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th Report:

2003年十二月前半(1 Dec~15 Dec)の火星面觀測

The CMO/OAA Observations made during the fortnight period from

1 December 2003 (308°Ls) to 15 December 2003 (317°Ls)


19th Reportを参照するにはここをクリック


An OAA Mars Section article to be published in CMO #285 (25 December 2003 issue)


  (Masatsugu MINAMI, Director of the OAA Mars Section)


・・・・・・今回は1Dec(λ=308°Ls)から15Dec(λ=317°Ls)の半月間の火星觀測をレヴューする。この期間は理査・麥肯(RMk)氏が18Nov述べているように(#283LtE)、黄雲の發生の可能性があるわけで、重要な時機であるが、視直徑δ11.1"から9.7"と推移したこともあり、殆どの觀測者が撤退した。流石の日本ではこの現象はなく、表日本の阿久津(Ak)氏や熊森(Km)氏が大活躍しているが、裏日本の福井などは悪天候で不如意であった。氣温はドーム内で5°C程だが、デンマークのシーゲル(ESg)さんのところでは、度々觀測は零下で行われているので然程ではない。

黄雲は今回は美國よりで觀測され、唐那・派克(DPk)氏によりδ=9.9"13 Dec (λ=315°Ls)に検出された(流石である)。速報により以後歐米の觀測も一寸息を吹き返した。この期間、中央緯度φ26°S、位相角ι42°であった。

 

・・・・・・この期の觀測報告は次のようである:

 

AKUTSU, Tomio 阿久津 富夫 (Ak)  栃木・烏山 Karasuyama, Tochigi, Japan

            7 Sets of CCD Images (+19 IR image)(3, 8, 10, 13, ~15 December 2003)

                               f/33×32cm spec with a Bitran BJ-41L

    

BENAVIDES, Rafael ラファエル・ベナビーデス (RBn)  科爾多瓦 Córdova, España

            2 CCD Images (11 December 2003)  24cm SCT with a ToUcam

    

BIVER, Nicolas  ニコラ・ビヴェール (NBv)  法國・凡爾賽 Versailles, France

            2 Colour Drawings (9, 15 December 2003)  510×26cm speculum

    

CAPARRÓS, Angel アンヘル・カパロス (ACp)  西班牙 Málaga, España

            1 CCD Image (12 December 2003)    F/4.8 25cm spec with a ToUcam

    

COLVILLE, Brian ブライアン・コルヴィル (BCl) 安大略湖 Ontario, Canada

            1 Set of CCD images (14 December 2003)

 f/44×25cm SCT with a ToUcam Pro

    

COOPER, Jamie ジェミー・クーパー (JCp)  英國 Northampton, UK

            1 CCD Image (15 December 2003)

                              f/30×18cm Intes-Micro Mak-N with ToUcam

     

GRAFTON, Edward A エド・グラフトン (EGf)  コ克薩斯 Houston, TX, USA

            1 Set of CCD Images (15 December 2003) 

f/39×35cm SCT with an ST-5C

    

IWASAKI, Tohru   (Iw)  小倉 KitaKyushu, Fukuoka, Japan

        5 Drawings (2, 4 December 2003)   400×21cm speculum

    

KARRER, Michael ミヒァエル・カッレル(MKr) 奧地利St Radegund, Österreich

            1 CCD Image (9 December 2003)

                              f/35×18cm Meade Refraktor with a ToUcam

     

KUMAMORI, Teruaki 熊森 照明 (Km)  Sakai, Osaka, Japan 

           13 CCD Images (2, 3#, 4#, 9#, 10#, 14# December 2003)

                     f/84×20cm Dall-Kirkham & f/40×60cm Cass# with a ToUcam

                                   #ソフィア堺天文臺 Sakai City Observatory

    

MELILLO, Frank J  フランク・メリッロ (FMl)  紐約 Holtsville, NY, USA

           1 Red CCD Image (5 December 2003)  

20cm SCT with a Starlight Xpress MX5

    

MINAMI, Masatsugu 南 政 (Mn)  福井 Fukui, Fukui, Japan

           14 Drawings (5, 10 December 2003) 

600, 480, 400×20cm F/12 ED Goto refractor*

               *福井市自然史博物館屋上天文臺 Fukui City Observatory, Fukui

    

MURAKAMI, Masami 村上 昌己 (Mk)  横濱 Yokohama, Kanagawa, Japan

      11 Drawings (2, 10, 14, 15 December 2003) 320, 400×20cm speculum

    

NAKAJIMA, Takashi   (Nj)  福井 Fukui, Fukui, Japan

            2 Drawings (3 December 2003)   400×20cm F/12 ED Goto refractor

                           福井市自然史博物館屋上天文臺 Fukui City Observatory, Fukui

    

