとの間の描寫は重要。20Dec(294Ls)ω=291Wでマレ・ハドレアクムが好く出て、アウソニアが東端で明るい。26Dec(298Ls)ω=233Wでこれも良像:ヘスペリア域に白霧が出ているようである。29Dec(300Ls)ω=198W202W208W:マレ・シレヌムの描寫が意味あり氣である。エリダニア邊りに白霧か。

 海外では:
NBv
(オランダ / フランス)16Dec(292Ls)ω=114W(17:45GMT)にスケッチ。ソリス・ラクスのあたりは不分明。以後ヴェルサイユに帰省して、23Dec(296Ls)にはω=036W050W、シヌス・サバエウスが分離し、朝方ではアウロラエ・シヌスが濃い。30Dec(300Ls)にはω=332Wで、マレ・セルペンティスからノアキスを横切る太い暗帶が可成り詳しく描寫されている。31Dec(301Ls)にはω=312Wで、ヘッラス、シュルティス・マイヨル。ヘッラスは地肌色。この觀測は16:48GMTであるから、日本では年が明けている。
 アメリカでは、17Dec(292/293Ls)には00:38GMTにはDMrω=214WDPk氏の22:42GMT邊りのω=176Wから、194Wなど。前者はマレ・キムメリウムが緑色に見える。後者ではマレ・シレヌムとマレ・キムメリウムの繋がり。DPk氏のB光では南極冠は眞っ白。朝霧は見られない。
 19Dec(294Ls)にはFMlGMT夜半前にω=150W邊り。暗帶は好く出ているが像が安定しない。20Dec(295Ls)にはDPkω=155W159Wの角度から、マレ・シレヌムが中央に捉えられている良像。26Dec(298Ls)にはDMrω=126W、依然ダエダリア邊りは複雜な暗色模様。28Dec(299Ls)にはDPkω=080Wで、ソリス・ラクス暗斑が明確、やや以前より大きく描寫され、暫定的な緯度計算では24S36に入っている。定位置に近い。尚、この像にはメラス・ラクスが出ている( δ = 6.4")

 年が明けて:
 Mo氏が(赤道儀が修復され)復帰した。いきなり1Jan(301Ls)にはω=196Wで良像を得ている。マレ・キムメリウムの東部の北に白霧が出ている様だ。角度は17DecDPk氏像、29DecKm氏像に比肩出來、マレ・シレヌムの西部の問題と絡んで重要であろう。Mo氏は4Jan(303Ls)ω=164W171W181W6Jan(304Ls)は再びシーイングが好く、ω=139W146W166W等、LRGBでは北半球に妙な暗斑がある。南半球の様相にも何か提言がありそうな(DMr氏の26Decと並んでこの期の)重要な像である。12Dec(308Ls)にはω=084W103W。不安定な像もあるが、IRが纏まっている。
 Km氏のソ・サカイは年末年始は動かないようで、9Jan(306Ls) ω=102Wが初像、ついで12Jan(308Ls)ω=061W077W、何れも良像である。アウロラエ・シヌスが濃くグッと下がって見え奇妙な風景である。アルギュレが午後端でやや明るく見える。ソリス・ラクスが大きくなり復活してきたか、色は茶色である。暫定的な緯度計算では25Sから33Sに入っているので、DPk氏の28Decの状況に近い( δ = 5.9")。なお、ソリス・ラクス領域には淡い白霧が見られる。

 海外で早いのはDMr氏の2Jan(302Ls)ω=058Wである。GMT00:48からであるから、アリゾナでは元日の夕方である。この像ではマレ・エリュトゥラエウムからアウロラエ・シヌスあたりが濃く、ソリス・ラクスが出てきているかと思われるが、朝方の赤道帶は白霧のようである。
 DMr氏は13Jan(308Ls)ω=308Wで極めて優れた像を得た。マレ・ハドリアクムが濃く北アウソニアに食い込んでいるように見え、シュルティス・マイヨルからヘッラスの描寫がいい。特にこの邊りのG光の明暗は興味深い。FMl氏は12Jan(308Ls)ω=276W邊りのR像、アウソニアが午後端で明るい。DPk氏は14Jan(309Ls)ω=272W282Wで良像を出した。アウソニアの新しい様子が好く捉えられている。トリナクリアは明るく地肌色。マレ・ハドリアクムが特異な形をしている。プロメテイ・シヌスからマレ・アウストラレに掛けて可成り濃い暗帶。朝のヘッラスはやや白いが、ゼア・ラクスなど見える。

ノート:

 日本の眼視觀測では、Ts氏が元日1Jan2002(301Ls)ω=173W212Wの觀測、南極冠附近を丁寧に觀測している。マレ・シレヌムの新しい特徴が出ている。6Jan(304Ls)は比較的大氣が安定したようで、ω=124Wなどダエダリアの邊りの觀察。13Jan(308Ls)14Jan(309Ls)の觀測ではアウロラエ・シヌスからマレ・エリュトゥラエウムに掛けての暗帶が火星面を大きく塞いでいる。
 Mk氏は3Jan(303Ls)から。6Jan(304Ls)にはω=111W141Wでダエダリアからマレ・シレヌムを觀測。14Jan(309W)にはω=051Wなど。アウロラエ・シヌス邊りが濃く全體はV字型の暗色模様。
 Id氏は4Jan(303Ls)から、午後7時前後の觀測で時間的に遅く、一日一枚のみ。南極冠は存在が分かるのみ。13Jan(308Ls)ω=084Wでソリス・ラクスを午後端のアウロラから分離しているようだが、不鮮明。
 福井は正月は悪天で、Mn7Jan(305Ls)で初觀測だが、強風、特筆することはない。14Jan(309Ls)は二回目の晴れで、Nj氏も日没前から待機、Mnは午後320(ω=020W)から、Nj氏はω=025W開始、ω=078W(Mn)ω=083W(Nj)まで、シヌス・サバエウスからアウロラエ・シヌス邊りまで追えた。ノアキスからマレ・エリュトゥラエウムへの暗色帶は顕著である。アルギュレはトンでいる。マレ・エリュトゥラエウムからアウロラエ・シヌスは可成りの濃度。北半球では北極雲に接してニリアクス・ラクスが見えている。ω=048Wでは朝霧が見えている。ω=068Wでソリス・ラクスが入ってくる様子。尚、ω=039W(Mn)では南極冠の前方、東端が白く明るいが、偶然Ts氏の14Janω=034Wのノートにも同じ記載がある。


・・・・・・DMr氏は前回(#254)報告の2Dec邊りからStarlight Xpress HX5を使用しているのを迂闊に見落としました。訂正します。


・・・・・・次號#257では、16 Jan 2002 (310Ls)から15 Feb 2002 (327Ls)迄の觀測を扱います。報告は三國の方へご送附下さい。

南 政  


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