PARKER, Donald C ドン・パーカー (DPk)  佛羅里達 Miami, FL, USA

            7 Sets of CCD Images (5, 9, 13, 14* December 2003)

                f/55, 59×41cm F/6 spec equipped with an ST-9XE/

              *f/19×32cm SCT with a ToUcam (with T D'AURIA and S FAWORSKI)

    

PEACH, Damian A デミアン・ピーチ (DPc)  Loudwater, Buckinghamshire, UK

            1 Set of CCD Images (+ 5 Set Images) (9, 15 December 2003) 

                               f/31×28cm SCT with an ATK-1HS

  

PELLIER, Christophe クリストフ・ペリエ (CPl)  法國 Bruz, Ille-et-Vilaine, France

            1 Set of CCD Images (+3 IR+B Images)(7, 14+, 15+ December 2003)

                     18cm spec/35 cm SCT+ with a modified B&W ToUcam Pro

    

SIEGEL, Elisabeth エリサベト・シーゲル (ESg)  丹麥 Malling, Danmark

            4 Drawings (6, 9, 10, 15 December 2003)  270×20cm F/10 SCT

    

TEICHERT, Gérard ジェラール・タイシェルト (GTc)  法國 Hattstatt, France

            3 Drawings (7, 8, 9 December 2003)      330×28cm SCT

  

Van Der VELDEN, Erwin アーウィン・ヴァン・デア・ヴェルデン(EVl)

                                           澳大利亞 Brisbane, Australia

            3 CCD Images (1, 10, 12 December 2003)  

f/31×20cm SCT with a Vesta Pro modified

 

 

・・・・・・ 極小の南極冠5 Dec (λ=311°Ls)DPk氏がω=111°W117°Wで、こちらを向いた南極冠を撮っているが、われわれは佐伯恆夫氏に從って、λ=310°Lsを基準にするので、R像に出ている南極冠の姿が殘留南極冠であると思う。ESgさんも十二月に入って(6Dec)南極冠が小さくなったと感じているが、9Dec (λ=313°Ls) ω=324°Wで、30°Sから南極の方にヘーズがあるように觀測いる(Int)

 

 日没前のIR觀測Ak氏は8Dec (λ=312°Ls)IR14:30JST(5:30GMTω=178°W)から撮像を試み、問題の13Decには更に早く13:55JST (4:55GMT)から始めている。肉眼では、筆者の場合10Decに日没三十分前の16:00JSTが最初であるから、IRでのこうした試みは今後も効果的であろうと思う。

 

 13 Dec (λ=315°Ls)DPk氏の黄雲検出13 DecDPk氏は01:35GMTω=072°Wで、クリュセからエオス周邊、アウロラエ・シヌスを半分覆い、アルギュレの北部まで擴がった大きな黄雲を検出した。後方はカンドルにも廻っているし、アラムにも黄塵が立っているかも知れないという状況である。ω=092°Wまで追っている。ι42°であるから、この時點でアウロラエ・シヌスは日の出後80°ほど經っているが(正午前)、ソリス・ラクスなどは未だ正常であるようである。DPk氏のemail16:31JSTに着信したのだが、cmo@Mk氏は外出中であったので、筆者の方から18:38JSTCMO Notice#07としてCMOのメーリングリスト(DPk氏の使っているリストより大きい)を使い通報した。20hrsJST過ぎにはMk氏も歸宅し、DPk氏の像をGalleryに擧げると共に、ファサードのウィンドー(Director's Notes)に警告を出した。ただ、當面は美國での觀測が中心になる譯であるが、フロリダでも既に黄塵は午後に移っていたから、ヨーロッパの觀測は氣になるところであった。然し、もしヨーロッパで相當粘って21hrsGMTまで觀測出來たとしても、ω=355°W迄であったから、難しいところである(實際に12DecにはスペインのACp氏のω=333°Wの像がある)。一方日本では17hrs JSTω=166°Wである。Ak氏はこのニュースより前、前述の様に13:55JSTIR-980で撮像しているが、一寸像が安定しない。ω=162°Wで安定してくるが、アウロラエ・シヌス+90°Wで=150°Wであるから難しいところであった。

 

 14Dec(λ=316°Ls)にはDPk氏が(D'AURIA氏、FAWORSKI氏と共に) ω=044°W(00:19GMT)で、またカナダのBCl氏がω=047°W(00:30GMT)で撮像した。黄雲はマレ・エリュトゥラエウムを中心に大きく擴がり、エオス、カプリ・コルヌそれにアラム、更にはアルギュレ西に幾つかのコアがあるか、といった状況になっていた。コアは朝方に立ったものであろう。この日はAk氏がω=111°W (4:56GMT=13:56JST)IR像で、この西側を捉え、Km氏もω=118°W (5:23GMT=14:23JST)R-640で撮像した。黄塵の西端はソリス・ラクスの半ばまで、またもっと南の方ではアオニウス・シヌスの西に達し、後者は明るいコアとなっている。Ak氏はω=145°W(7:15GMT=16:15JST)RGB像を構成することが出來(B像でも稍明るい)Km氏もω=152°W (7:45GMT)でカラー像を得たが、黄塵は未だ明確である。Km氏はω=167°Wまで追ったが、未だ痕跡は見える。眼視のMk氏は9:00GMT (ω=171°W)が最初だが、リムヘーズを感じる程度であった由。この日はAk氏が直ぐ處理して、報告があったので、20:52JST (11:52GMT)Ak氏の成果をCMO關係に通報した。DPk氏からCongratulations to Tomio!15Dec4hrsGMTに届いた。なお、14Dec19:07JSTに理査・麥肯(RMk)氏から返信があり、今度の黄雲は1990 Nov (λ=326°Ls)の場合を思い出させるということであった。ただ、その後の經過からすると、今度の方が規模は大きく思える。ただ、RMk氏はグローバルになるには時期が遅すぎると考えている。なお、この日ヨーロッパではCPl氏が撮像しているが、ω=313°W (18:42GMT)であった。

 

  15Dec(λ=316°Ls)にはEGf氏がω=038°W (00:36GMT)で良像を得た。既に黄雲は可成り上空に昇り殘留しているらしく、シヌス・サバエウスの西半分は變形、淡化してしまっている。明るいコアがアラムの南にあり、更にその南のアルギュレ東にも帯が見える。エオス邊りにもまだコアが幾つかある。ただ、マレ・アキダリウム邊りには變形が無く、黄雲の影響が無く、白雲が漂って通常の姿であることは重要であると思われる。更に注目されるのはB像でアルギュレからその西に明るい擴がりがあることで、水蒸氣が立っていることである。日本では、この日Mk氏が7:00GMT(16hrsJST)から10cm赤道儀で追って、二回ほど觀測したが(これは没)8:20GMT (ω=151°W)20cmに移り、黄雲がソリス・ラクス邊りから南を覆っているのを確認する。ダエダリア邊りの暗部は未だ見えている(ω=161°W171°W181°Wと觀測、次第に明部は押し込まれてゆく)Ak氏はω=166°W180°WRGB像を得た。Bでも黄雲部が可成り明るいのが分かる。一方、ヨーロッパ側ではCPl氏がω=295W(18:10GMT)邊りで、δ=9.7"と思えないような像を得たが(C14使用)、ノアキスとマレ・セルペンティスが少し朝方に出ていて、興味がある。B像では朝方ノアキス南部に水蒸氣が強く、それがマレ・セルペンティスの邊りまで降りている。但し、同日ESgさんのω=292°W (18:00GMT)の觀測ではIntで朝方南部に明部があるようだが、W47では、朝方明部は南部より北の方が強かったようである。

 

  MGS-MOCの觀測:明らかに13DecDPk氏の像では黄雲に擴がりがあり、この日に黄塵が立ったとは思われないが、TES(http://tes.asu.edu/dust/dust.mov)を見ると、12Dec(λ=314°Ls)にクリュセの西南部で強い黄塵が既に立っている。そこでMGS-MOCの短冊像(上が南)を見るとここに引用するような影像があり、確かにクリュセ、エオスから大峽谷に掛けて明るい黄塵が見えている。明るいコアとしては12Decが初日とするのが好いであろう。なお、何度も強調するように初期の黄雲は颱風のように移動するわけではなく日々新たなりであって、毎日形態が違うし、消えることもある。TESでも遡って追えるが、MOCでも非連續像が追える。兆候としては、TESで見る限り4 Dec (λ=310°Ls)にテンペ邊りに立った黄塵が目立っている。從って、北極域起源の可能性はある。以後、まだ黄雲は潜在的だが、12Dec以降は殘留黄雲があるようで、南の方に黄塵を立てる。15DecTES像によると、西端はMk氏やAk氏の觀測と好く合っており、ディア邊りに明るい黄塵のコアがある。MGSは午後2時の影像であるから、この邊りに朝方水蒸氣が混在するというのは考察上たいへん面白く、重要なことであろう。

 


・・・・・・次回は16 December (λ=317°Ls) から31 December 2003 (λ=326°Ls, δ=8.5")迄の半月間をレヴューする。


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